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8、探し物の旅

どうしてこんな事になっちゃったんだろう?

それはあなたが欲張ったせいです。

はい、せいかーい!


最初は髪を縛るゴムが欲しかっただけなのに…つい つい商売に欲を出し、いつの間にか冒険者のように万能薬を探し求める旅になってしまった。

でもちゃんと当初の目標は忘れていませんとも!

ちゃんと庭にある木の写生は終了し、旅に出てからも新しい植物を見つけると植物図鑑と照らし合わせて描き込んでるわよ!まあ、あの時 植物図鑑のクローン作っといて良かった。こうしてお外に勝手に持ち出す事が出来るのですもの! テヘペロ


それから植物採集も鉱物採集もあー荷物が多いって、ふふ 空間収納スキルを持っていたので有難く使わせて頂いて…、だってだって本当に必要だったんですものぉぉぉぉ!!

ほら! 逃走図る時の荷物だって入れておけば食糧も衣服も持っていけるからね!

ドラえも◯のポケットみたいに何でも出てきたらいいじゃない? だからうっかり願っちゃったんだもん! てへ。

家もあったらいいな。だって逃走中 ああトイレに行きたい!って時だって! 空間収納からトイレ付きの家が出てきたら便利でしょう? ログハウスみたいなのだったらいけるかな?って。

まあ、臨機応変に使える物は使ってこー! おー! バレなきゃ何でもOKっしょ。


そしてついたのはダンジョン。

アシェリ、ハルク、グレンで来たよ。チャチャーン!

アシェリは何も出来ない足手まといだよね、なーんて本当はいろんな魔法が使えるけどまだ明らかには出来ない。だけど じゃじゃーん結界魔法は既に公開済みなので、各自に結界を張ってレッツゴー!


2人が必死に戦っている間に こっそり道逸れて万能薬がある秘密の部屋に入る。なんで知ってるかって? そりゃゲームの知識から。知っているんだから仕方ない、仕方ない。

勿論そこにもいっぱい魔物が出る、いや言ってみればこのダンジョンの心臓部だからここには上位の魔物がいた。魔物は聖属性の魔法に弱い、そう私は聖属性の魔法も持っている。うっかりバレれば聖女にされる案件。でもサクッと使って魔物さんグッバイ。

だってアシェリは子供だからあまり長い時間視界から外れると探しに来られちゃう。

わーい、あったあった! 

万能薬ゲットだぜー!!

はーい、空間収納にポイっと。

そして、こそっと元の場所に戻る。あっ!でもクローンを作って交換してきたよ。

だって冒険者が折角頑張ったのに何もなかったら可哀想だから。でもオリジナルは頂いてきまーす! 完璧なクローンでも何か複製出来ないモノがあると困るからね!

あっ! 因みにちゃっかり魔石も全部回収してきた。 テヘペロ


そして頃合いを見て退却!

ハルクもグレンも袋いっぱいに魔石回収してた。良かったね! レベル上げが出来て小銭が稼げてwin win。

目的達成出来たし、また周辺の植物の写生をして植物採集、鉱物採集して買い物して、領内を探索して家に帰る。

すごいねガーランド公爵家って、めっちゃ広大な領地の中で色んなものが手に入ったよ。だって一つの小旅行? いいん普通の旅行だし、領の端と端で天気変わるとか驚き! しかもガーランド公爵家の屋敷が一つじゃない! だって1日で領内を回れないから! アンビリーバボよ。

領内の中心にメインの屋敷がありそこから東西南北に屋敷がある。だから家に帰るって言っても今日は遅くなったから近場の北館にお泊まり。そこから移動しながら領内の植物・鉱物チェック!


これってさー、私が断罪されても余裕で匿えるよね?

それでもそうしないって事は…、貴族って面倒臭い。


あー、植物図鑑の植物がサクサク見つかっちゃうから、時間がかかる。

「お嬢様 絵がとてもお上手ですね」

「えへへ そう? 嬉しい」

「何をしてらっしゃるのですか?」

「実はね、植物図鑑を見ていたのだけど 色味がないし…全部似て見えるでしょう? だから領内にある植物名前を覚えるついでに挿絵を描いているの。ほら、こうしてここに貼れば、とっても分かりやすいと思わない?」

「はぁー、凄いですね! 全くの別物に見えます!! 確かに分かりやすいです!」

「ええ、こういう図鑑は難しい事ばかり書かれていて全く興味が持てませんでしたが、こう色味がついただけで印象がガラリと変わります! 

実は遠征に行ったりすると現地で色々と賄わないといけない物があるのです。食材であったり、怪我や具合が悪くなった場合、持ち合わせの薬がなくなれば現地調達をします。

だから事前に勉強させられるのですが、書籍では解りづらくて 皆結局現地で先輩から実地で教わるのです。はぁー、あの時これがあれば…そう思います!

お嬢様はまだ小さいのにご立派ですね」

「ふふ お絵描きしているだけよ?」


それから最初に見つけたゴムの木に、器具を取り付け樹液を収集した物を回収。

今まで誰もゴムの木という認識をしていないので、木に傷をつけたときはギョッとされた。だけど気にしなーい!

それも持ち帰り早速加工した。時間は少しかかったけど後日、念願のゴム出来た。でもこのままだと髪に絡まって痛いので布を巻いてシュシュにした。ここまで長かった。


まあ、そんな感じで領内を1周しただけなのに10日かかっちゃった。変なの。

そしてメインの屋敷の裏庭で色々作業したりした。

そうそう、屋敷に戻ると以前注文した改良型特注筆記用具が届いていたので早速試し書き。

うん、いいね。

でもこれは夜な夜な行う作業用、日中はまだ取りかかれない。

今は採集してきたモノで布に絵を描いて変色をチェック、それから色落ちどめに薄い糊の膜を貼り、どの位の水やアルコールで色落ちするかを実験。でもその過程で見つけた加工糊、文房具としての糊としても使えた。これも領内で見つけたネバネバの植物『ミダーバ』海藻の一種、それを煮詰めて糊にしたものだ。副産物でひと稼ぎ出来るね。


植物で染色したものは全体的に染めるにはいい感じ。見たままの色ではなく大抵茶褐色い変色してしまうので、媒染剤で飛躍的に進化した。でも、模様として付けるなら鉱石を粉末にしたモノでエンボス加工みたいにする方が存在感が出て良かった。

デッサンした物を渡しドレスを仕立てさせた、そこに絵を描いて模様をつけた。それをお母様に見せると目が光った。

勿論お母様のサイズで作ってみたものを早速着てくださった。

作ったドレスはデイドレス、着心地の反応は良好。まず軽さに驚いていた、重さがない分裾が軽やかに翻る、そして気分も上がる。刺繍の美しさも良いが、手書きの絵の繊細さも良い! 色も金糸、銀糸以外は案外くすんだ色の糸しかないのだが、アシェリが作った色の組み合わせは無限 パステルカラーからヴィヴィッドカラーまで多彩、それに鉱物は細かく粉砕されているので角度により様々な色合いを見せた、そしてそれがまた目を引いた。奥ゆかしい華やかさと気品が本人の美しさを際立たせていた。とても4歳のおままごとレベルではない。


「素晴らしい着心地だわ! 刺繍も宝石も凝れば凝るほど重くて敵わなかったの、でも美しくあるためには仕方がないって諦めていたけど、何て緻密で繊細で美しいのかしら… ほぅ。様式美と機能美を兼ね備え完璧だわ! うちのアシェリは天才ね!」

「美しいお母様にお似合いになる素敵な物を作りたかったのです! 喜んで頂けて嬉しいです」

チョンとドレスを持って礼をすると皆キュンキュンした。目尻を下げた。


「アシェリ、それで今後どうしたいと思っているんだい?」

「実は相談があって参りました」

「ほう、相談ね。何だい?」

「絵師を集めて雇いたいと思っています」

「絵師を? このドレスのためかい?」

「それもありますが、本来の目的は違います」

「本来の目的?」

「はい、先日図書館で植物図鑑を見ていたのです、そのお庭にある木やお花の名前が知りたくて。でもどれも同じに見えるのです」

「ははは うん、確かに」

「それで色があったらいいのにって思ったのです。それでまずはお庭にある植物を絵に描いて色をつけてみました。それがこちらです」

「……!!! 素晴らしい! なんていうことだ 画期的だ…! いや だが…、それで?」

「はい、分厚い本もこうして色をつけるだけで見やすくなるなって。でもこの分厚さを全部は難しいので諦めたのですが、絵本だったらって思ったのです。それで試しに作ってみたのですが、こうして木を掘って同じページに版を色の分だけ作って重ねていくと色のついたページが作れます。私はそこまで器用ではありませんし、もっと器用な方がお作りになれば素敵なものが出来ると思うのです。それでふと閃いて布にも絵が描ければいいなって。だからただの思いつきなのです」


「いや、素晴らしいよ。思いつきでもこうして形に出来ている、素晴らしい才能だよ。お父様はアシェリを誇りに思う。今後に関して他にも色々考えているのかな?」

「はい! 目指せ 世界進出です! 私の作った絵本が世界の子供たちに届いたらいいなって思うのです!」

「ふふ そうか。その為の絵師なのだな? それと器用な者か、ではお父様が探してあげよう」

「有難う存じます。でもまだあるのです。世界進出を目指すにあたり各国の動向と主要ブレーンと情勢なども知りたいですし、全国展開するにあたり商会を設立しその代表者となる人物も欲しいのです。それはハーヴェルにもお願いしていたのですがやはりお父様やお母様にご迷惑をお掛けするといけないのでお知らせしようと思いまして」

「そう…相談してくれて嬉しいよ。ふふ、ではそれも併せて探すとするよ」

「それともう一つ…、私の関与は伏せて頂きたいのです」


「何故? これは誇るべき事だよ? アシェリはまだたったの4歳だ、それでこの発想にこの行動力。私は世界に自慢したいくらいだよ?」

「お父様のお気持ち有難く嬉しく存じます。ですが…、私は外の世界が怖い、やはり王子殿下たちとは関わりたくないのです。ですからガーランド公爵家という餌以上に何も情報を与えたくないのです」

「あなた本当にアシェリなの? まるで大人みたい…」

「…すみません、ほ、本の読み過ぎかもしれません」

やばいやばい、そうでした うっかりアシェリちゃんが4歳って言うの忘れてた。つい、焦って 違うか、早くアレが描きたくて気が焦った。


「いや、いいんだ。それでいい。ふっふっふ。

面白い、いいだろう、私は私の持てる力全てを使ってお前をバックアップし、全てを隠してみせよう! 他国の情報も私が知り得るものはお前にも教えてやろう。それをどう使うか見てみたい。それでいいね?」

「はい! 有難う存じます!!」


あー良かった! 一から組織を作ったりするのは14年では無理! 使える物は何でも使ってこー! そして両親を味方につければ国外逃亡生活もお先真っ暗じゃなーい! それでこそ処刑が回避出来るってものだ、だからそちらにかけることにした。お父様の人脈をフル活用して自分の店を早く軌道に乗せ、ムージマハル国に拠点を作らねばならない、お家もね。それだけバレなければ良いだろう。


それからすぐにお父様はアシェリの要望に叶う人物たちを用意してくれた。

意図を説明し図鑑の挿絵を絵の具で描く見本を見せ取り組んでもらった。絵の描き方にも個人差も個性もある。だから向き不向きがあるまずは適正を見る。まあ私が適正を見るなんて烏滸がましいけど、私の店だから私の好みでいいよね?


挿絵絵師、版画絵師、着物絵師、版画彫り師 同じ人がやるには無理がある 故の適正だ。

そして後のふっふっふ。


それから商会を取り仕切ってくれる人も紹介してくれた。

バスクル・ドースン むっちゃ出来る男って感じの大きな男性で身のこなしも只者ではないって感じだった。うん、流石にお父様 よく分かってらっしゃる。

秘密厳守、これが今回の鍵。

権力にも暴力にも屈しない人間。

お父様が信頼を置く人間なのだろう。

よし! 乗っかろう!


あれからお父様の執務室で他国の情勢だけではなく国内の動向なども資料を読ませて頂いている。それに紛れて国内の派閥も主要人物 男性も女性も様々な情報も含まれている。

これって4歳の女児が見ていいものか不明なものまで。てへ でも見ていいって言うんだからいいよね? いつ何に必要になるか分からないから 完全クローンでコピーして空間収納へポイっと。情報収集は私の大好きな分野。興味のある事は徹底的に分析して収集する。もうこれはフェチの域だ。

永山楓としての生では部屋にどんどん溜まっていく収集物。

読み物と保管用など分けていた為、かなりのスペースを要した。

コンテナ借りようか? 真剣に考えた。だが、その費用があればもっと買える! そう思うと思い切れず自宅に保管。しかも偶に見返すし…。大人なのに2段ベッドみたいな感じで下が収納スペースがあるタイプのベッドにした。そこには収納ケースにびっしりとコレクションが詰まっていた。部屋のスペースを確保する為、駅から遠い、都心から遠い、それ位全く問題なし! あれ以上増える場合 最後は事故物件でもいいとすら思っていた。

ああ、そういえばあの部屋どうなったんだろう? くぁぁぁぁ!! 人生かけて集めたコレクションは捨てられたのかー!! あぁぁぁぁぁぁ!! 今気づいた!!

はぁぁぁ、ショックだ。


むむむ。むふふ。



まあ、今はこの人生を謳歌しようではないか!そして色々なことが動き始めた。

はぁぁ、楽しみ。


「お嬢様、アレクシス王子殿下よりお手紙が届いております」

「有難う、カンナ」


ああ、忘れてた、いや忘れたいこと…思い出した。

おうじぃぃ。

もう忘れてくれよ……って無理か。

王妃陛下からの圧が凄いもんね。


さてこのままガン無視出来るかなぁ?

恐らく手紙交換で少しずつ距離を縮めていけってことね。

恐る恐る仕方な〜く周りに言われて書いたことを見て取れるように、当たり障りなく返信するか。その心は『義務は果たした』である。

王子の事は軽くスルー。まだ王子も幼児だしね。


1つ、国内で確かな商売基盤を作ること。まずは他にない商品の品揃え、拡販、世界展開

2つ、人材の確保…大半の事はダディ任せでいいけど、ムージマハル国のとマリアちゃんの事は別で、人員を探す! それに自分の影(情報収集)が欲しいけどこれはお父様系は避けたい

3つ、万能薬の成分分析と、製作精製、品質保持、量産


スターチス国では

10歳〜13歳で魔力測定・魔法能力の特訓及び制御

15〜18歳 貴族学園入学

因みに社交界デビューは14歳


アレクシス、ドナルド、ハワード、ヒューゴ  6歳

パトロシス、マリア             5歳

アシェリ、ペトロシス            4歳

因みに 兄ステファン 7歳、セルティス 6歳 貴族学園で微妙に一緒なんだよねぇ〜。

あ! そうだそうだ魔道具 記録 マジックメモリーを用意しなきゃ!!

ああ、それと…周りの人間にもマリアちゃんの事は伏せる必要があるか。

アシェリちゃんに誰か友達が出来るといいなぁ〜。

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[一言] 「恐らく手紙交換で少しずつ距離を縮めていけってことね。恐る恐る仕方な〜く周りに言われて書いたことを見て取れるように、当たり障りなく返信するか」 王子と再会した時に、またお尻を蹴られたと王妃…
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