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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇
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第70話

 俺が部屋に戻るとレリアが保存用のお菓子を食べていた。ちなみに俺の部屋には五十人が十日間ほど立てこもれるくらいの保存食が隠してある。そこからお菓子を選んで食べていたのだろう。


「レリア、お待たせ」


「待ってないよ。それにしてもこんなに美味しいものを隠し持っていたんだね」


「念の為にな」


 俺はレリアが食べていたお菓子をひとつ食べた。


 その後、ドニスに帰ると伝えてから船に戻った。


「ジル、あたしもう寝るね」


「ああ。おやすみ」


「おやすみ」


 レリアが自分の部屋に帰ったのを見て早速キアラを呼んだ。


「近衛の中で一番魔力が少ないのは誰だ?」


「キトリーね。その次がジュスティーヌよ」


「じゃあその二人を呼んでくれ」


「「ここにおります」」


 タイミングよく二人が部屋に入ってきた。


「キトリー、この水晶に触れてくれ」


「ジル様、お待ちください。これを見てください」


 セリムに渡された木の板を見るとこう書いてあった。


『ジル様、お伝えし忘れたのですが、水晶は台座に置いてから触れてください』


 台座とはなんだろうか。


「台座は貰ったか?」


「こちらですね」


 俺がセリムに水晶を渡すとセリムは何かに水晶をはめた。


「これで大丈夫なはずです」


「そうか。では触ってくれ」


 俺はセリムから受け取った水晶をキトリーに差し出した。


「失礼します」


 キトリーはそう言ってから水晶に触れた。すると台座に空いた隙間からカードが出てきた。ステータスプレートだ。


『名前:キトリー・コーヴァン

 種族:上位悪魔

 魔力量:530951276

 使用可能魔力:504403712

 スキル:特になし』


 キトリーの魔力は五億超えだ。それに魔力が一割を切っても死なぬようだ。スキルは特にないらしいがそれでキアラの近衛を務めているのだからその努力が伺える。


「キトリー、これをおぬしにあげよう。無くすなよ」


「はい。ありがとうございます」


 キトリーはステータスプレートをまじまじと見ている。


「ではジュスティーヌ、触れてみてくれ」


「はい」


 ジュスティーヌはそう言って水晶に触れた。するとカードが出てきた。どうやらこのカードは魔法で作られているらしい。


『名前:ジュスティーヌ

 種族:上位悪魔

 魔力量:587230961

 使用可能魔力:528507864

 スキル:神聖力』


 ジュスティーヌはそのままの名前だ。スキルは神聖力という神官らしいものだ。魔力はキトリーより少し多いくらいで魔力は九割ほど使えるらしい。


「ジュスティーヌ、これをあげよう。無くすなよ」


「ありがとうございます」


 ジュスティーヌはキトリーと見せ合いっこを始めた。


「キアラ、次は?」


「レンカよ。その次がヨルクね。その次も言っておいた方がいいかしら?」


「頼む」


「クラウディウス、セバス、セリムの順ね。妾はセバスとセリムの間よ」


「そうか。ではその順に呼んでくれ」


「その必要は無いわ」


「「「失礼します」」」


 クラウディウスとグレンとヨルクが入ってきた。俺の部屋には入り切らぬのでキトリーとジュスティーヌには異空間に帰ってもらった。


「レンカ、この水晶に触れてくれ」


「失礼します」


 レンカが水晶に触れるとカードが出てきた。


『名前:レンカ・キーファー

 種族:上位悪魔

 魔力量:601219578

 使用可能魔力:541097620

 スキル:特になし』


 レンカも使って良い魔力は九割ほどだ。スキルも特にない。


「レンカ、これをあげよう」


「ありがとうございます」


「次、ヨルク」


 俺はヨルクに水晶を差し出した。ヨルクが水晶に触れると同時にレンカが異空間に帰っていった。カードが出てきた。次は出てくるところをじっくり見ていよう。


『名前:ヨルク・グールズビー

 種族:上位悪魔

 魔力量:765208957

 使用可能魔力:749904777

 スキル:剣術』


 やはり戦闘系は魔力が多いようだ。それに使用可能魔力の割合も高い。スキルも剣術というものでいかにもヨルクらしい。


「ヨルク、これをあげよう」


「ありがとうございます」


「次、クラウディウス」


「失礼します!」


 クラウディウスは大きな声で返事をして水晶に触れた。じっくり見ていると創造魔法でカードが作られていた。


『名前:クラウディウス

 種族:上位悪魔

 魔力量:79057389

 使用可能魔力:77476241

 スキル:統率力』


 俺と同じ統率力というスキルがある。どおりで気が合うと思った。


「クラウディウス、これをあげよう」


「ありがとうございます」


 クラウディウスが帰っていった。


「次、グレン」


「はい。失礼します」


 グレンは水晶に手を触れた。


『名前:グレン・トマス

 種族:上位悪魔

 魔力量:819753545

 使用可能魔力:803358474

 スキル:特になし』


 何もしていないが疲れてきた。多分夜中だからだろう。


「グレン、はい」


「ありがとうございます」


 グレンは素早く帰った。


「次、キアラ」


「黙って見ていればさっきから妾の配下に何をしているのかしら?」


「魔力を数値化している。早くしろ」


「分かったわ」


 キアラは水晶に触れた。


『名前:キアラ・トマス

 種族:上位悪魔

 魔力量:897061539

 使用可能魔力:807355835

 スキル:魅力』


 キアラのスキルは魅力と言うらしい。あまりそうは思えぬ。それと使用可能魔力が思ったより少ないな。


「キアラ、はい」


「だんだん雑になってるわね」


「そんなことは無い。次、セリム」


「失礼します」


 キアラは帰らずにそのまま残った。セリムが水晶に触れると水晶が砕け散った。


『名前:セリム・マルツ

 種族:上位悪魔

 魔力量:測定不能(十億以上)

 使用可能魔力:測定不能

 スキル:魔術』


 俺以外では初だ。魔力が十億を超えているのは。


「これはセリムのだ。無くすなよ」


「ありがとうございます」


 セリムはそう言って水晶の台座を持って帰っていった。多分ちゃんとしまっておいてくれるだろう。


「キアラ、そこを退け。もう眠る」


「妾の隣があいてるわよ」


 多分キアラはスキルに魅力があったのでそれを試そうとしているのだろう。

 俺は黙って部屋から出てレリアの部屋に入り、レリアの横で眠った。


 翌朝。俺はレリアにゆすられて目を覚ました。


「ジル、おはよう。ほんとに誰か来たの?」


「おはよう。キアラにベッドを占領された」


「それであたしのとこに来たんだ」


「ああ。レリアからキアラになんか言ってやってくれぬか?」


「分かった。じゃあ着替えよっか」


「ああ。着替えてくる」


「違うよ。今日から和服で過ごすんでしょ?」


「そうだった」


 レリアはベッドの下から俺の分の和服を取り出した。


「着せてあげるね」


「ああ、頼む」


 こうしてレリアに甘えるのは良いな。これが至高のひとときと言うやつか。


「できたよ」


「ありがとう」


「どういたしまして」


 レリアは笑いながらそう言った。


「あたしも着替えるね」


「分かった。食堂で待っていよう」


「なんで?」


「着替えるのだろう?」


「うん」


「では食堂で待っていよう」


「一緒に行こ?」


 レリアが上目遣いでそう言ってきたので俺は頷いて座った。レリアが着替えている間、目のやり場に困ったのでずっとレリアの顔を見ていた。


「お待たせ。行こっか」


「ああ」


 レリアが着替えている間、無いはずの心臓がドキドキしていた。いや、もしかしたらハイエルフとかになっているから心臓はあるかもしれぬ。今度セリムに聞いてみよう。

 俺とレリアはレリアの部屋を出て食堂へ向かった。


「アニキ、おはよう!」


 食堂に着くとファビオが駆け寄ってきた。


「おはよう」


「アニキ、その格好何?」


「これは和服と言ってな、ヤマトワで着る服だ」


「いいなー、オレも欲しい」


「ショータ殿に伝えておこう」


「ほんと?やったー!」


 子供はこんなに単純なものなのか?それとも何か別のことがあるのか?分からぬな。


「ところでアニキ、どこで寝てたんだ?」


「なぜそんなことを聞く?」


「アニキのベッドで姐御が寝てたから」


「あのまま眠ったか…」


「なんて?」


 俺が答えぬのを見てファビオはレリアの方を見た。


「ジルはあたしと寝てたんだよ」


「アネキと?!」


 ファビオが大きい声でそういったせいで食堂にいた者の多くが振り向いた。

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