表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第三章 異世界救済生活・探求(前編2)
72/279

第七十二話 良くなったようだね

 セイラとサキの治療を受け続け、俊也の傷は完治した。俊也は返しきれない借りが、加羅藤家の美人姉妹に出来てしまったと思っているが、彼女たちにとってはお互い様ということで気にして欲しくはないらしい。いずれにせよ、俊也とセイラ、サキの関係は今回の件で、より親密なものになり、より複雑なものにもなってしまった。


 完治させてしまったので、俊也は次の行動に移ってしまう。セイラもサキもそれが心配で仕方なかったが、俊也はタナストラスの救世主としてやって来たのだ。危地に挑み続ける運命になっている。加羅藤姉妹もそのことを納得せざるを得なかった。そして彼女たちの父、ソウジが、俊也の傷が癒えたのを見計らい、こういう話を持ちかけている。


「心配していたが、傷はもうすっかり良くなったようだね。安心したよ」

「ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした……。セイラさんとサキのおかげでもう大丈夫です」

「迷惑はかかっていないからそんなことを言わないでくれ。心配なら随分したけどな。で、傷が治った早々になるんだが、また頼みたいことがあってね」

「お父さん……。俊也さんに無理をさせないでよ……」


 ダイニングテーブルに着き紅茶で一服しながら加羅藤一家と俊也で話をしているのだが、サキは死にかけた想い人が、ソウジの依頼でまた危ない目に遭うのではと気が気でないようだった。娘の気持ちは充分、分かっているソウジである。「大丈夫、大丈夫」と軽くサキにささやきながら話を続ける。


「頼みたいことというのは、また商団の護衛だよ。今度はトラネスの町へ行こうと思っている。このカラムからトラネスの街道はよく整備されていてね、賊やモンスターもめったに現れない。だから護衛といっても危険性はかなり低いと考えてもらっていい。君に来てもらうのは念のためと、もう一つ、重要な理由があるんだが……」

「重要な理由? なんでしょう? 気になりますね。護衛の件は受けさせて頂きます」

「そうか。よし! ありがとう。その重要な理由についてはトラネスに着いた時に教えるよ。恐らく君にとっては大きなプレゼントのようなものになるんじゃないかな」

「?? なんでしょうね。そう仰られると期待が膨らみますね」

「ふふふ。楽しみにしているといいよ。出発は明後日だ。それまでに準備をしておいてくれ」


 意味深な言い方で話を終えたソウジが、俊也の反応を楽しむような表情をしているのを見て、俊也は何となくいぶかっている。ただどうも、加羅藤一家はソウジが言っていることがどういうことか、何となく感づいている様子だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ