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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇

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第72話

 俺はする事が無くなったので鑑定魔法を使ってみた。これは魔眼で使うより、天眼で使った方が良さそうなので天眼に魔法陣を描き、船員の一人を見た。


『ランディ

 魔力:少』


 俺より魔力は少ないようだ。まあ俺より魔力が多いのならそれはそれで驚きだ。人間の平均は一万で俺は十億超だから人間が俺の魔力量を超えるということは平均の十万倍ということになる。


「ジル〜」


 先程決めた従者を引き連れてレリアがやって来た。


「この二人は誰の下につくの?」


「この二人?」


「マリーさんとロズリーヌさん。みんなが行ってからあたしのとこに来たんだ」


 完全に忘れていた。侍女を決める時に候補に入れてなかったのか。


「誰の下でも良いぞ。おぬしらが決めよ」


「で、では私はジル様の下に…」


「私もジル様の侍女としてお仕えします」


 二人とも俺の下につくようだ。


「そうか。ではショータ殿を探せ。おぬしらの和服も用意してもらうといい」


「ですが…」


「気にするな。行ってこい」


「「ありがとうございます」」


 二人は船内へ戻って行った。


「え、ジルってみんなの分の和服を用意するの?」


「ああ。俺だけ和服で従者はサヌストの服だったらヤマトワでおかしいだろう?」


「あ、そっか。じゃあ、みんなもショータさんを探して和服を用意してもらって」


 レリアがそう言うとレリアの従者は船内へ戻った。

 俺は天眼に鑑定魔法の魔法陣を描き、レリアを見た。


『レリア

 魔力:少

 運命の人』


 運命の人か。俺とレリアの出逢いはやはり運命であったか。レリアはあまり魔法をよく理解しておらぬのでレリアには秘密にしておこう。

 ちなみに天眼と魔眼の違いははっきりしておらぬ。俺は索敵や調査の魔法を天眼で使い、攻撃や創造の魔法を魔眼で使っている。まあ天眼でも攻撃はできるし、魔眼でも索敵はできる。おそらく好みの問題だろう。


「レリア、エヴラールを見なかったか?」


「そういえば見てないね。どうしたんだろ?」


 俺はなんとなく心配になり、エヴラールの気配を辿る。

 エヴラールは自分の部屋で眠っていた。おそらく昨日の宴で飲みすぎてまだ寝ているのだろう。


「二日酔いみたいだ。まあそのうち起きてくるだろう」


「そうなんだ。珍しいね」


「ああ。楽しめたのならそれで良いだろう」


「そうだね」


 俺はファビオ達が戻ってくるまでレリアと他愛もないことを話していた。


「アニキ〜!」


 ファビオ達が戻ってきた。ファビオの服は俺と同じ色だが形状が違うな。


「どう?」


「似合っているが…それも和服なのか?」


「うん!ジンベイって言うんだって。オレのサイズに合うのはこれしか無かった」


「そうか。似合っているぞ」


「やったー!」


 喜ぶファビオの後ろでサラが何か言いたそうにこちらを見ている。


「サラ、どうした?」


「あ、あのお釣りです。まさか金貨だったとは…」


 サラに渡された皮袋を見るとほとんど減っていなかった。


「金貨何枚だった?」


「本当は金貨十枚と銀貨二十枚でしたが銀貨が無かったので金貨十枚にしてくださいました。いけませんでしたか?」


「ではまた何かあったら多めに払っておこう」


「お願いします」


 サラはそう言って頭を下げた。


「ファビオ、今日も特訓だ。とりあえず今日は無手から構えて戦うまでをなるべく早くできるようにしろ。さあ始めるぞ」


「このまま?」


「ああ」


 俺はそう言ってファビオを連れてレリア達から少し離れた。充分離れた所で木剣を取り出し、遅めに振った。ファビオはギリギリのところで躱し、訓練用の盾を取り出した。そして二発目を防いだ。


「剣を出せ」


 俺はそう言いながら木の盾を取り出してファビオに投げつけた。それをファビオは盾で防ぎ、剣を取り出して砕いた。


「ファビオ、今の俺のように武器を奪われるなよ」


 ファビオは無言で頷いた。それを見て俺はファビオの頭を狙って剣を振り下ろした。それを盾で防いだファビオは俺の腹を狙って剣を突き出した。

 俺はそれを敢えて受けた。真剣なのでもちろん血が出る。


「ファビオ、おぬしは俺を殺す気で来たか?」


「え、あ、いや、違うよ」


「そうであろうな。ファビオ、おぬしに俺は殺せぬ。だから安心して全力を出せ」


「うん。じゃあ次からは本気出すよ」


「ああ」


 俺相手に手加減などしていたのか。

 その後、ファビオは枷が外れたかのように強くなったような気がする。


 この日はファビオと特訓をして一日を終えた。

 そして夜ご飯にアシルを誘った。


「アシル、最近どうだ?」


「さっき会ったばかりだろう?」


「まあそうだな」


 俺はさりげなくアシルに鑑定魔法を使ってみた。


『アシル=クロード

 魔力:少

 弟』


 弟?!


「アシル、新事実が判明した」


「なんだ?」


「俺達は兄弟だ」


「なに?!」


「昨日、宴を早めに出ていっただろう?」


「ああ。クラウディウスと酒飲み対決をしていたな」


「アシルは分かっていたと思うが実は酔っていなくてな。一度砦に戻ったんだ」


「魔法研究会の報告を聞きに?」


「ああ。その時に三つの報告を受けた。一つ目は魔力を数値化したこと。二つ目はその数値化した魔力などを記したカードを創ったこと」


 俺はそう言いながらステータスプレートをアシルに見せる。


「これか。ジル・デシャン・クロード?あんたのことか?」


「ああ。それは気にするな。そして三つ目がこれだ」


 俺はアシルに念話で魔法陣を送った。


「鑑定魔法と言うらしい。これで俺を調べてみろ」


「ああ」


 アシルは俺の顔をマジマジと見ている。そんなに見る必要は無いのだが。


「ジル・デシャン・クロード。魔力:多。兄」


「いや、読み上げなくて良いのだが」


「どうする?」


「どう、とは?」


「公表するかしないか」


「一度レリアにそれとなく聞いてみよう。また後でおぬしの部屋に行こう」


「ああ」


 俺はそう言ってレリアの隣に移動する。


「レリア。レリアだから言うぞ」


「なに?改まって」


「秘密にしてくれるか?」


「ジルがそう言うなら…」


「実はアシルと兄弟かも知れぬ」


「…え?」


「実はアシルと兄弟かも知れぬ」


「聞こえてる…けど、どういう意味?」


「そのままの意味だ」


 レリアにしては理解が遅いな。それだけ衝撃的ということか?


「お酒飲んだ?」


「飲んでおらぬ」


「変な物食べてない?」


食堂(ここ)で出されたもの以外食べておらぬぞ」


「…え!?ほんと?!」


 驚くのが遅いな。


「本当だ。レリアに嘘はつかぬ」


「そうだよね…」


「ここで相談なのだが公表した方が良いか?」


「んー…別に改めて発表しなくていいと思う。でも隠すことでもないと思うよ。もし驚かれたら『言ってなかったっけ?』みたいな感じでいいと思う」


「そうか。ありがとう」


「どういたしまして」


 ちょうど二人とも食べ終わった。


「レリア、この服、脱がしてくれ」


「わかった」


 俺は部屋に戻ってからレリアにそう言った。食堂で言うと変な噂がたちそうだからな。

 俺はレリアに服を脱がしてもらってから寝巻きを着た。


「ジル、一緒に寝よ」


「ああ。そうしよう」


 俺とレリアは狭いベッドに身を寄せあって入った。この状態になるともう出たく無くなるのでアシルには念話でレリアの言葉を伝えてから眠った。



 ブロンダンの港を出航してから九日、四月十五日。ヤマトワがうっすら見えてきたとの報告で甲板に出た。


「あれが…ヤマトワか」


 俺がヤマトワを眺めているとヤマトワからなにか飛んできた。火魔法だ。


「伏せろ!」


 俺はそう叫んで火魔法に水魔法をぶつけて相殺する。それでもそれなりの衝撃で船が揺れた。


「エヴラール、三人乗れるくらいのボートを用意しろ!」


「御意」


 俺は近くにいたエヴラールに指示を出す。


「来い」


 俺が呼ぶと俺の従魔はすぐに来た。


「クラウディウス、ヨルク。今ボートを用意させている。それで突撃するぞ。残りの者はこの船を何としてでも守れ」


「「「御意」」」


 俺がそう言うとクラウディウスとヨルク以外はそれぞれの持ち場に向かった。キアラとヨドークがレリアとファビオとウルを守り、それ以外が結界を張るのだ。


「アシル!」


「なんだ?」


「俺が良いと言うまでこの船を動かすな」


「分かった」


 アシルはミミルの所に向かった。


「ジル様!ボートは既に浮かせてあるそうです!」


「分かった。クラウディウス、ヨルク、行くぞ」


「「御意!」」


 俺がボートに向かって跳ぶとクラウディウスとヨルクも後に続いた。


「ヨルク、進めろ。なるべく速く」


「はは」


 ヨルクは水魔法と風魔法でボートを最大限速く動かした。

 俺達は全員和服を着ているので鎧は纏っていない。皆剣一本だ。

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