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ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第三章 異世界救済生活・探求(前編2)
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第六十八話 天の助け

「俊也!!」


 ハイオークの膂力により、俊也は4、5メートルもの距離を弾き飛ばされた。テッサイはオークに手こずっていたが、ようやく深い手傷を負わせ戦闘不能にすると、ハイオークの様子を窺いつつ、大打撃を受けた俊也の所まで駆け寄ることができている。


「動けるか! 俊也!!」

「ええ……自分でも不思議ですがなんとか動けます……」


 ミスリルのプロテクターとセイラの守護符に命を救われた形だろう。この2つがなければ俊也の骨は砕け散っていたに違いない。ただ、鋼鉄のウォーハンマーによりこれだけの打撃を受けた後だ。俊也はなんとか動ける程度で、もう戦う力は残っていない。


 その時、深い曇天の空から雨が落ち始め、それは豪雨となった。タナストラスの天も俊也を生かせようとしているのだろうか、今ならハイオークとの距離もあり、激しい雨でオーク集団の視界も悪い。撤退するには絶好のチャンスだ。


「みんな! 撤退だ! 今しかないぞ!!」


 豪雨の中、俊也とテッサイ以外の討伐隊は、オーク集団と斬り結んでいた。しかし、テッサイの号令により戦況を把握すると、血路を開き撤退を始めている。ハイオークとオーク集団にも相当な被害がここまでで出ていた。突然の豪雨で気勢を大きく削がれたのもあり、ハイオークたちは討伐隊を深く追うことはせず、撤退は成功した。


 俊也にとっては初めての負けである。打撃の苦痛に顔を歪ませながらも、彼の悔しがり方は尋常ではなかった。




 俊也たち討伐隊は、ほうほうの体でマズロカに退くことができている。村人は彼らの様子を見て敗戦であったのをすぐ悟り、村にいる癒し手と宿で安静に休める場所を用意し、手傷を負っている彼らを回復させた。敗戦ではあるが、ハイオークたちの被害も大きく、マズロカへやつらが乗り込んで来ることはすぐにはないことを、テッサイが説明している。


 俊也以外の討伐隊の皆が受けた手傷は、癒し手のキュアヒールとポーション、傷薬で大方回復できたが、ハイオークと激戦を行った彼のダメージは深く、それらの回復手段では応急処置にしかならない。


(これはどうしたもんか……。カラムに戻ればなんとかなるかも知れんが……)


 回復しきらない大ダメージにより、高熱を出している俊也を見て、テッサイは必死に彼を救う手段を考えていた。マズロカで俊也を治すことはできないと判断したテッサイは、村で馬車を手配し、一晩だけマズロカの宿に泊まった後、傷を負った俊也を馬車に乗せ、カラムの町へ帰還を急いでいる。

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