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10.

10.


 旅行の時はなぜか早く目が覚める。朝食までにはだいぶ時間がある。そこで、朝の散歩をすることにした。出掛けるのはペコと日下部と小松くらいなのだろうと思っていたら、結局、全員で出掛けることになった。既に夏に近い時期にあっても山間の朝の空気はすがすがしい。

「昨日からあの鳥居が気になっていたので、行ってみたいですね」

 そう言ってペコが山の上に見える鳥居を指す。

「たぶん、この“森神様”ってやつなんだろうけど、行けるのかな?」

 園内マップにも載っているそこは地図上では平面にしか見えず、こんな山の上にあるようには見えなかった。

「こっちじゃないですか?」

 ペコが案内看板を見つける。“ハーブガーデン”“絆の鐘”“森神様”などがそちらにはあるらしい。しかし、ここも上り坂だ。けっこうな急こう配だ。しかも足場も悪い。途中まで登ったところで古谷と久美はその先へ行くのを諦めた。

「俺たちは下の方をぐるっと回って行くよ」

 他の4人はそのまま坂を登って行った。すると間もなく“ハーブガーデン”にたどり着いた。最盛期にはきれいに手入れもされていたのだろうけれど、今は荒れ果てた庭にしか見えない。更に間もなく“絆の鐘”を発見した。

「これ、鳴らしちゃっていいのかな?」

 言うより早く小松が鐘を鳴らす。

『キンコーン』

「うわあ! けっこう大きな音だ。朝っぱらから大丈夫だったかな」

 見た目から予想していたのより大きな音がロマンの森に鳴り響いた。そのギャップに鐘を鳴らした張本人の小松以外の3人は思わず笑いだした。それから“森神様”への案内看板を見つけたのだけれど、そこへは更に登って行かなければならない様だったので、そのまま坂を下った。下ったところで古谷と久美に合流した。

 朝からいい運動になった。汗びっしょりになるほどに。


 朝食はホテルのレストラン。朝食の後はもうコテージへは戻らずにそのままバス停へ向かう。なので、帰り支度を整えてコテージを出る。コテージを出てまた坂道を下る。この坂道を二日間で何度登り降りしたことか。あんなにきつかった坂道でえさえ、もはや愛着さえ湧いてくる。

 ホテルに到着する。出発するバスの時間があるため、朝食時間を早めてもらっている。ホテルでの朝食はバイキング。席に着くなり、荷物を置いてバイキングの列に並ぶ。それぞれ好きなものをトレーに乗せ運んで来る。着席した者から順に食べ始める。こういう食事では選んだ食材にも個性が出る。そして、いつもの朝食に比べ、食べる量も多くなる。みんな一様に腹を満たしてロビーでバスの時間までくつろいで過ごす。そんな時、ペコが落ち着きのない行動を始めた…。




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