《番外編》
《番外編》
函館旅行中に古谷から思わぬカミングアウトが飛び出した。
「実は彼女が出来たんだ」
「えーーーっ!」
以前、飲み会で離婚していたことも告白していた古谷。その時も驚かされたのだけれど、それにも増して今回の報告は天と地がひっくり返るほどのものだった。カミングアウトついでにそのきっかけになる話なども聞かせてもらった。この年にして益々お盛んなことに感心した。そして、その後の飲み会で彼女を紹介するという流れになり、実際に紹介してもらった。古谷にしてみれば娘ほどの年の差があるのだけれど、この旅行会のメンバーとも打ち解けて仲間に加わることになった。
冒頭で書き記した通り、今回の旅行がペコや小松にとっては最後の旅行になる。日下部も継続というスタンスには居ないことで、彼女が加われば組長・古谷・久美と併せて4人で継続できる。そんな今後のことをコテージでの部屋飲みで話し合った。
これまでのやり取りの中で久美は雰囲気を察して旅行の継続は半ば諦めていたようだ。組長はこの期に及んでも継続を望んでいた。古谷はどちらでも決まったことに従うスタンスだ。
「一泊で旅行に出かけるのは今後厳しいので。でも、例えば近場へ日帰りで出掛けるとかなら、いいんですけど…」
ペコがそう言うと日帰りでも継続できることについては組長も賛成した。そこで日下部が提案した。
「キョンキョンも仲間に加わってくれたことだし、彼女の歓迎の意味も含めてこの秋にでも、例えば…秩父辺りなら日帰りでも楽しめるんじゃないかな?」
「それはいいですね。秩父は私も何度行ってもいいと思う」
「いいじゃないですか! 秋に歓迎会」
日下部の提案にペコと小松が賛成したことで、話がまとまった。
旅行の後、改めての反省会を兼ねた暑気払いの場でキョンキョンにもそのことを伝えた。彼女も大いに乗り気で、受け入れてくれた。あとは日程を決める。恐らく、一番忙しいのはキョンキョンであろうから、彼女の都合を最優先にして12月9日の土曜日に決まった。これを受けて日下部は即座にプランを立ち上げた。プランと言っても日帰りなので行ける場所は限られてくるのだけれど。
「完璧じゃないですか!」
小松がそのプランを絶賛した。
「三峰神社にダムまで入れてくれて感激です」
歓迎会の主役であるキョンキョンも喜んでくれた。ちなみにダムは古谷の希望でキョンキョンはダムになど全く興味がないとのことだった。
「私が行きたいところが入っているし、最後の祭の湯での忘年会を兼ねた小宴会も素敵です」
ペコからもそんな反応が返って来たので、日下部が建てたプランで実施することが早々と決まった。
現地ではレンタカーで移動する。運転は小松に任せることも決まった。
「まだ先のことで実感がわかないです」
「すぐですよ」
「そうですね」
さて、取り敢えず日帰りではあるのだけれど、旅行会は継続される。けれど、その先のことはまだ何も決まってはいない。果たして、今後どうなっていくのかは成り行き次第であるということは否めないものの、このメンバーはこれからも繋がり続けていくに違いない。