58話
美々はいつもの探索者装備品専門店を訪れ、装備品の更新を行った。
これまでの探索で傷んだ装備の入れ替えとスキルに合わせて装備を考えてきた。
まずは美々自身の装備。
武器に選んだのは戦鎚――長い柄に、大きなハンマーの頭を持つ重武器だ。まるで筋骨隆々の戦士が振り回すような代物で、美々の細い体格にはどうにも不釣り合いに見える。
実際、持った時の違和感も大きかった。
それでも、この一撃の重さは魅力だった。現状、美々達のなかで一番のアタッカーである。だからこそ、“出た時に確実に決める一撃”が必要だった。
防具は岩石アルマジロの皮で作られたレザースーツ。
さらにその上から、シャボンクラブの甲殻を加工した赤いプロテクターを装着する。
耐久性を確保しつつも、あくまで重視したのは動きやすさ。
戦場を見て、動き、指示を出す――その役割を果たすための装備だった。
次に兎見丸。
武器は大振りのナイフを新調し、防具はこれまでの亀甲の盾を継続。
そこに、シャボンクラブの甲殻と金属を組み合わせて作られた赤いプレートアーマーを加えた。
重い装備だ。
動きは確実に鈍る。
だが、それでいい。
兎見丸は前線で敵を受け止める“盾”だ。【不動】のスキルと組み合わせれば、その場に固定されたまま、あらゆる攻撃を受け止める存在になる。
機動力を捨て、防御に特化した装備。
それが今の兎見丸にとって最適解だと思った。
そして辰見。
武器はこれまでのスリングショットから、コンパウンドボウへと変更した。
もともとはスポーツ用の弓だが、探索者用に改良されており、強度も威力も段違いだ。
矢も同様に、戦闘用に調整されたものを使用する。
【貫通】と【連射】のスキルを持つ辰見にとって、この変更は大きい。
一射ごとの威力を保ちながら、手数を落とさない。
直線上の敵をまとめて撃ち抜く、制圧力の高い戦い方が可能になる。
防具は美々と同じ軽装。
距離を取り続ける後衛である以上、過剰な防御よりも機動力を優先した。
装備を一通り整えたあと、美々は静かにそれらを見渡した。
前線は硬い。
後衛は強い。
自分はその間を繋ぐ。
パーティとしての形は、確実に整ってきている。
「……あとは」
小さく呟く。
残っているのは、新たな眷属。
その一体が、この形を完成させるのか、それとも全く別の形に変えるのか。
美々は新しい戦鎚を握りながら、静かに考え続けていた。




