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52話

美々が依頼されたリストの残りは――

噛みつきモルモットの毛皮。

岩石アルマジロの皮。

火吹キツネの毛皮。

シャボンクラブのカニ足と洗剤。

引き篭もり亀の甲羅と血液。

(……まずは、簡単なところから)

美々は二階層へと向かい、噛みつきモルモットの毛皮の回収を開始した。

やることは、もう決まっている。

モンスター寄せのお香を焚き――

集めて、潰す。

ただ、それだけだ。

煙に引き寄せられるように、モルモットが群れをなして現れる。

だが、その群れは次の瞬間には消えている。

兎見丸が受け止め、

美々が叩き潰し、

辰見が焼く。

流れ作業。

もはや狩りですらない。

――蹂躙だった。

あまりにも一方的で、

(……どっちがモンスターなんだろ)

ふと、そんな考えが頭をよぎる。

その勢いのまま、美々は階層を進め、岩石アルマジロの皮も並行して回収していく。

そして――

三日後。

噛みつきモルモットと岩石アルマジロ、両方の素材を規定数以上集め終えていた。

迷宮公社へ納品すると、

「……また、ですか」

受付の職員が、苦笑混じりにそう呟く。

だがその表情は、明らかに歓迎のものだった。

「いつもありがとうございます」

対応は丁寧で、どこか柔らかい。

ふと周囲を見ると――

(……人、増えてる?)

受付の人数が、以前より多い気がした。

それだけ、この依頼が動いているということか。

あるいは――

(……私のせい?)

少しだけ考えて、すぐにやめた。

その三日の間に、美々は新たなスキルも獲得している。

【モルモット殺し】。

【アルマジロ殺し】。

特定種への特効。

効率は、さらに加速していた。

だが――

順調すぎる流れに、美々は一度足を止める。

次の目標は、十階層。

火吹キツネ。

(……ここからは、ちゃんと考えないと)

これまでとは違う。

単純な数の暴力で押し切れる相手ではない。

炎による遠距離攻撃。

機動力。

そして群れた時の制圧力。

油断すれば、一気に崩される。

規定数に届かなくても、ペナルティはない。

だからこそ――

無理をする必要もない。

「……作戦、考えよ」

美々はリストを見直しながら、小さく呟く。

安全に。確実に。効率よく。

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