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ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第四章 異世界救済生活・探求(前編3)
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第九十五話 重要な書簡

 マズロカ村を荒らしていたハイオークの一件は既に済んだ後だ。セイラもサキも、トクベエには別段わだかまりは残っていないはずなのだが、初回のハイオーク討伐で俊也が瀕死で帰ってきたのは、それを救った美人姉妹の目に焼き付いている。しかし、厳しい表情にならざるを得ないセイラとサキの整った顔も美しい。


「トクベエさんでしたか。カラムに来てかなり経ちましたが賑やかないい町ですね。今日も色々買ってしまいました」


 そう言って見せた魔法のリュックの中には、けっこうな種類の買った商品が入っていた。もっとも、コンパクト化されて、元の大きさは分からないが。


「はっはっはっ! カラムを気に入ってくれて何よりです。私としてもいつまでも俊也さんには居て頂きたいのですが……町長としての私宛にある重要な書簡が来ています」

「書簡? それはどこからの何ですか?」

「以前お話しさせて頂いたセイクリッドランドからです。そして俊也さん。内容はあなたに関することです」


 買い物を楽しんでいる三人だが、表情がそれぞれ一変した。俊也の顔は決意に満ちているが、セイラとサキは何か割り切れない少し沈んだ表情である。


「ここでは少し話しにくいですね。内容については後日、町の役所で伝えましょう。来て頂けますか?」

「はい。明日の朝にでも」

「ははは……。相変わらず気がお早い所がありますな。それでは明日お待ちしています」


 会釈をすると、トクベエは飄々と去っていった。邪魔になっていると考えたのだろう。


 俊也と美人姉妹は昼過ぎまで商店街のショッピングを楽しんだが、トクベエに会って以降、一緒に歩いていても少し気まずく、セイラとサキの沈んだ顔は浅黄色のワンピースもくすませているように見えた。




 翌日の朝、教会で支度を済ませた俊也は、昨日の約束通りカラムの役所に向かっている。顔なじみになった受付の女性に会うと、話は通っていたらしく、すぐ町長室に案内された。


「おはようございます。よく来てくれました。まず前回のハイオーク討伐のお礼を申し上げます。誠にありがとうございました」

「おはようございます。あの事は、俺にとって絶対避けては通れない試練でした。そんなに深く礼を頂くと恐縮です」


 しっかりした若者である。その俊也の顔を好ましい笑顔でトクベエはしばらく見ていた。夏の虫の賑やかさが町長室にも聞こえてくる。その自然な騒々しさの中に溶け込ませるかのように、トクベエは伝えたい話を切り出した。

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