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ヘルモードの異世界をもう一度  作者: チャラン
第四章 異世界救済生活・探求(前編3)
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第百十六話 未知数の緩慢

 ランドタートルがいる川沿いまでそれほどの距離はないと、事前にコルナードが教えてくれていた。そんな近場で悪さをされているため、ライネルから出立する旅人たちも困っているのだろう。腕に覚えがある者なら力に任せ、亀の化物の襲撃も切り抜けるだろうが、そういう者たちばかりではない。


「怪我をすることがあれば、私たちがすぐ治しますからね」

「ありがとう。ランドタートルはハイオークとか、今まで戦ってきた手強いやつらほどではないらしいけど、その時は頼むよ」


 討伐に向かいながらも俊也たち一行の緊張感は比較的薄い。ランドタートルは硬いモンスターではあるのだが、動きはここまで対峙してきたどのモンスターよりも緩慢と聞いている。そのため討伐経験を積んできた俊也は、自分の身に及ぶ危険よりも、どうやって硬い相手をうまく斬るかを考えていた。




 セイラやサキと話しながらしばらく街道を進んでいるうちに、件の川沿いにたどり着いた。木製の橋が渡されてあるが、川幅は小川より少し広い程度である。流れがそう深くも激しくもない。そこかしこにいるランドタートルがいなければ、危険が少ない風情のある川と言えよう。


「なかなかの数がいるみたいだな。こいつらを全部斬っていたらキリはないが……」

「そうですね……あら? 俊也さん、あちらを見て下さい」


 ランドタートルの群れを眺めていたセイラは、ひときわ大きい群れの主と思われる一匹を見つけている。


「なるほど、あいつを退治できれば他の亀の化物も川からいなくなりそうですね。近づいて狙ってみます」

「気をつけてくださいね」


 動きが緩いとはいえ、何をしてくるか未知数の相手だ。サキの心配を受けて、俊也は慎重に群れの主と距離を詰めて行った。


 主である大型のランドタートルの周囲に、数匹のそれが守るように囲んでいる。すべて同時に相手をするとこちらに分が悪い。


(大きいやつだけおびき寄せられないかな)


 ランドタートルがこちらを警戒して気づくギリギリのラインまで俊也は近づき、少し戦術を考えていた。同時に、今いる辺りを見回し、なにか利用できる物がないか探していると、手頃な投げやすい石があちこち転がっているのに、彼は気づくことができている。


(原始的だがそうしてみるか)


 これ以上は考えるより産むが易しと思ったのだろう。俊也はおもむろに石を掴むと、大型のランドタートル目掛け、振りかぶって勢いよく投げつけた!


「…………!!」


 石は見事に群れの主の甲羅へ命中した。そしてこちらに気づいたらしく、意外に速く体を転回させると、敵意の怒りを持った様子で俊也に近づいてくる。

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