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6、プランA プランB

家に帰り、安心してよく食べよく眠る、よし 全快!

って言っても回復魔法のお陰で基本体調は問題なかったんだけどね、バーバラちゃんの演技力が炸裂した。バーバラちゃん いろんなものいっぱい溜めてたんだね。でもバーバラちゃん曰く貴族たるもの狐と狸の化かし合い、腹芸が出来てやっとその土俵に立てるもの、馬鹿正直では生きていけない場所…らしい。

だから、アシェリの年齢を考えると王家に過失を認めさせた方が後々得だと判断した冷静な判断によるものだ。

そして両親にも周りの人間にも今後の印象として庇護欲をそそる いたいけな少女と印象付けなければならないらしい。もしここに打算的なものを見せてしまうと、何をしても裏を取られてしまうようになるんだと。はー、庶民には全然理解出来ないけど!


まあ、そんなで翌日には動けたんだけど周りが過保護になって更に翌日もずっとベッドの上で過ごした。だからできた時間で考える。



協力者として欲しいのはやっぱりカンナ! お姉さんだし、言ってもアシェリは4歳児だ、何か行動を起こそうとしても難しいことが沢山ある。だからそういう意味でも大人の協力者は必要だ、いざとなったらアリバイも協力者がいないと出来ないだろう。


それから気持ち的にはセルティスも欲しいところ。

今回の事でもわかるようにセルティスはアシェリの絶対的な味方になってくれるだろう、ただ…セルティスは伯爵家の令息だ(爵位は叔父に奪われてしまったが)、私のことに巻き込んで断罪されたりしたら、と考えるとイマイチ踏み切れない。そばにいて欲しいけど計画に巻き込むかは保留。


自分の使用人だけでは難しいよなぁ〜。



さーて、まずはストーリーのおさらい。


1、第1王子 アレクシス 5歳 or 第2王子 パトロシス4歳

本当はストーリー上関係があるのは、アレクシスだけだけど王妃陛下の反応だと王太子の後ろ盾として私を望んでいるフシがある。と言うことは、私とパトロシス殿下が仲良くなったらそっちでもOKって感じがした。

俺様王子たちだが、ゲームの中では更生後のまともな王子?だったような? あんな暴君 ヒーローになり得ん!

ゲームでは第2王子に尊敬されている真面目な王子様してたんだけどな〜?


2、第3王子 ペトローシス 3歳

腹違いの王子枠。

上の2人の兄と違って大人しめの正統派王子様。

だけど実際は王妃様の子供たちの素行が悪いので悪目立ちしないように、かなり猫かぶっている為ストレスが溜まり、人の目がないところではS系男に豹変。ヤンデレ系…ヤダヤダ。


3、ドナルド・オースティン 5歳

未来の魔術団長の息子。

神経質で理詰めで相手を追い込むタイプ。陰険で相手をジワジワ追い詰めて楽しむタイプ。何か作戦立てるのは大抵このドナルドだった。ヒロインのヨイショに気分を良くしてフィクサーな俺に酔うタイプ。


4、ハワード・ヴァルト 5歳

未来の騎士団長の息子。

成長したハワードは脳筋で、何かあると剣術に例える『ちょっと意味分かんない系』それがいい。おバカってシリアスが逃げてくって言うのかな、後半は一生懸命例えて話すハワード君をジト目で見て皆スルー、それでいて気まずい空気が流れるとハワードを使う、うん いいように使っていた感じ。


5、ヒューゴ・キンバリー 5歳

スターチス国の大商家の息子。

お金持ちなので(他の人たちも金持ちだけど)、ヒロインによく物を買っているイメージだった。その上情報通だから色んなこと知ってた。だから王子がヒロインを街へ誘う時もお膳立てはこのヒューゴがしていた。マリアが憂いた顔をするとヒューゴの選択ミスとされ少し理不尽で可哀想。案外ヒューゴルートが1番無理なく幸せなルートだった。だけどイマイチ盛り上がらないから、消化試合って感じ。


ヒロイン

マリア・ダラス 5歳

今はまだ平民として生きているが、12歳の時 男爵に引き取られて男爵令嬢となる。

心優しいマリアは森で動物たちと遊んでいるときに王子と知らずに出会って友達となる。

そして数年後、光魔法に目覚め聖女候補として貴族学園に入学し、王子と再会し愛を育む、王道。


主要キャストはこんな感じ。

悪役令嬢アシェリと第1王子アレクシスが婚約する。勿論ガーランド公爵家の後ろ盾を得るために組まれた縁組だ。アシェリは小さい頃から可愛い可愛い良い子良い子と何でも願えば叶えてもらえる環境にあり、高飛車な令嬢に育つのも仕方ないことである。

臣下であるはずのガーランド公爵家だが実状は王家も無視出来ない強大な権力と財力を持っている。王家の財政もガーランド公爵家が支えている。お父様は私たちには優しいが割と腹黒、ぶっちゃけゲーム上では国王もお父様の傀儡って感じだった。ただ無理難題を押し付けたりしないし法を犯して悪どいことをしてるって訳じゃないけど、結局お金出すのはマイダディだから顔色を見てお伺いを立てるって感じ。だからガーランド公爵家の力を利用するための婚約・結婚だったのだ。そしてアシェリは更に増長する。

確か、この乙女ゲームには逆ハーエンドはなかったような???

まあ、聖女マリアちゃんは本当に混じりっ気なしの天使!そりゃ惚れるよね!って感じの良い子ちゃんだった。だから それぞれのルートは存在するけど侍らせるって言うより天使マリアの力になりたい、俺たち君の幸せのためなら何でもする!守りたいって信奉者って感じ。


アシェリはアレクシスの婚約者なのだからアレクシス以外のルートの時は放っておけば良いのに、常に女王様でいなければ我慢出来ず、『天使ちゃん』とか『聖女様』とチヤホヤされるマリアを疎ましく思い数々の嫌がらせをしていく。


お約束の卒業パーティーで断罪。

アレクシスとしてもガーランド公爵家に一生を縛られて頭を下げ傀儡として生きていく人生に抵抗するべくアシェリを断罪したのだろう、断罪も用意周到に準備をし、強硬手段をとった。

魔道具でアシェリの行動を記録し証拠を長い間積み重ねていた。それこそガーランド公爵に証拠を潰されないように。

最終的にはガーランド公爵家を守るためアマイダディはアシェリを切り捨てる。最悪は処刑、良くて国外追放。キツいのが王宮にて生涯幽閉もあるのだが、役に立たなくなったアシェリを以前と変わらない待遇は出来ない、するつもりもない。そこへ来てアシェリの我儘に辟易し、毒殺、奴隷、モルモット、パパ自身の手討ちにされるなんてのもあった。

あんなに優しいダディがゲーム上での冷徹な視線をアシェリに送る…背中がゾクゾクしたな、私にはどちらかというと自分のお父さんっていうよりアシェリちゃんのお父さんって感じで見てるからだけど、アシェリちゃんは甘やかされていただけにきっとショックだったよね…。

よし! 自分のためにもバーバラちゃんやアシェリちゃんのためにも断罪回避必須! 悪役令嬢回避!

頑張るぞ!!



でも所々違うところがあるよね。

例えばお兄様のステファン、ゲームには出てきていたけど攻略対象にはなっていなかった。でも 傍若無人? 我儘なアシェリに辟易していてめっちゃ蔑んだ目で見ていた。頭も良かったしダディ譲りの腹黒で私が断罪すること…知ってたっぽいんだよね? ニヒルな笑顔がちょこっと画面にあった。


ステファン君は、国内最大の権力を持つ公爵家の嫡男の重圧に耐え日々努力していた、だが王位継承者第1位のアレクシスとアシェリの婚約と破棄でその努力を踏み躙られた。大した努力もしないで女王気取りのアシェリを嫌悪する…みたいな臭わせがあった。情報を売る代わりにガーランド公爵家を守った…のか、邪魔なアシェリを消したのか? まあそんな訳で兄妹関係は冷めた感じが描かれていた…はず、だから最後の隠しフラグでステファンが攻略対象になる! があるかと思ったほど。

『邪魔をするな、役立たず!』と罵られた場面があったな…。あのステファン君が冷たいとか、おばちゃん悲しい。


でも今はどちらかと言えば溺愛されている。まあ今のアシェリちゃんは可愛いよね? リアル天使だよね?

前髪簾も本当に心配しているし『天使のような子が可哀想に…あのボンクラども覚えとけよ!』って言ってるの聞こえたし。

ゲームの兄ちゃんはアシェリを憎んでた? 寧ろ情報提供して浪費家のアシェリを消させるのが目的っぽい、断罪がスムーズに行ったのだって陰で兄ちゃんが手を貸していたのでは? そう思うとガクブルだよ! はぁー、ゲームと違ってて良かったよ! ステファン兄ちゃんも好きだよ!


それとセルティス。

ゲームの中にはセルティスとして登場していない。簡単にお父様が没落貴族の中から使えそうな者を手駒として仕込む…的な話はあったけど、それかな〜? そう、ぶっちゃけアシェリパパは腹黒悪代官みたいな冷たいイメージがあった。現在の娘の立場から見ると全然そんなことないけど、まあこの国一番の権力者だしね、ただのいい人である訳ないよね。手駒としての子たちは密偵にされていた可能性大。 情報って大事だし、嫌なこともさせられたかも知れないけど、その子たちもアシェリパパが拾ってくれたから生きられたって言うのもあると思うんだよねー。


お約束の私が虐め倒す従者がいたんだよな〜? その子はどうしたのだろう?まだ屋敷では見ていない。

セルティスはイレギュラーなのかな?

確か私付きの従者の名はハルク、アシェリより5歳年上…今だと9歳か。

護衛兼侍従、いつの間にか当然のように側にいてアシェリの我儘を一手に引き受け虐められてた。5歳も上なのに!?

そっか、アシェリに魔法誓約で絶対服従を誓わされてるんだ、だからゲームの中のアシェリも反抗しないと知っていてやりたい放題だったのかも。

はぁ〜、ゲームで見ていた時はただの設定としてスルーしていたけど実際に目の当たりにすると…重いなぁ〜。

四つん這いにさせてお尻に片足乗せて『ブタめ!』って鞭振り下ろすなんて「その角度無理あるんじゃね?ウケる〜」って見てたけど、それ自分がやるとかなると…ないわーー、ない! そして誓う! 天使アシェリちゃんにそんな女王様みたいな事絶対させない!!

うん、そう! アシェリちゃんの中には私もバーバラちゃんもいる、三人寄れば文殊の知恵って言うからね! 目指せ平穏! おばあちゃんになるまでの長生き! せめて赤いちゃんちゃんこ着るまで頑張るぞい!



プランA

王子とは婚約しない!

と言っても元は政略結婚、そこへきてゲームの強制力や王妃の戦略、個人の努力ではどうにもならない問題がある。

婚約回避出来なかった場合……やぱり断罪まっしぐらなのだろう。

魔道具の証拠は 、アシェリが虐めなくても集まるのだろうか? んー、分からん。

でもやっていなくても人の目が証人となる可能性はある。その場合、私側の証拠して私の侍女や侍従では証人として使えないだろう。それに一般の令嬢と仲良くなって証人にしても『ガーランド公爵家のアシェリに偽証を頼まれれば断れないだろう』そう言う流れになる…否めない。しかもその人が偽証し嵌められるかも…。

よし、ここは私も魔道具で対抗しよう! それと日記でもつけてみる? むむむ


プランB

断罪を正しく迎えた場合。

どんなに頑張っても結局断罪され処刑や国外追放されるかも知れない。

処刑はなんとか回避し国外追放に持ち込み国外で悠々自適に余生を生きる!

うん、なんだかしっくりくる。ネクラにはしがらみのない『引き篭もり』は甘美な響き。

確か国外追放される先は隣国ムージマハル国、確かあまり良い環境ではないのよね…、だから処刑と同義語の国外追放となったはず。追放されたその国、もしくは別の国で余生を過ごすための下準備をしてその日を迎えるっと。


アシェリちゃんは4歳、断罪されるのが18歳。まだ14年ある! 今のうちに出来ることをしよう!!


よし、次! 今出来ること!!

この乙女ゲーム『スターチスの聖女 マリアの献身』の内容を味方に伝え理解して貰って、その対策を練り行動すること!!




ガーーーーーーン! いや ガビーーーーーン!!


バーバラちゃんにもアシェリちゃんにも理解して貰えない。シクシク。

バーバラちゃんはどちらかと言うと理解したくない! の方だけど……だけど! これは全員で協力しないと出来ない事だって言うのにぃ〜!


バーバラちゃんも立派な王妃になるため家のため一生懸命頑張ってきたのに、最初から断罪される運命だった!? 自分の行動とは何も関係がないと言うことが理解し難い。あんなにキツい王妃教育を受け、好きな事も出来ない我慢ばかりの人生、たった17歳で婚約者に殺された人生が『決まっていたことと』と知るとやさぐれちゃうよね。アシェリちゃんに至っては自分が悪役令嬢って聞いてショックを受けてたけど、悪役令嬢ってなに? って…そこからかーい! 前途多難である。

まあ、確かに2人は生まれた時からこのスターチス国の人間だから私とは感覚が違うのだろう。これから起きるであろうことを共通認識として把握する必要があるのだ。

何がいいかな?どうすれば理解してもらえる? うーーん………。

ぽくぽくぽくちーーーん そうだ、私にはアレがあるぜぇーい!



カンナに言って大量の紙とペンとインクを用意して貰った。

ぐぁぁぁぁぁあ! 羽根ペンめっちゃ使いづらい。紙も滑りが悪くて滲む。これでもガーランド公爵家の最高級品、クソっ、前世の感覚を知らなければ我慢もできるのに!

どうしよう、どうしよう!! 皆の共通認識として知っておいて貰いたいだけだからこのクオリティで我慢すべき、だがにんともかんとも許し難ーい。そ・れ・に! もっと細い線が描きたい! ベタっと塗りつぶすこともしたい! それからはみ出た線を消したい! 線引きも欲しい! 作って貰おっかな! だってアシェリはお金持ちだもん! 子供の手にジャストフィットする軸で先は出来れば全方向に動かせる物が良し! フリクションなんてないしな、画面でやり直しも出来ない…、これは相当集中せねば!


紙に絵を描いてこういうものが作りたい!と強請るとアシェリパパは紙工房とペン工房を買収してプレゼントしてくれた。しめしめ そこにカンナと行こうとすると護衛を連れて行くように言われた。


1人は青年護衛騎士って感じのグレン23歳と1人はハルク9歳。

出たーー!! ここにいた。なんかハルク君は9歳と言えばまだ子供だと思うのですが、既に暗殺者、みたいな暗い影を纏ってる。えーーーー! 私たちまだ出会って間もないのに、すんごい刺すような視線が痛い! 

そうか、ハルク君はアシェリの護衛兼侍従としてこうして付き日々鬱憤サンドバックにされたんだろうね。ごめん。

アシェリに付くために今までその秘密の特訓させられてたんだよね? 私のせいで…ホント申し訳ない。でもでも絶対虐めとかしないからね!! うん、虐めはしない…でもその能力ちょこっとは使わせて いやいやいや 利用? あー、どう言っても人聞き悪い まいっか、 お気軽に利用させて貰ってもいいよね! せっかく磨いたスキルだもんね。でも片足乗せて『この役立たずのブタがー!』とかは絶対やらないからね!


という事で、工房に日々通い納得のいく道具たちを手に入れたのだった。テッテレー。


まあ、出来上がるまでにそれなりに時間はかかったので、簡単なストーリーは書き出しておいた。それと忘れてはいけないのが国外追放先の動向チェック! 出来ればそこに家を買って商売が出来ればいいかな? って思ってる。国外追放先で野垂れ死ぬとか嫌だし。

でもいきなり向こうで商売なんて言っても上手くいくわけがない。まずは市場調査、それからこちらに会社を立ち上げて、商会の拠点として全国世界展開! それが自然だろう…、だけどここで要なのは私の関与が知られない事だ。関与が知られ先に潰されたら元も子もない。14年でそこまでの会社を作るのは至難の業、でも生きるためにやるしかないのだ!! ふんす!

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