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012★カレシ




あれから数週間後、燈和は真田に告白された。

しかも、みんなの前で。

だから、振るに振れなかった。

真田には申し訳ないと思っている。

でも、自分自身を変えるチャンスなのかもしれない、と燈和は思っていた。


生徒公認のカップルとなった燈和と真田。

下校も一緒にするようになったし、友達を誘ってダブルデートもするようになった。

次第に、燈和は真田のいいところしか映らなくなっていた。

長谷川のことは、憧れとしか思わない。

今までの感情が、ウソのようだった。



「毎年キャンプ見に行ってるんだろ?」

「うん、そうだけど」

「今年、俺も行きたいな」

「じゃぁ、一緒に行こうよ!今年も試合あるわけだし」


キャンプシーズン突入。

去年の記憶は、燈和の中になかった。


選手の練習風景をみながら、真田はプロ宣言した。

そうなってほしい、と燈和も思った。

練習終了後、サインをもらうためにまたあの人ごみの中に紛れた。

今日はいつも以上に人が多い。


「人、多いな」

「毎年来てるけど、ここまで多いのは初めてかも」

「はぐれるなよ?」

「大丈夫だよ。はぐれたら、球場の入り口にいるから」

「そっか、なら大丈夫」


サイン帳とペンを持って、前列へと進んでいく。

もともとあまり身長が高いわけでもない燈和だから、すぐ前を譲ってもらえた。

この身長に感謝。


次々と選手が来た。

新人の選手もいれば、ベテランの選手もいる。

その中に、長谷川の姿もあった。

一斉に歓声が大きくなる。

燈和は、いつもみたいに手を大きく振った。

すると長谷川は、また振り返してくれた。

いつものことだから、当然この時みんなに振っていたのだと思った。

もう、自分だけに振っているなんて思わない。

だけど、やっぱり目があった気がした。


サイン帳は、またいっぱいになった。


「新しいの、買わなくちゃなぁ」

「すごいよな。ある意味尊敬するよ」


バスがまだ出発していなかったけど、燈和は真田のもとへ向かった。

真田は、後ろの方で待っていてくれた。

ふと後ろを振り返ると、ちょうどバスのエンジンがついたところだった。

長谷川は窓側の席にいる。

なんとなく、こっちを見ているようだった。




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