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塩と蜂蜜と珈琲  作者: 働き蜂4号・リリー
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女神の祝福の真珠

イルカのサブローは人でいうと女の子。

海底で見つけた真珠貝の中には、真珠がひとつ。

イルカのサブローは女の子である。

別に人間の子が呼んでくれている名前に抗うつもりはない。


日南の海岸からやってきた仲間もいる。

いまは小さな島だけになった天草の海上都市にあるマンションのひとつを遊びの場にしている。


幼い頃からの人間の姉妹と一緒に泳ぐのが楽しい。


遠いご先祖はギリシャ神話の時代から、神さまのお使いだった。

若々しく力に溢れたアポロンや機智豊かなキューピッドが大好きだった時の記憶が身体を流れる血の中に残っている。


仮に、食料にされたとしても、イルカは人間のことが好きなのだ。


そして、ギリシャの神々は、国がローマに征服された時も名前を変え、キリスト教の信徒から異形の悪魔のように扱われた時も、それらを受け入れて、殉じる思いで人々を見守りながら愛してきた。


生き物も神々もただ愛することだけに純粋で、愛される喜びを心の糧にしている。

存在として悲しいのは人間だけなのだ。


などと説明するのも、結局は人間の余計な仕事に過ぎず、イルカのサブローは、海底で見つけた真珠貝を大学から帰ってくるはずの明里にプレゼントしようと、昼過ぎの穏やかな海でのんびりと待っている。


天空には、人には見えないけれど、アフロディーテが風に乗って、女の子の帰りを待っている。

永遠のいのちを生きる美形の神の目には、明里もさやかも可愛い女の子。

その母も、またその祖先もみんな。


そして愛おしく見守っているイルカと、自然を大事に思ってくれる無邪気な姉妹たちと、そして長いこと人間に忘れ去られていた真珠も含めて、それぞれが幸せであるように祝福の息吹を与えようと待っている。


太陽の光に紛れてアポロンと、雲に隠れているキューピッド、二人の神さまも心を添えるようにして見ている。


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