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第13話 学園祭

 海斗、松本蓮、鎌倉美月は午後から写真部の店番をする為、クラスの模擬店を後にした。展示教室では数人のお客さんと部員が多く集まっていた。海斗は森幸乃を見付け手を振った。

「森さん、お待たせー! あれー? 留守番を決めた割には部員が多くいるね」

「私も今、来た所よ。たぶんクラスの模擬店が無い人は行く所が無いのかもね」

松本蓮は午前の留守番の部員に声をかけ引き継ぎした。


 森幸乃は鎌倉美月に話し掛けた。

「鎌倉さん可愛いわね。朝はバタバタして、まともに褒める事が出来なかったわ」

「私も、この格好でココに来るのが怖かったけど、折角、学園祭だし、可愛い衣装で来ちゃった。蓮、ようやく話が出来るね。さっきまで、急がしかったもんね」

「ホントだよな美月、まして裏方だから折角の美月が見られなかったよ!」

 松本蓮は展示室を見回した。

「ここは静かだな、さっきの騒ぎが嘘みたいだ」

「そうね、生徒の中で、あまり写真に興味がある人は少ないのかな」


 森幸乃は模擬店の異例の許可について海斗に訪ねた。

「そう言えば、伏見君のクラス、二日間のフル営業をしないでよく、許可が下りたんだね」

「うん、それが大変だったんだよ! 昨年のミスグランプリ橋本さんと、ノミネート第二位の小野さんが同じクラスでね。クラスで二人もミスコンの候補が出たんだよ。ミスコン開催時間はクラスメイトは応援に回るから営業が出来ないでしょ。それで模擬店を取るか、ミスコンを取るかでクラスが二つに分断しそうになったんだ。どちらも取る為に異例の許可が必要だったんだ。そこで生徒会の許可を取る為に池田会長に相談したの。

 皆は去年の議事録を見た時に気付いていたかな? 池田会長は去年も生徒会をやっていて、和泉部長のコメント欄には、池田君はミスグランプリになった橋本さんが好きなようで、最後に握手をして喜んでいたって書いて有ったんだ。それに許可の相談に行った時もクラス名を言うだけで、コスプレ喫茶を楽しみにしているって言ったんだ。それで確信したんだよ。池田会長は絶対、橋本さんのメイド姿を見に来るし、橋本さんの出るミスコンも残す。つまりウチのクラスと利害が一致していると思ったんだ」


 松本蓮も鎌倉美月も驚いた。松本蓮は海斗に言った。

「えー、そんな事まで考えて交渉していたの!」

 鎌倉美月も驚いた。

「私も気が付かなかったよ。凄いよ海斗!」

「それとね、会長と親しい小川さんに聞かれたら良く無いと思って、わざわざ耳打ちをしたんだ」

 松本蓮は納得をした。

「あ~、それで耳打ちをしたの。小川さんには怪しまれたけどね」

 森幸乃は感心をして海斗を見つめた。

「へ~、伏見君はホントに凄いね。失敗したら明日のミスコンだって、盛り下がりに欠けたかも知れないのにね。見かけによらず策士なのね」

「それ、褒められているのかな~?」

皆は笑った。


 しばらくすると、写真部の展示教室に海斗達の仲間が訪れた。小野梨紗は海斗を見付けた。

「海斗、皆で見に着たよ!」

 すると彼女達は写真部員に囲まれ餌食となった。メイド姿の女子が四人も並んだのだから。アイドルの記者会見の様にフラッシュが止まらなかった。


 松本蓮は事態の収集を図った。

「もー! ダメだよ、ダメ。肖像権の侵害だよ。許可も取らずに撮影しないの!」

 森幸乃は微笑んだ。

「伏見君、皆かわいいね。これじゃあメイド喫茶は忙しくなるわよ」

「そうなんです。粒ぞろいなんです」


 海斗はクラスの仲間を森幸乃に紹介をした。

「こちらは港湾課三年の森幸乃さん。お父さんは喫茶「純」のマスターなんだよ。それと初めましての人は同じクラスの、こちらが小野梨紗さんと林莉子さんです。小野さんは明日のミスコンに、出場するんだよ」

 皆は挨拶を交わした。すると写真部の看板娘と勘違いして、お客さんがコスプレ見たさに入場してきた。

 松本蓮はお客さんが増えて驚いた。

「皆は凄い人気だね。このまま歌でも歌ったら、売れるんじゃないの!」

皆は笑った。海斗達は皆で並び記念写真を撮った後、展示作品を見て回った。


 松本蓮の写真は彼女達がモデルなので、彼女達から評判が良かった。鎌倉美月の写真も評判が良かった。どちらも彼女達の思い出の写真だからだ。だか海斗の作品は違う評価だった。小野梨紗は腕を組んだ。

「あー海斗ズルイ、私も行ってみたい!」

 中山美咲は首を傾げた。

「あ~、これが課外受業ね。他の二人が写って無いようだけど」

 林莉子はときめいた。

「とっても綺麗な写真だよ。私も撮って欲しいな」

 森幸乃は彼女達の発言を聞いて海斗を見た。

「伏見君は人気者だね。クラスの中心にいるんだろうな」

海斗は照れて頭を掻いた。見終えると女子はメイド喫茶にに戻っていった。


 十五時をまわり終了時間となった。展示室の鍵を閉め海斗達は教室に戻った。教室の皆は疲れてクタクタになっていた。

 海斗は声をかけた。

「お疲れ様! 大変だったね」

 遠藤駿はヘトヘトだった。

「伏見! 大変だったよ。焼いても、焼いても間に合わないんだ」

 海斗達も加わり片付けを始めた。


 長谷川先生は教室に入り、生徒達を見回した。

「今日は、みんな良くやったな。恐らく校内でも一位の評判だと思うよ。まだ明日が有るから頑張ろうね。それと火の元対策で電気ポットとホットプレートのコンセントは必ず抜くようにして下さいね」

 生徒達は片付けと、明日の準備を進めた。


 この日、十六時からミスコン実行委員の最後の全体打ち合わせが行われた。校内で最も注目されるイベントだ。音響・映像は放送部、司会と照明効果は演劇部、前座とツナギは軽音楽部、そして主催の生徒会と写真部の面々が揃い、明日のイベントの最終確認を行った。これだけの部活が揃うのもミスコンならではのイベントだった。関係する部活も関係する事に誇りを持って参加し最終確認が行われた。

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