表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/62

57話

美々は自室のベッドに腰掛け、小さく息を吐いた。

冬休み中に取得したスキルを思い返す。

「……結構、増えたな」

ぽつりと呟きながら、頭の中で順に整理していく。

まずは、自分。

「【スライム殺し】【モルモット殺し】【アルマジロ殺し】……」

一定数の討伐、あるいは短時間での討伐数が条件となるスキル。

特定のモンスターに対して弱体化を与える、いわば“対種族特効”。

「しかも……上位種にも効く」

上位種であっても、同系統であれば効果は通る。

深い階層に進んでも無駄にならない、積み重ねの力。浅い階層で意識して積み上げた成果だった。

小さく頷く。

地道に戦い続けた結果が、確実に形になっている。

次に意識を向けるのは――

「【指揮】と【鬨の声】」

仲間の連携を補助し、自身と味方全体を強化するバフスキル【指揮】。

戦闘中の動きがより一層噛み合うようになったのは、この力のおかげだ。

そして【鬨の声】。

えい、えい、おう――と声を上げることで発動する強化スキル。

“えい、えい、おう”と声を上げるだけで、身体が軽くなり、力が湧く。人数が多いほど効果が上がるのも分かっている。

眷属たちも、声は出さないまま腕を振り上げて応じる。その光景が少しだけおかしくて、でも頼もしかった。

そこで、思考が止まる。

「……増えたんだよね」

【眷属召喚】の枠が、一つ増えた。

それはつまり、このスキルの伸びしろがさらに広がったということ。

眷属たちは声こそ出さないが、手を振り上げて同じ動作をすることで効果が乗る。

あの少し不思議な光景を思い出し、美々はわずかに口元を緩めた。

「……四人になる」

それだけで、できることは大きく変わる。

けれど――

「何を増やすかで、全部変わる」

笑みはすぐに消えた。

視線を落とし、次に兎見丸のことを考える。

「兎見丸は……【不動】と【火耐性】」

【不動】は発動中は移動に制限が掛かる代わりに、防御力とノックバック耐性を大きく強化するスキル。

「完全に、前衛タンク……」

そこに【火耐性】。

火吹キツネの炎を受け続けたことで得た力。

あのとき、焼かれながらも一歩も引かなかった姿が脳裏に浮かぶ。

「前は……任せられる」

むしろ、これ以上ないくらいに。

そして、辰見。

「【貫通】と【連射】」

放った攻撃の貫通力を高めるスキルと、装填速度を上げるスキル。

組み合わせとしては非常に単純だが――

「強いよね、これ……」

思わず本音が漏れる。

一直線に並んだ敵をまとめて撃ち抜く。

群れ相手には、これ以上ないほど相性がいい。

「後ろも、問題ない」

そこまで整理して――

美々はゆっくりと天井を見上げた。

「……じゃあ、新しい子は」

タンクを増やして、より安全にするか。

遠距離を増やして、面で制圧するか。

それとも――

「前に出れるアタッカー……」

自分と同じように動き、隙を埋める存在。

考えれば考えるほど、どれも間違いではない気がしてくる。

ベッドに軽く倒れ込み、息を吐いた。

「……悩むなぁ」

けれど、その声に重さはなかった。

むしろ、どこか楽しそうで。

強くなったからこそ、選べる。

選べるからこそ、迷える。

「……でも、楽しいかも」

小さく笑いながら、美々はもう一度、これからの戦いを思い描いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ