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35、精霊召喚−1

魔術師たちが王宮から20人呼ばれて魔法陣が描かれ術式を展開していく。

『プリエール』の中央を20人が囲み、その中心に生徒が1人たち精霊に祈りを捧げる。

1人あたり15分程度、なんの反応もなければ終了、次の人へと移っていく。魔術師たちはポーション飲みながら儀式続行、魔術師たちにとってはなかなかの重労働だ。


今年は30人の生徒 単純計算で1時間に4人しか出来ない。休憩を取りながらなので長丁場だ、待っている生徒も終わった生徒も退屈なので、出入りは教師に断りを入れれば自由だ。

今で9人目が終わったところだがまだ誰も召喚出来ていない。


ドナルドの番がきた。

中心に立ち自身も詠唱する。ドナルドの父は現在の魔術師団の師団長、何としても聖霊を手に入れ父に誇りたかった。自分は立派な跡取りだと示したかった。

ドナルドはアレクシス王子の側近ではなく魔術師団に入って父の後を継ぎたかったのに、同じ年という事で謂わば命令で側近になったのだ。幼少期から一緒にいると、見たくないものも見えてくる。ある時期からだいぶまともな王子らしく変わったが本質は自己中心的な俺様王子だと思っている。

自分が出来ることは他人も当然出来るものとし、無茶振りも当たり前。

アシェリ嬢がアレクシス王子殿下を避けているのは婚姻したくないからだとすぐに分かった。上の人間に取り入りたい連中はそれでもへこへことついていくが、ガーランド公爵家であれば権力に媚びる必要がない、だからこそ引きこもっている、引きこもりの要因は王子にある、そう感じていた。

残念ながら我が家は権力に媚びなければならない側の人間だ、だから嫌だったけど父の言う通りアレクシス王子殿下の側近にもなった。


今のアレクシス王子殿下は普通に優秀な人間だ、だけどそれだけ。自分の主君として心から仕えたいかと聞かれれば否だ、カリスマ性 主君としての魅力はない。どちらかと言えば私はセルティスに仕えたい。冷静で洞察力に優れ常に周囲を把握しており的確な指示を出す。先見の明があり自分の興味に対してだけではなく各分野にアンテナが立ち不得手がないように見える。コレがガーランド公爵家か、と舌を巻く。殿下とセルティスが同じ学問を学んだとしてもきっと多くを吸収し、違う視点に気づく、そんな人物であるセルティス。最近の私は彼に心酔しすぎている気もするが目が追う事をやめてくれない。ああ、彼にこそ仕えたい。

そのためにも実力を示して父の元から独立したい!!


魔法陣に急に風が吹いた気がした。

一瞬の静寂の後、ミルククラウンのように煙が魔法陣を覆っている、よく見ると煙ではなく魔力だった。それが時計方向にグルグル回り始めた。今までとは明らかに違う様子に色めきだつ。魔力の壁でドナルドを包んだまま三角錐のようになり光ったと思ったら片手に乗るくらいの小さな精霊と思われる光の球があった、人の形は確認出来ないがエネルギーを感じる、間違いないだろう。

「「「「「お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぃ!!!」」」」」

地響きのような声援が広がり精霊召喚を喜んだ。


これで側近ではなく魔術師としての道が拓けた!



次の者へと進み、ドナルドのように聖霊を召喚出来たものは王宮魔術師が指導の元、学園側に連絡し暫く王宮で訓練することになる。


今度はアレクシスの番だ。

漫画では精霊が召喚されていた、セルティスも注視して見ていた。

だが、何事もなく終わってしまった。肩を落とし残念そうにして戻っていった。

次の番に変わりやはり何もない。


順番は進み次はマリアの番だ。

マリアはカミラから聞いて自分が光の妖精を召喚できると知っていた。

だから堂々と魔法陣に立ちその時を待った。

『妖精さん 精霊さん 女神様! お願いします! お願いします!! とびっきり可愛くてかっこいい光の妖精をお願いします!!』


シュババババーーーーン! ぼわわわーーーん! きゃーーー出たーーーイエス!!

召喚された場合の妄想は準備は万端だったが精霊は召喚されなかった。


「えっ!? ちょっと待ってよ! なんで出ないの!? 光の妖精は???」

「マリア・ダラス 残念だが召喚は失敗だった、帰りなさい」

「おかしいわよこんなの!! だってカミラが言ったもの! 私は女神様にも会ったし、この召喚で光の聖霊をゲット出来るって!! そうしたらアレクシス王子殿下のとお揃いで精霊を召喚できて皆にお似合いだって祝福してもらえるって!! こんなの物語にない!! インチキよー!!」


「何を言っているか分からない、アレクシス王子殿下は精霊を召喚されていない。妄想は家に帰ってから勝手にやってくれ。ほら、時間がない!次へ行くぞー!!」

「何かの間違いよ! もう一回! もう一度やらせてー!!」

マリアは必死に食い下がるが、皆疲れているのだ 無理やり教師に両脇を抱えられ魔法陣から退陣させられた。

泣き叫び、ジタバタ足を宙に浮かせ騒ぎまくっている。ここ最近大人しいと思っていたが やはり変わっていなかったらしい。どうせならもっと猫かぶっていて欲しかったが。


そしてマリアは転生者じゃない転生者はカミラだと言うことも確定した。

その様子をじっとセルティスは観察していた。


召喚の儀式はまだ続いている。かれこれ6時間も経っている。終わった者は既に教室に戻り、時間になれば先に帰ることも許されている。セルティスやそれ以降の者は中抜けして戻ってきた者が大半だ。


「魔術師の方たちが休憩を取るので、一旦休憩とする! 君たちも休息をとり30分後までにこちらへ戻って来てくれ、一時解散!」



その頃のアシェリは…、サテン 朱子織りを再現したい!

サテンの肌触りに光沢、染めて絵を描く、1点ものの下着、いいねぇぇぇぇ。

欲望に塗れていた。


レースも機械でバーンって出来ないからさー、一つ一つ手作りしなきゃならない…、下着1枚がかなりの高級品になるなー、採算取れるかな? んー、大量生産は今のところ無理だな。

サテン生地が出来たらドレスにすれば間違いなく売れる。でも、下着でセンセーショナルデビューもいいんだよなー。でも下着に使われたと知ると嫌がるかな?

そうか! お揃いだ! ドレス、下着お揃い、セットアップにすれば恐らく忌避感はないだろう。


刺繍か…、得意な侍女か手先の器用な者かなんとかなりそうだな。ついでにレース編みも、やってくれる人も更に雇おう。

ああ、それに染色もしたい、光沢のある布で前世のモノを再現!

下着に刺繍してくれる人…見つかるといいなぁ〜。ビビットなカラーに立体感のある大ぶりな花とかも良いなぁ〜。


「ニュース! ニュース!! ドナルド様が精霊を召喚されたらしいわ!!」

「凄いわ! 何年ぶり?」

「暫くいなかったって話よね!」

「あー、でもアレクシス王子殿下はダメだったみたい」

「えーーー! 残念―――! でも仕方ないわよね? そうある事ではないのですもの」

「ドナルド様はエリートコースまっしぐらね!」

「やだ、ドナルド様を狙うつもり?」

「そりゃそうよ! 私たちみたいなのは王子殿下とは身分が違うもの、それに売約済でしょ? 夢見るだけ無駄だわ」

「ドナルド様も侯爵家のご出身で精霊までいるとなると、アレクシス王子殿下より競争率が上がるかも!」

「あははは、確かにね! ここはワンチャン狙っとかないと!」


へぇ〜、ドナルド様が精霊を召喚された。乙女ゲームの展開とは違ってきているわね、これはいい傾向なのか悪い傾向なのか いまいち分からないわ。それにアレクシス王子殿下も召喚出来なかったとなると、マリアちゃんも怪しいわね。


未だに私のいないところでも何かあると私のせいになる、それはゲームの強制力だろうか? 或いは、もう1人の転生者の存在。転生者はマリアではない、転生者はカミラ・グラハム男爵令嬢 密かに調べさせていたから間違いない。

カミラはアイテムをゲットする方法にも無駄がない。 マリアちゃんはカミラに操られている、アイテムであるあのカップケーキで、つまりはそういう事なのだ。

マリアちゃんをうまく操って自分の家を救おうとしている。だけどカミラは既にルートが不明であるにも関わらず自分が1番利益を貪るにはアレクシスルートと断定してマリアちゃんにアレクシスを攻略させているのだ。

そして何気にカミラ自身はヒューゴに近づいていた。だけどヒューゴは大商家の家柄、情報は命だ、カミラが何狙いかは掴んでいたのだろう、マリアちゃん以上に相手にしていない。


ふむ、何ルートなんだろう?

最初から一度もアレクシス王子とマリアちゃんはいい感じになったことがない。

そんな中、マリアちゃんは全然好感度の上がらないアレクシス狙いで掘り下げていたけど、あからさまな姿から他の攻略者たちもマリアちゃんも気持ちはバレバレだろう、そうなると今更アレクシスからルート変更し辛い、つまりマリアちゃんは誰も攻略できていないのだ。


???????


物語が破綻してないか!?

えーーー!! それなのにアシェリだけが悪役令嬢続行なの?? 酷くない!?

はぁー、面倒 それならいっその事 自分から国外に出ようかな?

あーーーいいかも! 学園が終わってから国外に出て、アレクシスが結婚してから戻ればいいし! もうセルティスと結婚しているから無理やり貴族学園にいる必要性もない!! まあお兄様と勉強していたから学園の勉強は問題ないし。

ニコルがどこの屋敷ももう使用人入れていつでも住めるって言ってたからそうしよう!!


よし! セルティスが卒業する時一緒に学園辞めようっと!! なら早速相談相談。



学園の授業が終わったのでついでにセルティスを見に行くことにした。

勿論情報はアシェリの影たちが教えてくれる。



ふんふんふん

あっ! いた。

へぇ〜、祈りの場所かぁ〜 雰囲気あるなぁ〜。

森の中にあるから日中なら木漏れ日スポットライトもいい感じだろう。今は3時過ぎだが森の中では暗い、魔法で火が焚かれまさに儀式って感じ。影が濃く出て怪しく揺らめく、夕方になると魔が活気付くので終わらなければ翌日に持ち越しだ。


セルティスの番が来た。


ワクワク 乙女ゲームの中にはセルティスは登場して来なかった。

お母様とセルティスのお母様がお友達で我が家に来たわけだけど、当然ゲームの中にはこんなくだりもない。私と同じくらいイレギュラーだ、そのイレギュラー同士でこの物語に抵抗している事になる、どこまで通じるのか、セルティスを巻き込んだ事に未だにモヤってる。


絶対 2人で幸せに長生きしようね!



他の生徒と同じように儀式が進んでいく。

「ほぉ〜、あれがそなたの男か?」

驚いて声の主を見れば見たこともない人物がいる。

「あの〜、どちら様でしょうか?」

「ああ、我は精霊王ヴェリタムール」

「そして我は魔王ヴェリデジール」

「わぉ! コホン まあ、高貴な方達がお揃いで…如何されました?」

「ふむ、女神様がお前を面白いと言っておったので会ってみたくなった」

「左様でございますか、それはご丁寧に?」

「確かに面白い、我らを見ても動揺せんとは!」


「一つ伺っても?」

「おお、何でも聞くが良い」

魔王様は案外気やすいなぁ。

「精霊王様と魔王様がお揃いとは…そういうものなのですか?」

「ああ、我らは双子ゆえな」

「対等なのは互いゆえよく共にいる」

「仲良しなのですね、うん 良いことですね」

「そなたはここで何をしておるのだ?」

「はい、精霊召喚の儀式を間近で見学しています!」


「そなたは参加せぬのか?」

「私はまだ出来ないんです。17歳のこの儀式の時しか出来ないんです」

「なるほど。何故17歳ではないといけないのだ?」

「えっ!? はっ!?  精霊様が未熟な子供には降りて来られない?とか、容量不足とかそういう事じゃないんですか!?」

「いや そういう制約はないな」

「そうだぞ、要は気にいるか否か、それだけだ。心が未熟で不安定であれば姿を表すこともない」

「それに契約を交わしていなければ姿を消すのも自由だ、人の一生はほんの瞬きだ」

「我らには終わりがない。故に娯楽に飢えておる」

「女神様がそなたは面白いと言っておったのでな、楽しませて貰おうときた」

「はぁー、特に面白いことはしていません。ただ楽しく長生きするために策を弄しているだけです!」

「うん、面白い!」


「あー、駄目だったかぁ〜」

「ん? ああ アレがお前の男だったか。精霊が欲しいのか?」

「魔物でもやろうか?」

「いえ、ただ見たことがないので見てみたかったんです」

「ふーん」


セルティスは教官に戻る旨を伝え教室に戻ろうとすると、道が勝手に開いていく。

ああ、これ怪しい まずい気がする。でも自分の意思で道を違えることは出来ない。

連れて行かれた先には…

「アーシェ!?」

「セルティ、いらっしゃい、そしてお疲れ様。残念だったわね」

「…ああ、うん。 ここで何してるの? なんかここへ導かれたんだけど…、なんか今 物凄く見られてる気がするんだけどー!!」

セルティスはアシェリを抱きしめ咄嗟に庇う。


「精霊王様、魔王様 私の旦那様をあまりいじめないでください」

「はははは、悪い悪い」

「どんな男か試したくなってな」


お二人はセルティスの前にも姿を現した。

「ご紹介しても宜しいですか?」

「ああ、私は精霊王のヴェリタムールだ」

「私が魔王のヴェリデジールだ」

「初めまして アシェリの夫のセルティス・スタッドでございます」

「おう」

「アシェリ では見せてやろう。セルティスは水か…、まあ他にもつけてやればもっと面白くなりそうだ」

「ああ、いいなぁ では私も」

「いえ、魔物は結構です! いえ、精霊も。あまり目立ちたくないので」

断ったが面白がる2人は人の話を全然聞いてない。


「わぁぁぁぁ! セルティの肩に肩に!!」

なんか1つじゃない!いいいいっぱいいる!?

「あああああああの、これは…精霊ですか?」

「ああ そうだよ。折角だから役に立ちそうなのを見繕っておいた」

「こんなに沢山? さっきの儀式では魔術師がドパーって汗をかきながら15分くらい祈ってたんですが…どうやって?」


「あーあれ? 気休め? あの術式では力のあるものは呼び出せない。ただ耳に音が入ってくるから 興味を引いて近づいて見に来る程度だ」

「そう、あの儀式自体にはさほど意味がない。見て興味をひけば出ていくし、興味がなければ無視する。ただアレは精霊も魔物も引きつけるから気をつけないとな」


「そうなのですね、で、セルティの肩には沢山の精霊がついていますが…、この子たちって普通の人間に見えますか?」

「ふっ、やはり面白い」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「「「「「お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぃ!!!」」」」」 地響きのような声援が広がり精霊召喚を喜んだ。 「「「おぉぉっ!!」」」なら分かりますが濁点と最後に「ぃ」が付いているせいで声援とい…
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