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61話

数日間、火吹キツネを相手にパワーレベリングを続けた。

最初は守られるだけだった巳未も、戦闘を重ねるごとに明らかに変わっていく。

「……速い」

思わず、美々はそう呟いた。

動きに無駄がなくなり、踏み込みも鋭くなる。

短槍の突きは以前とは比べ物にならないほど速く、正確になっていた。

そして――

「スキル、来たんだね」

巳未は【槍術】を習得していた。

槍の扱いそのものを底上げするスキル。

それを得たことで、戦い方が一段階変わる。

それまでの巳未は“突くだけ”だった。

だが今は違う。

突く。

払う。

叩く。

それらを自然に繋げ、状況に応じて使い分けている。

「……ちゃんと、戦ってる」

美々は小さく頷いた。

もう“後ろでチクチクするだけの存在”ではない。

一人の戦力として、前線の一部を担い始めている。

「よし……ここまで」

パワーレベリングは一旦終了。

これ以上は同じ相手では伸びが鈍る。


自室に戻った美々は、公社のホームページを開いた。

次に狙う階層とモンスターを選定するためだ。

「条件は……」

指で画面をなぞりながら整理していく。

・防御陣地が使えること

・直線的な動きが多いこと

・巳未が前に出ても対処できること

「……これかな」

目に留まったのは、十八階層のモンスター。

暴れ軍鶏。

鋭い嘴と爪を持つ好戦的なモンスター。

見た目は軍鶏だが、その体躯は美々の腰ほどもある。

敵を見つけると一直線に突撃してくる、単純だが厄介な相手。

「突進型……」

だが、美々はそこで少し考える。

突進してくるということは――

「……止めやすい」

侵入経路を限定すれば、動きは読みやすい。

兎見丸で受け止め、辰見で削る。

そして――

「巳未が、刺す」

自然とイメージが繋がる。

今の巳未なら、その役割を果たせるはずだ。

「うん、いける」

小さく頷き、端末を閉じる。

「十八階層、行こうか」

迷宮の入口で、美々は三体に声を掛けた。

兎見丸が静かに構え、

辰見が弓を持ち直し、

巳未が槍を握り直す。

その動きに、もう迷いはなかった。

「次は……ちょっと強いよ」

そう言いながらも、美々の表情には不安よりも期待が浮かんでいた。

パワーレベリングで積み上げたものが、どこまで通用するのか。

それを確かめるために――

四人は、さらに深い階層へと足を踏み入れた。

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