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ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第六章 異世界救済生活・探究(後編2)
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第百九十五話 甚大な影

 当然のようにマウントオックスの奇襲をかわし、一撃で仕留めた俊也の手並みに、サクラは驚いてキョトンとしている。ムネヨシから、彼が相当な使い手とは聞いていたのだが、ここまでの剣技を持っているとは思っていなかったようだ。


「びっくりしました。俊也さんがこれほどお強い方だったなんて……。あの大牛を一太刀で仕留められましたね」

「サクラさんが魔法で守ってくれてたんで、それが心の余裕になってうまく体を開けました。出来すぎの立ち回りでしたよ」

「ふふっ、お怪我がなくて何よりです。ではまた登りましょうか」


 この緑髪の美少女は、首が飛んだマウントオックスの亡骸を見ても動じることなく平然としている。大人しく控えめに見えて、やはり剣術家でもあるムネヨシの孫ということだろうか、心中の肝がしっかりと座っていた。俊也は彼女の落ち着きを見て、


(これは俺の方が助けてもらえているな。ありがたい)


 と、すっかり好感を持ったようだ。




 その後も若い男女の二人はどんどん剣神山を登って行き、4合目辺りまでたどり着けた。ノブツナは登山図にムネヨシからつけてもらった印によると、ほど近い処に居るらしい。


「もうすぐですよ。サクラさん、大丈夫ですか?」

「大丈夫ですが、ごめんなさいね俊也さん。女の足に合わさせてしまって」

「そんなことはありません。まだまだ日が落ちるまで時間があります。無理せずゆっくり行きましょう」


 俊也は登山当初から変わらずサクラの手を引き、彼女の歩様に合わせて歩を進めていた。誠実な彼にとって、それは当然のことなのだが、気遣われ手を引かれ続けているサクラは、


(なんて優しく強い殿方なのだろう……)


 そう、俊也に強い好意を持ってしまった。女性に対して真面目なだけに、罪な男である。


 中腹の稜線は岩がちになり、先人の道がついているとはいえ歩くのが険しい。それでも俊也たちは進み続けているのだが、その途中、開けた平らな場所で、ある甚大な影に遭遇した。


「これは……とんでもないのがいるようですね。もしかして話に聞いたあいつかな?」

「おそらくそうだと思います。俊也さん、先程の大牛とは全く強さが違います。決してご無理はなさらずに」


 サクラは非常な不安を感じつつも、俊也の身体にアースシールドの魔法を施した。悪いことに甚大な影は、彼らの進行方向を塞ぐように立っている。ここでも戦いは避けられそうにない。俊也は一つ深呼吸を行うと落ち着いて刀を抜き、3つの角を生やした巨大な一つ目の大鬼と向き合った。

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