表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第七章 異世界救済生活・白の聖輪
238/279

第二百三十八話 遠慮は駄目だよ

 白亜の孤城の周囲には、峻厳な岩山しか存在しない。それなのに、広く耐蝕性が高い石造りの食卓に並べられた、牛肉のステーキや新鮮な野菜のスープなど、食材をどうやって手に入れ、調理したのだろう。


「坊ちゃまが長引かせるものですから、スープが冷めてしまうところでしたよ。さあ皆さん、ご遠慮無くお座り下さい」


 ネフィラスのことを老執事は「坊ちゃま」と呼んでいるらしい。どうも彼らの関係は、主従をとうの昔に越えたところにありそうだ。かくしゃくとした好々爺に促されるまま、俊也たちは座ろうとした。ただ、ここは神の城である。ほとんど神話の伝説と考えられていたネフィラスが目の前にいるのだ。人間である彼ら、特にタナストラスでずっと生きてきたサキ、セイラ、ジェシカ、それに白鷹団のバルトでさえも、主神への畏怖を感じ、食卓に着くことがためらわれた。


「本当に遠慮してたら駄目だよ。君たちはお客さんなんだから。爺、私も軽く食べるよ。俊也君たちが食べにくいだろうからね」

「かしこまりました。サンドウィッチなどお持ちしましょう」


 ネフィラス自ら席を勧めてくれたので、まだ遠慮がちだか、ようやく俊也たち一行は食卓に着いた。紅顔の青少年の姿をしたタナストラスの主神には、聞きたいことが山程ある。もてなしのご馳走に舌鼓を打ちながら、会話を進めることになるだろう。


 神竜の試練で激戦をくぐり抜けた俊也たちは、皆、空きっ腹だった。食卓を囲み、良い匂いがする御馳走に手をつけ始めると、彼らの食は今までの遠慮もなくどんどん進んでいく。サンドウィッチを軽くつまみながら、ネフィラスは、


(久しぶりに賑やかで楽しい食事だな。みんないい顔で美味しそうに食べている)


 と、この世界の神らしく、おおらかな目で俊也たちのよく進む食を見守っていた。ネフィラス自身も大勢での会食ができて、とても嬉しそうなのが様子から窺える。


 ナイフやフォークで食事を進めながら、俊也たちはネフィラスに色々な質問をした。神であるネフィラスは、太古から生きているはずだが、どう見ても青少年の姿をしている。本人からの答えによると、竜神というものは数万年を優に生きるらしく、ネフィラスの年齢はせいぜい三千歳くらいだという。竜神としてはまだまだ若年で、()()、人の青少年と同様な姿をしているそうだ。


 神竜としての本来の姿で常時存在すると、膨大なエネルギーが必要となり、ネフィラス自身の負担が大きい。また、竜の形で存在しても、人の形で存在していても、ネフィラスの力自体は変わらない。変わるのは力の特徴だけだと本人は言っている。多少、つかみにくい回答だが、この気さくな親しみやすい神を理解していけば、俊也たちにはその意味がよく分かってくるはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ