表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第二章 異世界救済生活・探究(前編1)
39/279

第三十九話 カラムの町は3日ぶり

 激しい実戦を交えた荒行を終え、俊也はカラムの町へ3日ぶりに戻ってきた。門番に挨拶をし町に入ると、賑やかな往来がいつも通り見える。3日町を空けていただけだが、俊也は何とない懐かしさのようなものを感じていた。


「帰れたな~。さてと……教会に戻るかな。サキやセイラさんの顔もしばらく見てないような感じがするし……」


 ディーネは「よく頑張ったわね。またいつでもいらっしゃい~」と、俊也と別れるのがやや名残惜しそうに、いつもの色気を振りまきながら自分の店へ既に帰っている。修行のためではあるが、3日間生活を共にした彼女と別れるのは俊也もいくらかの寂しさを感じた。そうは言うものの、タナストラスで彼が帰るべき場所はディーネの店ではなくサキたちがいる教会である。


 初夏のそよ風を歩きながら感じ、俊也は我が家でもある教会に戻った。庭に咲いている竜節花の赤紫が懐かしい。この花の季節も終わりに近づいているが、なるべく長く咲くように花壇の手入れをしているサキとセイラの姿がそこにあった。


「ただいま。今帰ったよ」

「「えっ!? 俊也さん!?」」


 甲斐甲斐しく竜節花の手入れをしている美人姉妹の様子を、俊也は一枚の名画を眺めるように見ていたが、しばらくして彼女たちに近づき帰宅を伝えた。サキもセイラも同じ声で俊也の方を向くと、喜びの笑顔で駆け寄り、俊也の手をそれぞれの柔らかい両手で握り取った。


「ご無事で帰られましたね……。心配していたんですよ?」

「よかったー。どこも怪我はないですか?」


 セイラとサキそれぞれの性格が現れた心配の仕方をされ、美人姉妹が同時に抱きつこうとしてきたので、俊也は慌ててそれをちょっと遮る。3日ぶりのこんなやり取りも彼にはやや懐かしいものだ。


「体はどこも痛めてないよ。ピンピンしてる。火の魔法も修得できたよ。ただ、この刀をきっかけにして、刀身に炎をまとわせる魔法しかまだ使えないけどね」

「本当に3日で魔法が使えるようになったんですね。やっぱり俊也さんは救世主様です! さすがです!」


 明るく素直に感心して褒めるサキの言葉に俊也は面映ゆかったが、「ありがとう」とだけ返事をした。その後、3日空けていた教会へ入りマリアとソウジの出迎えも受け、荒行の疲れを取るため自室のベッドで深い眠りを取っている。ここに帰ってきたのは昼下がり手前くらいの時間だったが、差し込む暖かく明るい陽も、疲労している俊也の眠りを妨げるものにはならなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ