38話
美々は、さっそく辰見の武器を試すため迷宮へ向かった。
場所は迷宮一階層。
相手はスライムだ。
「今日は練習だからね」
美々はそう言いながら辰見にスリングショットを渡す。
辰見はピクトグラムの顔でこくりと頷いた。
今回は戦闘というより――
辰見の試し撃ちだ。
一階層のモンスターなら、美々と兎見丸だけでも十分に対処できる。
だから安心して練習できる。
少し歩くと、奥からスライムが現れた。
兎見丸が前に出て、スライムの気を引く。
「よし、辰見」
美々はスライムを指差す。
「撃ってみて」
辰見はスリングショットにスチール玉をセットした。
ゴムを引き――
狙う。
……狙う。
……まだ狙う。
「長い!」
美々が思わずツッコミを入れた。
ビシュッ!
ようやく放たれた玉は――
コツン。
兎見丸の頭に当たった。
「ごめん!」
美々が思わず叫ぶ。
兎見丸は少しよろめいたが、すぐに立て直した。
幸い、弱いゴムを使っていたため威力は低い。
辰見はどこか申し訳なさそうに立っている。
「うん、まあ……」
美々は苦笑いした。
「最初はそんなものだよね」
兎見丸にもダメージは無さそうだ。
気を取り直して、もう一度。
「よし、もう一回」
辰見がスリングショットを構える。
ゴムを引く。
そして――
ビシュッ!
今度はスライムのすぐ横の地面に当たった。
「お、近い!」
三発目。
ビシュッ!
コツン。
今度はスライムに当たった。
スライムは一撃では倒れないが、衝撃で動きが止まる。
その隙に――
美々がスレッジハンマーを振り下ろした。
ドスン。
スライムはそのまま消滅した。
「やった!」
美々は思わずガッツポーズをした。
辰見も嬉しそう……に見える。
ピクトグラムなのでよく分からないけど。
その後もしばらく、スライム相手に練習を続けた。
何度か美々や兎見丸にフレンドリーファイアもあったが、強化された二人にはほとんどダメージはない。無視できる程度だ。
辰見の射線を気にしながら、三人で連携を練習する。
遠距離攻撃。
今まで出来なかった戦い方だ。
これなら――
兎見丸が前で受け止める。
辰見が後ろから撃つ。
そして、美々がとどめを刺す。
「いい感じかも」
美々は少しニヤニヤする。
チームっぽくなってきた。
これなら――
六階層に行ってパワーレベリングもできそうだ。




