表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第一章 異世界タナストラスでの歩み始め
15/279

第十五話 女魔術師ディーネ

 ギルドの親父からの「得物がうまい具合になったらまたここに来い」という威勢のいい声を聞き、俊也達はギルドを出て件の魔術師の店へ歩いている。親父は戻ってきたら正式に仕事を依頼し、俊也が知りたい情報を幾つか教えるつもりらしい。ギルドにとっては情報が商品でもあるので、全ての情報を教えるというわけにはいかないようだ。


「あの人か~。あんまり会いたくないんですけどね」


 サキはその店へ行きたくないようで渋々歩いているが、それがなぜなのかは俊也には分かりようがない。俊也にとっては手探りだらけの異世界だが、少しでも前に進んでいくために1日1日できる限りの行動はしておきたいと思っている。


 女魔術師の店に着くと、早速俊也はその中へ入った。小ぢんまりとした店内には、怪しげな魔術道具が置いてあるが、一際怪しいのは椅子に座っている、あからさまに妖艶な姿の女魔術師である。


「いらっしゃ~い。あら、なかなか可愛い男の子じゃない」


 セイラとは違い、妖艶さを隠すこともない女店主に、サキはちょっとした嫌悪感を覚えている。このいかがわしい女が俊也にまず興味を持ったというのも、警戒するところでもあり、許せないところでもあった。


「久しぶりですね。ディーネさん」


 俊也が話を切り出すより前に、サキが女店主にトゲがある声で挨拶した。どうやら、彼女たちはお互い面識があるらしい。しかしながらサキが取っている態度は友好的とは言えない。


「あら、久しぶりね。サキちゃん。私の所へ遊びに来てくれるなんて珍しいじゃない」


 ディーネと呼ばれた女店主の方はサキを良くも悪くも思っていないが、サキの方が彼女と合わない様子で「そんなわけないじゃない……」と、聞こえないようにブツブツつぶやいている。


「ディーネさんという方なんですね。俺は矢崎俊也と言います。ギルドの親父さんからこの店に来たら、この木剣がうまい具合になるかもしれないと紹介されて来ました。俺には何のことかよく分からないんですが……」


 俊也は竹刀袋から何年も愛用し使い込まれた木刀を出し、ディーネに見せてみた。ディーネはそれを手にとって隅から隅まで見ている。俊也を見た時の好色な目は消えていて、仕事師の真剣な目で鑑定していた。


「ただの可愛い男の子かと思ってたけど、あなた面白いものを持ってきたわね。気に入ったわ。この木剣を魔製器で変化させて、新しいあなたの武器を作ってあげる。いつもだったら10000ソルはもらうんだけど、あなた可愛いから100ソルに負けてあげるわ」


 魔製器というものが何か想像できないが、木剣がより威力の高い何かに変化するらしい。ディーネは相当、俊也を気に入ったのか、加工賃を大負けに負けてくれているので、気が変わらない内に新しい武器を作ってもらうことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ