呪いの勧め
ヒューマンドラマってどうやって書けばいいんですかね?
はーい、いらっしゃいま…せ?
おや、お子様連れとは珍しい。
それに何やら随分慌ててらっしゃいますが…あれ?
少し前にきたお客さんじゃないです?
あ、やっぱり。
とりあえず落ち着きましょ。
あ、お茶飲みますか?
…で、何があったんです?依頼された呪い、何か問題がありましたか?
…おお、満足いただけましたか。
それはそれは、ようございました。
ふう、びっくりした。
何がびっくりって?
いやぁ、たまに思ったような結果にならなかったって、文句言いにくる人がいるんですよ。
酷い人はほんと酷いんでねー、見覚えがあるお客さんはちょっと身構えちゃって。
こんな息せき切って来られたら、なおさら焦りますよ。
さて、満足していただいたとなると、どういったご用件で?
え?お礼と確認ですか?
お礼なんて、そんなの結構ですよ。
うちは仕事でやってるんですし、ちゃんと料金払ってもらったんだから。
それより確認て何です?
え?呪いの反射は大丈夫なのかって?
おや、誰かに聞きましたか。関係なかったんで説明しなかったんですが。
ええ、関係ないですね。
お客さん、反射についてどのくらいご存知?
とにかく呪いが返ってくると聞きましたか。それじゃあ相手に気付かれて反射されたら困る、って思って慌てちゃったんですね。
うちは最初からしっかり対策してるんで、反射はお客さんには来ません。
絶対大丈夫ですから、どうぞ御安心を。
え?詳しく知りたい?
無いなら良いじゃないですか。
気になる?
はぁ、まぁ良いですけど。
お客さんに反射が来ない理由はズバリ、お客さんと呪いが繋がっていないから。
反射は呪いに対抗された結果、呪っている側にプラスアルファの被害がくる現象です。
本来なら、呪いに関わりがあった者は紐づけされてて、全員に反射の被害が来ちゃうわけですね。
今回だと私とお客さん自身が対象。
でも私は反射の被害なんてまっぴらなんでね。
自分に反射が来ないように、呪いの起点を他に移してるんです。紐づけはその時点で切れてるわけですね。
当然お客さんも同様の処置をしてますよ。
うちは毎回必ずそうしてるんでね、反射されても移した先…この場合は専用アイテムなんですが、それが代わりにダメージ受けて終了って寸法です。
え?反射で死んだやつがいるらしい?
なんでそいつは死んだんだって?
うーん、その人呪術師ですか?多分違う?
…予想ですけど、その人後ろ暗い所に依頼しちゃったんじゃないですか?それも命に関わるような、かなり重たい呪い。
そういう呪いは違法なんですけど、違法も殺しもお構いなしって悪徳術師だったら引き受けるんでしょうね。
そんで、わざわざお客を守ったりしないでしょうよ。
自分だけ起点を他に移して…ひょっとしたらアイテムじゃなくて、その依頼主に移してたり?
後は知らんぷりってわけです。
さっきも言いましたけど、反射は元の呪いプラスアルファなんでね。重い呪いだと即死も十分有り得るわけです。
正直そういう輩に依頼しちゃうと、反射についてちゃんと説明するかすら怪しいですよね。
あと他に考えられるのは…
ど素人がやらかした場合かなぁ?
たまにおまじないと称して中途半端なことやって、うっかり発動させちゃう人がいるんですよね。
そう言う人は根本的に知識ないから、反射だの起点を移すだの知らないまま、最後は悲惨な末路になるわけで。
え?そんな簡単に呪えるのかって?
いや、普通は無理ですよ。
でもほら、生贄を捧げて悪魔召喚だとか、藁人形に髪の毛入れて釘で打つとか、そういうの聞いたことありません?
何かで読んだとか、何となく思い付きでやったとしても、手順やら何やらが実際の呪いに近くなっちゃう可能性はゼロじゃないので。
それでうっかり呪いが発動しちゃう場合もあります。
大概は威力にばらつきがあるので、反射で死ぬかどうかは何とも言えませんが。
ん?
そちらのお子さんが何か?
どうしました?もじもじして。
…呪術全般について詳しく知りたい?
えーと、うちはそりゃ呪術関連の何でも屋みたいなもんですけどね。でも学校ではないんですが…
弟子にして欲しい?
…お客さん、どういう教育してるんですか。
自分で言うのも何ですけどね、呪術師になりたいとかちょっと普通じゃないですよ。
やめときなさい、友達無くして後ろ指刺されるのがオチだから。
え?私もそうなのかって?
ほっとけ。
いや、居るけど。少ないけど一応居るからね。友達。
なら良いじゃないかって?
良くないよ。
そんならせめて正規の学校で学んで、ちゃんと資格取って呪術師になんなさいな。
それなら学友ってのができるし、仕事をするにも最初からある程度の信用が付いてくる。
個人で学んで資格試験だけ受けるんでも呪術師にはなれますけどね、信用って点では難しくなりますよ。
依頼が全然来なくて食いっぱぐれるとか、普通に有るから。
それこそさっきの話、後ろ暗い呪術師の仲間入りする羽目に成りかねないし、そう言う目で見られることになるわけですよ。
嫌でしょそんなんなるの。
悪いこと言わないから、やめときなさい。
はい。この話はこれまで…って、は?
学校卒業できたら従業員にしてくれ?
君、うちが人雇うほど繁盛してるように見える?
見えないでしょ?見えたら困るよ、呪術師が引っ張りだことか世の中物騒過ぎる。
えー、何なのその熱意。
弟子だの従業員だの、うちの何にそんな魅力を感じたの?
…助けてもらったって何のこと?
はぁ⁈
正義の呪術師って何それ⁈
いやいや、一回落ち着こう。うちは頼まれた通りに呪っただけだからね?
え?君たち親子はとっても困ってた?
どうにもならなくて藁にも縋る思いで依頼して、見事解決したと。
まぁ、ある程度は依頼受けた時に聞いたけども。
恩人?いやいや、正式な依頼であり商売で、お金貰ってるからね?
善意の人助けじゃ無いんだから、恩とか感じなくていいから。
もっと事務的にいこう?ほら、あれ、ビジネスライク?だっけ?
ちょっと、お客さんも何とか言ってくださいよ。
自分の子でしょ。
え?呪術師でも良いと思うって、ちょっと勘弁してほしいんですけど!
うぇ~?
◆◇◆◇◆◇◆◇
はーい、いらっしゃいま………
まって、待って、お客さんものすごく見覚え有るんだけど。
は?え?学校首席で卒業?
いやいやいや、聞きたくない聞きたくない。
ほんとにマジで弟子とか従業員とかお断りだからー!!
-終わり-
書くたびにじわじわ文字数が減っていく呪い。
書きたいことは大体書いたので、たぶん打ち止め。
呪いに関する自分設定はもうちょっと残っていますが、お話の形にできない未熟者です。




