17話
数日間、美々は四階層で新兵ウサギを狩り続けた。目的はもちろん、あのぬいぐるみのドロップだ。
しかし、買取受付の職員が言っていた通り、ぬいぐるみはなかなか落ちない。初日に二つも手に入ったのは、かなり運が良かったらしい。
結局、数日間で手に入ったのは一つだけだった。
「うーん……」
ぬいぐるみでの金策は難しそうだ。
しかも、新兵ウサギ自体は美々にとってすでに脅威ではなかった。動きは単調で、奇襲も丸見え。戦闘自体に苦戦することもない。
そのため美々は、早々に五階層へ挑戦することにした。
五階層に出現するモンスターは、岩石アルマジロ。
名前の通り、皮膚が岩石のように硬いらしい。
その硬い体を盾にして丸まり、転がりながら体当たりしてくるのが特徴だと、公社のホームページには書かれていた。
美々は慎重に五階層を探索し始めた。
しばらく歩いた時だった。
通路の奥から――
コロコロコロ……。
何かが転がってくる音が聞こえる。
岩石アルマジロだった。
丸まった体で転がりながらこちらへ向かってくる。
やがて美々を認識したのか、転がる速度が少し上がった。
だが、それほど速いわけではない。
美々は落ち着いて横に避ける。
岩石アルマジロはそのまま迷宮の壁へ――
ゴンッ。
ぶつかり、転がるのを止めた。
そして丸まっていた体を伸ばす。
その瞬間。
(今だ)
美々は警棒を振り下ろした。
ガキンッ!
硬質な音が迷宮に響く。
「っ……!」
衝撃で手が痺れた。
だが――
岩石アルマジロはまったくダメージを受けた様子がない。
美々は距離を取りながら、痺れた手を振る。
そしてふと警棒を見る。
「……ああっ」
思わず声が出た。
警棒が――曲がっていた。
岩石アルマジロの硬さに耐えきれなかったのだ。
今、美々の手元にある武器はほとんど壊れてしまった警棒。
そして予備の武器は――投げナイフのみ。
しかし投げナイフは脆い。
岩石のような皮膚を持つ岩石アルマジロに効くとは思えない。
(無理……)
美々は即座に判断した。
その場から逃げ出す。
幸い、岩石アルマジロはそれほど速くない。
距離を取れば追いつかれることはなかった。
迷宮の入口まで戻り、美々はようやく息をついた。
「はぁ……」
五階層は、これまでとは違う。
武器が通用しない敵。
岩石アルマジロに対応できる武器が必要だ。
そう思った美々は、迷宮を出た後、以前装備を買った店へ向かった。




