半月にしましょう
私はクッキーを二枚食べた。
お父さんとお母さんは、クッキー半分ずつ
どうして一枚じゃないの?
半分だったらすぐ無くなるよ?
おなかでもいたいの?
でも、お父さんとお母さんは、
私が食べているところを見て、
幸せそうに笑っていた。
わたしはクッキーを一枚半食べた。
本当は二枚ぜんぶわたしの物だったけど、
やっとおやつを食べられるまで
大きくなった弟が
欲しがっていたから、しかたなく半分あげた。
でも、弟が目をきらきらさせて、
小さなお口でクッキーをかじっていると、
気分が晴れた。
わたしはクッキーを半分にする。
夫も半分にして、間に座る娘にあげる。
二枚を大切そうに食べている娘を
いつまでも見ていたいと思った。
半月ふたつに、満月ひとつ。
「分ける」は、減ってしまうことじゃない。
幸せをふたつ、みっつ、もっと多く増やすこと。
⭐︎主催者ありま氷炎様より、FAをいただきました。
あとがき(めいたもの)
改めまして、八十島そらです。
お月様を象ったお菓子で、よく食べている物は「月光」と名前のついたクッキーです。青い箱に入っている個包装の、英語で「月光」と訳された、昔ながらのお菓子です。ミルクティーと合います。創作ノートをひと通りまとめた後に、ひと袋、ふた袋……気づいたら一箱空にしてしまっているのです。お菓子のひとりじめに、虚しさを感じる八十島なのでございました。