35話
クラスメイトたちの探索階層が進んでいるのには理由がある。
その多くが、探索者チームに入っているからだ。
基本的に新人探索者は、知り合いの探索者チームに入るか、迷宮公社のホームページにあるチームメンバー募集でパーティーに参加する。
そして、一階層から探索することはほとんどない。
【トラベル】というスキルを持つ探索者が、ある程度の階層まで転移する。
そこで上級探索者と共に戦い、経験を積む。
いわゆる――パワーレベリングだ。
ある程度力がつけば、今度はSNSなどでチームメンバーを募集する。
その際、【トラベル】を習得している探索者を一人確保すれば、低層階を飛ばして探索を続けることができる。
それが、今の探索者の主流だった。
つまり――
一階層から探索している美々の方が、むしろ少数派なのだ。
低層階で活動している探索者もいるが、その多くは企業依頼の探索者だ。
低層階モンスターの素材やドロップ品を集める、素材回収の仕事。
純粋に強くなるためだけに低層階で戦い続けている探索者は、ほとんどいない。
「……」
少しだけ、モヤモヤする。
でも、美々は今日も迷宮に潜る。
いつものように、兎見丸と一緒に。
五階層。
岩石アルマジロの群れが突進してくる。
「兎見丸!」
盾を構えた兎見丸が前に出る。
突進を受け止めた瞬間――
美々はスレッジハンマーを振り抜いた。
鈍い衝撃音。
岩石アルマジロが宙に浮き、床に叩きつけられる。
残りも、次々と倒れていった。
戦闘が終わり、ドロップ品を拾い集めていた時だった。
ふと――
頭の奥に、何かが流れ込んできた。
「……え?」
言葉ではない。
知識でもない。
まるで――
最初から知っていたことを、思い出したような感覚。
「……トラベル?」
美々は思わず呟いた。
その瞬間、はっきりと理解する。
階層を移動する感覚。
座標の捉え方。
迷宮の空間をつなぐイメージ。
「え……え?」
理解した。
自分は今――
【トラベル】を習得したのだと。
その時だった。
頭の中に、さらに新しい感覚が広がる。
【眷属召喚】
そのスキルの情報が、少しだけ変化していた。
召喚可能数
1 → 2
「……え?」
美々は固まった。
「ええええ!?」
眷属が――
増えていた。




