018★答え
悩んだ結果、こうするしかなかった。
――――いったん落ち着こう…
燈和は、学校で真田を呼びだした。
真田も、薄々気づいていたのかもしれない…
「急に呼び出してごめんね」
「いいよ、別に。どうした?」
「うん…」
勇気が出ない。
何と説明すればいいのか。
良く分からない。
順を追って説明することにした。
「長くなるけど、いい?」
「いいよ」
初めから説明する。
そしたら、真田も分かってくれる気がした。
「…長谷川選手、見に行ったじゃん。私って、中学2年のころに初めて見たの」
「…ってことは、入団した時じゃん」
「そう。その時から、サインもらおうとしてたんだけど、最初はもらえなかったの」
「人気だったから?」
燈和はうなずいた。
「チャンスはあったんだけど、ペン落としちゃって…」
「それはそれは残念…」
「でも、そのペン拾ってくれたんだ。名前も読んでくれた」
「燈和って?難しいのに?」
「うん。難しいって言ってた。その後、結局サインもらえなかったんだけど―――」
雨が降り出した時…雨宿りをした時のことを話し始めた。
真田は、その話を真剣に聞いていた。
ウソをつくことはない。
何も隠すことはない。
全部話した。
「…知り合いどころじゃなさそうだね」
真田はそう言った。
知り合い…どころじゃないって、どういう意味なのか。
燈和には分からなかった。
でも、燈和は心に決めていたことがある。
「…やっぱり私、長谷川選手が好きなんだ」
「どうしても?」
「うん…」
これが燈和のだした答え。
これ以上なんて、きっとない。
だから…真田とは別れる。
「理由はよく分かった。でも…別れないと、ダメ?」
うなずいた。
何もかも振り出しに戻して、1から始めた方がいい。
そう思ったから、別れる決心をした。
「ゴメン…」
「…わかった。長谷川が好きならしょうがない。それに、憧れとかじゃなさそうだし」
「うん…」
「でも、友達でいてよ。ずっと」
「うん」
これが、燈和の出した答えのすべてだった。