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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇

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第47話

 俺はアシル達と細かい事を決め、明日の朝、出発することにした。五日以内に戻るのが目標である。メンバーは俺、アシル、ケリング、エヴラールに決定した。人虎は連れていかないことにしたのだ。


 翌朝、日の出前に出発した。俺とケリングが狼の姿になり、エヴラールがヌーヴェルに、アシルがルドゥに乗って全速力で駆けだした。


 この調子だと明日の昼過ぎには王都に着くだろう。


 そう思ったのも束の間のこと、前方に桃色のマントの騎兵隊がいる。


 ───ジル殿、どうする?───


 少し面倒だが迂回しよう。


 ───承知した───


 ケリングの方を見ると頷いてくれた。エヴラールは手綱を離さぬようにするのが精一杯のようで騎兵隊にすら気がついていない。それならそれで良い。


 その後、騎兵隊がいた所を迂回して走り続けた。


 そしてその日の夜、俺達はさらに細かく作戦を決めた。

 ケリングは決して狼の姿になってはならないことやエヴラールは俺をなるべく乱暴に扱うことなど。


 翌朝、この日も日の出前に出発した。


 俺の予想よりも早く、昼前に王都に到着した。


 城門からある程度、離れた所で俺とアシル、ケリングとエヴラールに分かれる。

 エヴラールは王都の城門の所で警備をしている兵に話しかけ、手配書を貰う。その後、俺達を誰にも気づかれぬように追う。


 そして俺とアシルが最初に入った酒場が俺を捕まえる現場だ。それを確認したエヴラール達は別の酒場に向かい、昼ごはんを食べる。俺らも現場となる酒場で食べる。


 その後、教会近くの聖堂騎士団長の屋敷を見に行き、今日の仕事を終わる。思ったよりも大きかった。

 そして宿を取り、そこで一晩休む。


 翌朝、俺とアシルはなるべく高そうな服を着て昨日の酒場に行く。

 朝からやっている酒場はこの酒場だけだ。


 俺とアシルは酒をいっぱい飲み、酒に酔ったした振りをする。もちろん魔天使族は酒になど酔わないが。


 昼前だ。帯剣したケリングとエヴラールが豪快に入って来た。そして辺りを見回して俺を見つける。


「いたぞ!金貨千枚だ!」


 ケリングがそう叫びエヴラールが机などを薙ぎ倒しながら走ってくる。そんなことをするようには言っていないのだが。ちなみに他の客は二組しかいない。


「これを見ろ!この『使徒を騙る男ジル』は貴様か?」


 エヴラールがそう言って手配書を俺に突きつける。


「…俺は…本物…だ…」


 俺はそう言って強めの酒を飲み、前に倒れる。アシルは千鳥足で逃げていく。


「偽使徒の一味だ。あいつも多少は金になる!追いかけろ!」


 エヴラールがそう叫び、ケリングが追いかける。アシルにギリギリ手が届かないように追うのだ。


「残念だったな。金貨千枚は俺の物だ」


 エヴラールがそう言って俺を担ぎあげる。

 そのまま店を去った。


「じゃあな、店主。帰りに金貨をやるからそれまで待ってろ」


 エヴラールはそう言って店を出て行く。


「食い逃げだ!誰か衛兵を呼んでくれ!」


 店主がそう叫んだ。想定外だ。


「お前らグルだろ!?」


 店主がそう叫んだ。エヴラールは背中越しにこう返事をした。


「俺が偽使徒の仲間なわけないだろ!わははは」


 エヴラールってこういう役、意外と似合うな。

 ちなみにエヴラールとケリングは商隊の護衛だったが盗賊に襲われた時に商隊とはぐれたので金欠という設定だ。


 そのままエヴラールは王宮に向けて歩き出す。後ろからケリングが来た。


「すまん。あいつを取り逃した」


「まあいいだろう。金貨千枚など俺らの孫の代まで遊んで暮らしてもお釣りが来る」


「それもそうだな。わははは」


 ちなみにアシルは聖堂騎士団長の屋敷に忍び込んでいるところだ。手紙を使用人に捨てられてはダメだから直接枕元に置いてくるのだ。

 そんなこんなで道のど真ん中を進み、王宮に着いた。

 そのまま入ろうとするがもちろん門番に止められる。


「こいつだ。金貨千枚よこせ」


 ケリングが手配書を門番に渡す。


「何!?すぐに上の者を呼んでくる。お前ら、こいつらを見張ってろ」


「は、はい」


 近くにいた門番が俺達に近づいてくる。俺は酒に酔っていたところをエヴラールに襲われて気を失っている設定だ。動いてはならぬ。


「金貨千枚か〜俺にも分けてくれよ」


「なんでだよ。ぶちのめすぞ」


 ケリングがだんだん悪者っぽく見えてきた。


「隊長、こいつらです」


 さっきの門番が少し豪華な鎧の者を連れて帰ってきた。隊長らしい。


「あ…確かにあの時の…やはり侵入者であったか。衛兵を鍛え直さねば」


 確かアシルに聞いた話だとこちらに来た時に三人の騎士に『侵入者か、使徒様か!己の正体を表わせ!』と言われたらしい。


「よし協力感謝する。そこに下ろして帰ってよいぞ」


「待て待て待て!俺らは金貨千枚が欲しくて捕まえたんだ。金貨千枚くれるまで渡さねぇぞ」


 ケリングがそう言って剣を抜く。ちなみに人狼隊の剣ではなく、騎士隊の剣を貸してある。


「俺と闘るってのか?一般人が」


「ああ。約束通り金貨千枚は頂いていくぞ」


 しばらく睨み合ったあと、隊長がこう言った。


「ははは。いい度胸してんじゃねぇか。いいだろう。ついて来い」


 ケリングとエヴラールが視線を交わして歩き出す。


 しばらく歩き、建物に入った。


「その箱にそいつを入れろ。そいつが本物の偽使徒だと分かったら約束通り金貨千枚を渡す。それまで待っていろ」


 そう言って隊長は箱を持ってきた。ギリギリ入りそうなくらいの大きさだ。そこにエヴラールが俺を投げ入れた。


「ぐッ!」


 ついうめき声が出てしまった。仕方ない、今目を覚ましたことにしよう。


「…ここはどこだ?」


 俺がそう言った瞬間、隊長が蓋を閉めた。一応演技として暴れるが素手ではこの箱を破壊できないようになっているのか?


「国王陛下にお伝えしてくる。しばらく待っていろ」


「おう。奮発するように言ってやれ」


「金貨一万枚でも良いぞ」


 ケリングとエヴラールが野次を飛ばす。

 箱が持ち上げられた。蓋を蹴ってみたが固定されているらしい。


「暴れるな、よ!」


 隊長がそう言って箱を落とす。大人しくしておこう。

 しばらく運ばれるうちに音が聞こえなくなった。もっと大きい箱に入れられたのか?


 箱が開けられた。気を失っている振りをしよう。


「陛下、この者でしょうか?」


「うむ。こやつを連れてきた者には奮発して金貨千枚をやろう」


「陛下、その者らは無礼ながら金貨一万枚をよこせ、と申しております」


「では望み通り一万枚やろうではないか。金貨一万枚でこやつの首が買えるのだ。安い買い物ではないか」


「御意のままに」


「ではすぐに処刑をする。逃げられてはならぬからな」


「準備を致します」


「いや、余自ら殺す。こやつのせいでいくら使わされたと思っとる。国民の前で斬り刻むゆえ、バルコニーにでもつるし上げておけ」


「はは」


 隊長が俺を担いでバルコニーに出た。王宮は五階建てらしく上を見ても窓がないからここが五階だろう。そしてなによりこの王宮は丘の上にある。その丘を囲むように王都が拡がっているのだ。つまり王都の民の注目を集めるには最適な場所だ。


 隊長は俺を吊り下げる。

 目を覚まそう。


「うあ!ここはどこだ?」


 そう言って暴れる。隊長の顔面に足が当たる。


「くそ。陛下より前に斬り刻むわけには…」


 そう言って歯を食いしばりながら去っていった。


 僅かな護衛を連れて国王が来た。確かギュスターヴ四世と言ったか。


「ふふふ。残り僅かな人生をこのような場所で過ごせるのだ。感謝して貰いたいものだな」


「…」


「逃げ出そうとしても無駄だ。その縄は何をしても切れぬ。王家に伝わる魔法すらも防げるのだ。貴様には何も出来まい」


「…」


「もう一つ。衛兵が大声で伝えておる『偽使徒は今夜、その罪をその体で償う』とな」


「貴様は馬鹿だな」


「何!?」


「報告を受けていないのか?」


「なんのことだ?」


「俺を捕まえる時に一人、取り逃したことを」


「一人で何ができる?」


「王宮に火でも放てば処刑どころではなくなるだろう」


「貴様だけ焼死だ。余には魔法がある」


 その後も夜になるまで国王と話し続けた。だが俺と国王の距離は縮まるどころか離れていく一方である。


 一応アシルに念話を送っておこう。


 アシル、助けてくれるだろ?


 ───ああ。処刑の時、国王以外を射抜く。そしてエヴラールとケリングが王宮に忍び込み、あんたを助け出す───


 金貨は貰えたか?


 ───ああ。なぜか三万枚も───


 いい金づるだな。またやるか?


 ───無理だろう?───


 そうだな。では頼むぞ。


 ───ああ。任せておけ───


 アシルとの念話を終わった。ちなみにアシルは弓の名手だ。俺にあたることは無いだろう。

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