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34、ランジェリー

なんで頭がランジェリーになったかと言えば…、色々要望が来ていたから。

この世界の下着といえばコルセットとドロワーズ長め、ちょっと色気に欠けるのだ。

ぶっちゃけ 娼婦のお姉さんたちですらシュミーズに刺繍で凝った作りのものに、コルセットなしで下はドロワーズは短め…つまりキャミソールにショートパンツみたいな下着。

漫画で見る下着は凝っていてかなりセクシー、コルセットのない布面積の少ない下着に度肝を抜かれ、 ベビードールには男女問わず興奮した。見てはいけないものを見た!的な。 まあ、エロ本を初めて見た子供のように、何度も開いては閉じ開いては周りを警戒しながら指の隙間から妄想を掻き立てニマニマしていた。

そして次の行動は 

『あんな下着、本当にこの世に存在するのかしら? あるのなら見てみたい、欲しい!』

となり、恥ずかしいから侍女を使って問い合わせ。

問い合わせる侍女も恥ずかしいが聞かれる男性店員も恥ずかしい。だが最近では日に何度も問い合わせを受けるので『当店では取り扱いがない』と断っているらしい。つまり!需要はあるらしい。ふふ〜ん!


デザインは思い出して描けたんだけど、ブラジャーの型紙は分からない。

しかもブラジャーは人によってサイズが違う。コルセットみたいに締め上げるわけではないので、はい作った売ったと言うわけにはいかない…試着なんて貴族の令嬢が来るとは思えない。

ああ、ガーターベルトも良い!Tバックも良い! スケスケレースも良い! ロリ系リボンとフリルも良い!

豊満なパイがホックが外されたとともにボインとたゆんとするのも良い!! 小ぶりでも露わになった時の手に収まる清純さも良い!


ムフフ 黒いレースってこっちでは葬儀や式典のイメージ…セクシーにしちゃったら叱られるかな?

ああ、でもお姉さんがブラのホックを背中で外すのもセクチーで好きぃ。是非とも布教したいなぁー。


むむむ…、レースは肌に身につけるからゴワゴワせずに優しいものがいいなぁ、ゴムはあるけどパチンと止める金具はない。はてさて…。


やはりホックも金具もない。小さな金属は量産する技術はない。

そこはセクシーにリボン? リボンでは心許ないか…。ん、釦はいけるか…、ガラスは危険、なら木?

あっ、でも石膏に型を作って金属を流し込む、いけるか!?



本当はBL系 百合系も描きたい。

だけど今世に出せば たちまち公序良俗に反し捕まり潰される。折角地道に布教活動してきたのにここで潰されてなるものか!!

つまりまだ世に出すには早い。早くなくても店頭で堂々とは売ったり漫画喫茶で閲覧フリーには出来ない、やるならこっそり同じ匂いを感じる人に密かに授けなければ…。



ああー、気づけば朝!

やっちまったい。セルフ回復魔法して学園へご出勤…登校だい! 人格交代、暫し休憩。



学園の執務室でニコルに話をした。


「また凄いモノを思いつたものですね」

「うふふ 可愛いでしょう?」

「まあ、凄い話題になるでしょうが…、流石に非常識と…異端児扱いされるかもしれませんよ?」

「私は表に出ないし架空の人物Xが標的にされるだけでしょう?結構 需要がありそうなのよね。ドースン商会で売ろうかと」

「無理です!」

偶々ここにドースンも来ていた。

「お嬢様が手掛けたものであれば当然 話題となり爆発的ヒットとなるでしょう、ですが! 取り扱いあるか聞かれるだけでも対応に困っているのに、売るなど…ご勘弁ください!! 後生です、それだけはお許しください!!」


「んーそっかー、ではどうしようかしら、ニコル…それならランジェリー専門店を作ろうかしら? 試着もして貰いたかったし…、ドレスと下着で独立させようかしら、どう思う?」

「はい、それが宜しいかと思います。では早速店舗の確保と店員の確保を致します」

「お願いね」


「お嬢様、そろそろ授業のお時間でございます」

「あら、では行ってくるわね」

「行ってらっしゃいませ」

アシェリちゃんごめんね、下着の話をニコルたちと話してたら、恥ずかしいって蹲っちゃった。

ごめんちゃい、バーバラちゃん 代わりに授業宜しく!



周りの学園生からアシェリへ微妙な空気が流れている。

横にいるクラウン卿とバーナム卿に聞いてみた。

「この視線はなんですの?」

「昨日の食堂の件でございます。あの場ではまた悪役令嬢アシェリ嬢の仕業で纏まりましたので、その影響かと思われます」

「ああ、すっかり忘れてたわ。そうだったわね…、それでわたくしはパトリシア様の取り巻きを使ってマリア様を虐めたと言う結果だったかしら?」

「ええ、そうですね。ですが、アレクシス殿下は憶測でものを言うな、品位に欠けると叱責されていましたよ」

「まあ そうなのね…でもきっと火に油を注いだだけね ふぅ、でもお礼は差し控えますね、面倒ごとはごめんです」

「ははは そうですね」

「でも この風潮はマリア嬢が卒業したら終わるでしょうか?」

「さあ…、学生同士の交流もしていない今でもこの通りですからね、綺麗さっぱりなくなるなんて事はないかもしれませんね」

「達観しておられますね。理不尽だと思われないのですか?こんな一方的に悪評を立てられて…」

「うーん、何も思わないわけではありませんよ。でも1番は私に近しい方たちが被害を被ったらと思うと恐ろしく申し訳なくなります。何をしてもしなくても悪女にされてしまう…、だから今は周りを巻き込まないように嵐が過ぎるのを待っているのです」

「私は!私たちはあなたが悪く言われる事を腹立たしく思います。誰よりも優しく誰よりも優れているのに!!」

「ふふ 有難うございます、でも目立ちたくないのです。王家との縁を断ち切るためには仕方ないのです」

「ご結婚された今ででもですか?」

「ええ。今はまだ駄目ね。それに、便利な道具と思わせるのは得策ではないと考えているの。だから 私は表に出ない今の状態で、伯爵夫人でいいと思っているの」

「左様でございますか、畏まりました。私たちの主人はあなた様だと考えておりますからどんな形でもお供いたします」

「有難う、こん小娘でいいのかしら?」

「「ふふ 勿論ですよ、寧ろ光栄でございます」」



セルティスの今日の授業は森に入り神聖な祈りの場所と言われている『プリエール』で精霊召喚の儀式を行う。だがこの儀式では殆どの者は精霊を召喚できない。

このクラスは魔法が使える者たちだが、そのレベルは様々 ここ数年は1学年に1人召喚できればいい方だ。だから大半の者は期待していない。


本日召喚儀式に参加できるのは魔術クラスの者だけだが、騎士クラス、淑女クラスの同じ学年の者も見学できる。まあ、誰か1人でも精霊召喚できればかなり盛り上がる。


そう、この儀式は言わずと知れたイベントだ。

アレクシス → 火魔法

セルティス → 水魔法

ドナルド  → 火魔法

マリア   → 光魔法

この中でアレクシスとマリアが仲良く精霊ゲットだぜぃ!して、皆に祝福されて、お似合いの2人!と、2人の関係も祝福され公認の仲となっていく。この物語で決定的なポイントになって行くイベントだ。

漫画のアシェリは婚約者であるアレクシス王子と聖女マリアがお似合いのビッグカッポーと言われることに嫉妬して嫌がらせをしていく。

だが正直今はそうなってくれれば…いや、私以外の人間と強固な結びつきをしておくれでやんす。くっそー! なんで毎回巻き込まれるんだ! こんなにも大人しくなりを潜めて生きてるのに!



ところで、お金の心配のない伯爵夫人って普段何やってんだろう?

女性が外で働くと言うのはこの時代はNG。なら主に社交? つまりは井戸端会議で巷の情報集めと夫の地位によるマウント派閥形成、後は良縁とお近づきになるためのアンテナの設置……?


バーバラちゃんのお母様は国境の領地で領主代行のような仕事をしていた。タングストン侯爵(数年前に亡くなったパパさんね)は高い魔力で国務大臣だった、若い時はパパさんのパパたちが代わりに領地に残ってくれていたんだけど、お年を召されてからはママさんが代行してた。パパさんは王都に残ったままだから、社交シーズンにママさんが王都に来ないと遠距離夫婦まあ別居状態だった。仲は良かったけど物理的に距離があった。

まあ、それは置いておいてつまりママさんは仕事が沢山あった、その中で近隣の貴族や自領の貴族とのお付き合いもしていた。ある意味スーパーウーマンだね。


アシェリちゃんのママンは完全に社交オンリー、専業主婦ってやつ?  広大な領地も王都にさほど離れていないし、遠くにある領地も基本は優秀な部下がいるのでタッチしていない。ママンはどちらかと言うと周りが放って置いてくれない。ガーランド公爵家攻略のための鍵、次から次へとアポイントメントを取り付ける書状とか押しかけ面会などひっきりなしにある。売り込みも多い、目の肥えたママンを納得させられなければ商売の成功もない。試金石だね。


でもって私は今かなり不労所得がある状態。まあ、薬関係は私1人で作っているけどね。

多くの手がけている件は、体系化が確立し上手く回っているからだ。


社交とは、情報収集と貴族同士の結びつき強化のための手段、なんちゃってー! 情報網もある、どこかの貴族と結びつかなくてもガーランド公爵家には十分力がある、つまり結びつく必要なーし!

アシェリちゃんはガーランド公爵の娘で国が確保しておきたい結界魔法持ち主、チート部分抜かしてもコレだもん、引きこもりオタク生活もうできるんじゃね? 派閥? パパンが今殺されてもガーランド公爵家が没落することはない、アシェリが王子を殺そうとでもしない限りは…、いや殺したとしても上手いことガーランド公爵家の金を奪い取らなければ国が滅亡する事態になるだろう。今の状況ではどう頑張ってもガーランド公爵家の顔色を伺う必要性がある。それなのに王妃陛下は…まあ知らないのかもしれないな。


そんな事を考えていると意外な人物から声をかけられた。

「アシェリ・スタッド嬢、 少し話をしてもいいだろうか?」

目の前にいたのはペトローシス第3王子だった。


アシェリに無体を働いたのは第1王子と第2王子、アシェリが第3王子を遠ざける理由がなかった。仕方なくだが顔には出さず、無表情に対応。

「はい、なんでございましょうか、ペトローシス王子殿下」

「そう固くならずとも良い、我々はまだ学生だ。同じ歳なのだから仲良くできたらと思ったのだ」

「はい、有難う存じます」

イヤイヤイヤイヤ全然仲良くなりたくないんですけど!? なんで!!

まだ王太子が決まっていない状況で王妃陛下からお生まれになった第1王子アレクシスがほぼ確定枠、それでも 万が一アシェリとペトローシス王子殿下が懇意になればその均衡はグッとペトローシス王子殿下に傾くかもしれない、そうなれば王妃派からアシェリは狙われるようになる。ムリムリムリムリ あっち行ってよぉ〜ん!


シーーーーーン


「すまない、あまり慣れていないのだ」

「わたくしもです」


シーーーーーン


恐らく普通の令嬢は気を遣って会話を繋げるのだろうがアシェリちゃんは…無理!と言うか、頑張りたくない。

だからこの居心地の悪い環境を放置。


「ペトローシス王子殿下 こちらで何をなさっておいでなのですか?」

ペトローシス王子には満面の笑みでアシェリには睨みながら近寄ってくる器用と言うかおかしな令嬢がいた。

恐らくペトローシスを狙っているのだろう、面倒な事だ。

やって来たのはルチアーナ・アーノルド公爵令嬢、ペトローシス王子殿下と共に入学の時 挨拶をされていた方だ。当然アーノルド公爵家もアレクシスを狙っていただろうがパトリシアに決まってしまったので、次に狙うは王妃腹のパトロシス王子だけど失脚してしまったからペトローシス王子に方向転換、ここは譲れない戦いなのだろうが、アシェリはセルティスと結婚しているのに 何故あれほど睨むのだい?


「やあ、ルチアーナ嬢 特に何をしていたわけではないが、折角同じ時に同じ学年で学んでいるのだから仲良くできたらと思ってね」

「流石殿下はお優しくていらっしゃる、でも世の中には勘違いする者もいるのですよ?それに友人は選ばねばなりません、殿下は高貴な方なのですから」

チラリとこちらを見る。


「殿下 それでは失礼させて頂きます」

「待って! 今 アレクシス殿下たちは精霊召喚を行っているだろう? 良かったら一緒に観に行かないか?」

「授業があるのではないですか?」

「勿論こっそりだよ、見つかってしまったら後で皆で叱られよう!」

「申し訳ありません、わたくしは次は指されるので予習をしなければなりません。失礼致します」

そう言うとアシェリは行ってしまった。

アシェリは魔法クラスだが、ペトローシス王子殿下は騎士クラス、ルチアーナは淑女クラスだった。だから適当な事を言ってまいた。


「殿下は案外好奇心が旺盛なのですね? クスクス わたくしであればお付き合い致しますわ!」

「えっ? うん、やっぱり禁止されている事だから私も止めようかな?」

「さあ、参りましょう! 2人だけの秘密ですわよ!」


危なーい! いやかなり興味があった、なんならまた仮病使って見に行きたいとすら思っていたが、ペトローシス王子と仲良く覗き見して、一緒に叱られる…そんなフラグを立てる訳にはいかーん!

やむ無し、後で詳細聞こうっと。

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