7.
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ペコと小松がコテージに戻って間もなく夕食の食材が運ばれてきた。6人前のしゃぶしゃぶの材料とオードブル。そして白米が炊飯ジャーで。
「凄いな、この量は」
大皿に山盛りの食材を見て小松が目を丸くする。他のメンバーも一様に驚きの表情を浮かべる。
「ご飯まであるよ。これ、食べきれるかな…」
取り敢えず鍋に火をつけて昼間に買い出ししてきた缶ビールに缶酎ハイをそれぞれ手に取り乾杯の音頭を日下部が取る。
「もう何回目の乾杯だか判らないけど今日は皆さんお疲れ様でした」
ペコと日下部は持参してきた日本酒を出す。ペコは職場の社長から、日下部は行きつけの居酒屋のママからもらった日本酒だ。日本酒好きのペコは日下部が持参してきた日本酒に興味津々。
「日下部さん、それ、一杯下さい!」
「じゃあ、ボクはペコちゃんが持って来たやつを飲もうかな」
「いいですよ」
「あ、俺もそれをちょうだい」
組長と古谷もペコが持って来た日本酒をグラスに注ぐ。
オードブルを摘まみ、酒を飲みながら鍋の食材に火が通るのを待つ。
「そろそろいいんじゃないですか」
ペコのその言葉を合図に一斉に鍋に手を伸ばす。食べては飲み、飲んでは食べ。次第に腹が満たされてくる。
「あら! 下からなんか出てきましたよ」
大皿の食材が鍋の中に消えそうになったところで、その下に敷き詰められていたうどんが顔を出した。
「やっぱり鍋の〆にはうどんだよね」
「って言うか、もう腹いっぱいだし」
「おいおい、まだご飯だってあるんだからね」
なんだかんだ言いながらも、〆のうどんは何とか皆で平らげた。ただ、炊飯ジャーには白米が手つかずで残された。
「夜食用におにぎりでも作ろうか?」
「そうするのなら塩とか海苔が欲しいけどね」
「それもそうだよね」
「でも、実際、もう何も入らない!」
「用意してくれた人には申し訳ないけど、これはこのまま残しておこう」
「まあ、後は蛍から帰って来てどうかだね」
「ホタルと言えば、そろそろじゃないですか」
「よし! じゃあ、みんな、そろそろ支度をしようか」