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第21話 裏サイトの管理人

 海斗は遠藤駿に答えた。

「実はね、写真部の撮った写真が裏サイトに勝手に使われているって、写真部の部長が頭を痛めているんだ。裏サイトの管理人が写真部だと思われると問題だからね」

 遠藤駿はマズい顔をした。

「それは困ったなー。場合によっては廃部なんて言われそうだもんな。でもなんで写真部の写真って解るんだ?」

 松本蓮は写真部と新聞部の繋がりに付いて説明をした。話を聞いて皆も困った顔をした。

 鎌倉美月はひらめいた。

「ねえ、前に生徒会の池田会長と小川書記もカップル報道を流されたよね。きっと会長も調べているはずよ。今度、生徒会に行ってみない?」

 松本蓮の顔が明るくなった。

「ナイス美月! 良い案だね、行ってみようよ」

 海斗も続いた。

「うん行こう、手がかりが見つかるかもね。皆、有り難う」


 (生徒会室にて)

 海斗、松本蓮、鎌倉美月は放課後に生徒会室に訪れた。小川書記が話しかけた。

「あら伏見君、久しぶり! 今日はどうしたのかしら?」

 池田会長が歩み寄った。

「おう写真部の面々、久しぶりだね。学園祭は盛り上がったね。君達には感謝しているよ。三人揃ってどうしたの? やっぱり写真部の相談かな?」

 松本蓮は写真部における問題点を整理して伝えた。


「それはマズイねー、写真の無断使用は良く無いが、何より裏サイトの疑いが写真部に向くのは良くないな。実は俺もスッパ抜かれた事が有ってね。生徒会長の恋人は書記の小川由香だったってカップル報道されたんだ。お陰で好きな女の子に振られちゃったんだ。あ~、いま思っても悔しいなー!」

 小川由香は池田会長を睨みつけた。

「なにが悔しいですって! 私はスッとしたけどね。いい加減に認めなさいよ! ねえ伏見君、この間だって大ラーメン博物館で会った時もカップルに見えたでしょ?」

 海斗は池田会長を気遣い苦笑いをした。小川由香は続けた。

「そう言えば、あの時の彼女さんは、お元気かしら?」

 松本蓮、鎌倉美月は海斗に、疑いの目を向けた。

「ああ、葵だよ! 葵と大ラーメン博物館に行ったら、偶然二人に有ったんだよ。あの時も説明したのに、信じてくれないんだ。蓮、説明してよ」

「小川書記、中等部の妹ですよ! 仲が良いんですよ」

「あ~ら、ご免なさい伏見君」


 池田会長は頭を抱えた。

「俺も学校サイドも、裏サイトは良くないと思っているんだ。有る事、無い事、書きやがって。前から考えていた事が有ってね。ちょっと相談したい人がいるから、また来週来てくれないかな。その時は写真部の和泉部長も連れて来てね」

「はい、有り難う御座います」

海斗達は生徒会室を後にした。


 (新聞部・部室にて)

 新聞部では月、水、金の十六時時から、定例ミーティングが行われていた。部員が仕入れた情報を持ち合い記事にするか否かを決定するのだ。

 戸塚部長は机を叩いた。

「おい、もっと面白いネタは無いのか! 皆、何を取材しているんだ!」

 戸塚部長は一年生を指した。

「済みません、そう言われましても、そうそう落ちているものでは有りませんよ」

「最近は裏サイトの閲覧数が下がっているのは皆も知っているよな! 学校行事を載せたって閲覧数は上がらないだよ。もっと嘘でも良いから、校内の有名人ネタは無いのか!」


 静まりかえる中、山本記者が発言をした。

「戸塚部長、取って置きの面白いネタが有るんですよ!」

皆は注目をした。山本記者はニヤリと笑った。

「伏見、伏見海斗ですよ。白昼のキス、熱愛報道です!」

「えー!」

 集まる部員は驚き、部長も皆も驚いた。

「流石、山本記者だ! 野球部キャプテンのネタで閲覧記録を作った敏腕記者だけある!」


 山本記者は新横浜の浜鳥橋で、海斗が少女にキスをしている写真を入手していた。戸塚部長にスマホから写真を見せた。

「おー! す、ご、い? おい山本! なんだこの写真は?」

 山本記者は写真の端に小さく写る海斗達を拡大した。

「おいおい、肝心な女の子の顔が傘で見えないよ!」

「そうなんです」

「はー? お前は何を言っているんだ!」

「友人が新横浜に風景写真を撮りに行ったんです。その友人とスマホの写真を見ながら世間話をしていたら。偶然、私が見つけたんですよ。彼の撮った写真にたまたま伏見が居た訳ですよ」

 戸塚部長はひらめいた。

「ムム! でも、これは面白なあ」

「そうでしょ、この写真を使ってストーリーをでっち上げれば、閲覧数は新記録が更新するかもしれませんよ」

二人の思惑のもと、記事は早々に作り上げられ夕方六時にアップロードされた。


 (海斗の自宅にて)

 夜九時を回った頃、葵は海斗の部屋をノックした。葵は青い顔をしていた。

「お兄ちゃん、大変だよ、大変! どうして、こうなっちゃったんだろう?!」

「どうしたの? 葵」

 葵はスマートホンで裏サイトを見せると、海斗は驚いた。

「えー! またかよー」


 海斗はタイトルを読み上げた。

「クレーマー事件のヒーロー伏見海斗が白昼の熱烈キス! 目撃情報によると熱愛の相手は絶世の美女。二人はキスの後にホテル街に向かったそうだ?!」


 海斗はスマホから目を離した。

「クッソー! またも実名かよ。今度はフルネームだよ! 葵、ホテルになんか行ってないよな。ププッ! 相手は絶世の美女だって!」

「うん、お兄ちゃん御免なさい。私があんな事をしたから、私、明日は学校に行けないよ」

 海斗の表情が和らいだ。

「葵、悪いけど相手は絶世の美女だよ! つまり撮影者は、葵の顔を見ていないんだ。写真に顔も写ってないから大丈夫だよ」

 葵は眉間にシワを寄せた。

「ヒドイ、それで笑ったのね。私を絶世の美女なんて書く訳ないか? でも、お兄ちゃんは大変だよ」

 葵は安心をしたものの、海斗の心配をした。

「いいかい、葵は知らない事にしてね。その橋に居た事は誰にも言わないでね。俺は目に入ったゴミを見ている事にするから、そもそも、そう言う事情だったからね。ホント、しようも無いよな! 暫くは大変になりそうだよ」


 (翌日の教室にて)

 海斗は、いつもの様に葵と登校した。葵が忘れ物に気付き、取りに付き合ったので学校の到着はギリギリの時間になった。海斗は教室に入ると、クラスメイトの冷ややかな目線に気が付いた。

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