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37話

翌日。

美々は、さっそくいつもの探索者装備専門店に向かった。

店内には様々な遠距離武器が並んでいる。

短弓。

長弓。

クロスボウ。

投げナイフ。

美々は一つ一つ眺めながら考える。

「うーん……」

新しい眷属である辰見に、弓を扱わせるのは難しい気がする。

そもそも、まだ練度の低い辰見では狙いも安定しない。

もし味方に当たったら――

「フレンドリーファイア……ちょっと怖いな」

弓矢も。

投げナイフも。

当たれば普通に危ない。

しかし、そんなことを考え始めたら遠距離攻撃なんて出来ない。

どうしようかと悩んでいると――

「今日はどんな装備をお探しですか?」

声を掛けてきたのは、いつもの女性店員だった。

「あ、えっと……」

美々は眷属のことは伏せながら事情を説明する。

新しく仲間が増えたこと。

遠距離攻撃手段が欲しいこと。

でも、フレンドリーファイアが怖いこと。

店員は少し考え込んだあと、奥の棚から武器を持ってきた。

「これなんてどうでしょう?」

差し出されたのは――スリングショット。

いわゆる、パチンコだった。

「玉はスチール製なので、弓矢や投げナイフより扱いやすいですよ」

店員が説明する。

「それに、ゴムを交換すれば威力を調整できます」

最初は弱いゴムで練習し、慣れてきたら強いゴムに交換する。

段階的に威力を上げていける武器だ。

「それと、スリングショットを使っていると遠距離攻撃スキルを習得する探索者も多いんです」

「遠距離スキル?」

「はい。【射撃】や【狙撃】ですね」

【射撃】は遠距離攻撃の威力と命中率に補正が入るスキル。

【狙撃】は飛距離と命中率に補正が入るスキルだ。

「遠距離戦闘の基本スキルですね」

「へぇ……」

美々は少し目を輝かせた。

ちなみに、迷宮で拳銃などの銃火器を使う探索者はほとんどいない。

まず、日本では銃火器自体が一般的ではない。

狩猟用やスポーツ用でも所持には許可が必要だ。

さらに、迷宮内で使用する場合は追加の申請が必要になる。

それに――

銃声は大きい。

野生動物なら逃げるかもしれないが、モンスターの場合は逆だ。

音に引き寄せられ、群れで襲ってくることもある。

そのため非常に危険とされている。

何より、探索者はスキルによって身体能力が強化される。

スキルを習得した遠距離攻撃は、最終的には銃火器以上の威力になると言われている。

だからこそ、多くの探索者は弓や投擲武器を使うのだ。

「これ、ください」

美々は決めた。

スリングショット本体。

スリングショット用のスチール弾。

それに予備のゴム。

さらに辰見用の装備も一式購入した。

今回は低層階でモンスターを乱獲したおかげで、少しお金に余裕がある。

袋を受け取りながら、美々は少しワクワクしていた。

「早く試してみたいな」

新しい武器。

新しい戦い方。

そして――

辰見との初めての遠距離戦闘。

美々は期待を胸に、店を後にした。

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