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第 7話 美月は鎌倉が好き

 松本蓮は鎌倉美月を誘い、彼女の好きな鎌倉にやって来た。

「なあ美月、今日の服、女の子らしくて可愛いよ」

「有り難う蓮、ウフ、あなたもステキよ」


 二人はポッと赤くなり、手を繋ないだ。

「久しぶりだな、鎌倉。なあ美月、今日はどうやって歩こうか?」

「今日はね、人も多いから小町通りは避けて、直接若宮大路に出て八幡宮に向かいましょう。蓮は大きな鳥居、三の鳥居の写真を撮るんでしょ?」

「ああ、そうだね、折角カメラ持って来たし撮影するよ。ねえ美月、昔から思っていたけど、この鎌倉と美月の名字って、何か関係があるのか?」

「ププ、地名と私の名字は関係無いわよ。でも親近感が有って、興味が沸くけどね」

「それで美月は鎌倉が好きなのかー」

「蓮の名字は、長野県松本市と関係は無いの?」

「ううん、やっぱり俺も関係無いよ。でも身近に無いから親近感も無いけどね」

「ほら、やっぱり。意外と地名と名字は関係が無い人が多いと思うよ」

 

 二人は参道を進み、仏塔跡を過ぎると大銀杏まで進んだ。

「蓮、この大銀杏の話、知ってる? 鎌倉時代に登場する話じゃ無くて近年の話よ」

 松本蓮は考えた。

「んー、知らない。なんで二つ並んでいるんだろう? とか、そう言う事?」

「うん、そうなの。枯れて幹だけが残っているのが元の大銀杏でね、あの太さを見れば相当大きい事が解るでしょ。私達が小さい頃までは、ちゃんと立っていたんだよ。大銀杏は千年も生きていたんだって、だから鎌倉時代の歴史にも登場するんだよ」

「えー! そんなに長く生きるんだあ」

「それが強風時に倒されたの。あの短く切られた幹がそうよ。その隣にしめ縄が飾ってある場所が有るでしょ。倒れた木から接木をして育てた木なんだって」

「へ~、美月は詳しいね。俺は倒れる前の大銀杏の写真を撮りたかったな~、きっと大きかったんだろうね」

 二人は階段を上がり、拝殿でお参りを済ませた。その後、昼食の為に小町通りに向かった。


 小町通りは食べ物からお土産屋まで数々の商店が立ち並ぶ通りだった。観光客が多く目白押しだった。

「蓮、これじゃあ、食べ歩きは難しいね」

「うんそうだね、お店に入った方が良いかな」

 松本蓮は鎌倉美月の前を歩き盾となった。二人は通りの中程にある店に入り、海鮮丼を注文した。

「何か、修学旅行の函館を思い出すね。あの時は小野さんが生魚を食べられない事を知って驚いたよ」

 鎌倉美月も思い出して微笑んだ。

「うん、そうね。私も食べられないなんて、知らなかったわ。一緒に生活をしないと解らないものね。そうそう、小野さんのオーマイガーってあの時、初めて聞いたわ。流石、ネイティブな発音だったわ」

「ププッ! 先生が俺たちの部屋に入って、女子のチェックをした時だね。あの時は先生に見付かりそうになって、ホント驚いたね。今思うと、楽しい思い出になったね」

「そうよね~、私も楽しい思い出になったわ。私達、青春しているわね」

 定員が海鮮丼をテーブルに置いた。二人は地元、相模湾で上がる地魚がのった海鮮丼をゆっくり味わった。


 休憩をしてから鎌倉駅まで戻り、江ノ電に乗車した。二人は長谷駅で降りた。目的地は大仏様だ。松本蓮はレトロな江ノ電の写真をいっぱい撮った。


 到着すると二人は大仏様を間に入れて同じポーズを取った。スリーショットの記念写真を撮ったのであった。

 松本蓮は松本蓮に話しかけた。

「折角だから、由比ヶ浜まで歩かないか」

「いいね~蓮! 砂浜を散歩して海でも見ようよ」

 しばらく歩くと松本蓮は言った。

「鎌倉はさ、観光客の割に道路が狭いよね。折角なのに、二人で横になって歩けないよね」

 鎌倉美月は不安な顔をした。

「やだーもう! 蓮が私の事、名字で呼び捨てをしたかと思ったじゃないの! やっぱり壁を感じたわ!」

 松本蓮は驚いてから笑った。鎌倉美月は続けた。

「そうよね、手をつないで並んで歩けないのは残念ね。歴史の有る街だから工事をするのに役所の許可に時間がかかるって聞いた事があるわ。話は戻るけど、海斗が皆の呼び方を名字からファーストネームにするって言ったでしょ、気を使う所が海斗らしいね。私、関心をしたの」

「俺が思ったのは、中山さんにも気を使っていると思うよ。だって小野さんが海斗って呼ぶからね。それに海斗も慌てている時に、小野さんを梨紗って呼ぶ時があるじゃん、今度は席が近いから中山さんに聞かれたら大変だもん」

「そうよね、きっと、焼き餅を焼くわね」

二人は笑った。


「所で今さあ、蓮は小野さんとか、中山さんって、名字で言っているわよ」

「あ、そうだった。暫く間違えそうだよな」

 鎌倉美月は心の内を話した。

「焼き餅とか、そう言う事を抜きにして、良い仲間になれると思うんだ。私はいつも蓮と海斗がそばにいてくれて助かっているけど、やっぱり美咲も莉子も同じ様に仲良くなりたい。やっぱり名字にさん付けだと、壁を作っている感じがするのよね……松本はどう思う?」

 松本蓮もはっとした。

「美月、名字は止めてよ! 確かに親しい人から言われたら、壁を作った様に思うね」


 二人は由比ヶ浜に到着した。砂浜には未だ海水浴客が居た。

「ねえ、蓮! 良い風景ね。私も写真を撮ろうかな」

 鎌倉美月はスマホで写真を撮った。松本蓮は話しかけた。

「海風が気持ちいいね。ねえ美月、俺も良い写真が撮る事が出来そうだ。まずは二人で写真を撮ろうよ」

 二人は海を背景にツーショットの写真を撮った。海辺を歩き貝殻を拾った。しばらくすると二人並んでコンクリートの上に座って海を眺めた。

「なあ美月、海の音がいいね。横浜港は、この音が聞こえないでしょ。ザー、ザー、じゃ無くてコンクリートの壁に水があたって、タッポン、タッポンって聞こえるじゃん」

「フフ、良い例えかもね。砂浜の波の音って良いよね、癒やされるもの」


 二人は砂浜で遊ぶ小さな子供達を眺めていた。

「ねえ蓮、私達三人が出会ったのも、あの位の時期だよね」

「そうだね、美月は男子と負けないくらい、一緒に遊んでいたもんな」

「私ね、この歳まで三人が友達で良かったと思うの」

「俺もそう思うよ。……だって海斗がいなくても、海斗の話しちゃうんだからさあ。三人は良い親友だよ、海斗も呼べば良かったかな」


 鎌倉美月は松本蓮の肩に寄りかかった。無口になり波の音を聞いていた。

「ねえ蓮、今日は二人だけで良いの。だって大事な記念日にするんだもん」

 松本蓮は鎌倉美月の顔をみつめた。彼女は目を閉じ、うっとりするほど可愛い乙女の顔をしていた。

 松本蓮は思っている事を口に出した。

「美月、キスしても良い?」

 鎌倉美月は目を閉じたまま、うなずいた。松本蓮は彼女の背中に手を回し体を起こした。

「チュ」

もう一度口づけをした。

「チュー」

 そして彼女を抱きしめた。鎌倉美月は瞳に涙を浮かべた。

「蓮、有り難う」

「美月、大スキだよ」


 二人は一時間もその場で、寄り添って海を眺めた。

「美月、そろそろ帰ろうか?」

「うん……」

「ねえ蓮、ファーストキスはどんな味がした?」

「そうだな~、潮風の味かな?」

「ププッ! 私も同じ。海斗じゃ無いけど、環境に左右されるみたいね」

 二人は腰を上げた。松本蓮は、もう一度彼女を強く抱きしめた。

「蓮、そんなに強く抱いたら、嬉しけど痛いよ」

「うん、これで帰れるよ、有難う美月」

二人は手をつないで、帰路についた。

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