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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇
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第43話

「ではこれより名前を呼ばれた者はここまで上がって来い!」


 俺はアシルの方を向く。

 アシルは頷いてこう言った。


「ドニス、アルフォンス、ラミーヌ、ヴァトー、ブームソン、ヴィルトール、ファルジア、ダレラック、バロー、シャミナード。前に出ろ!」


 呼ばれた十人が走って登ってくる。

 俺の前に来て跪いた。


「ドニス、おぬしには人魔混成団副団長を任せる」


「はは。謹んでお受けいたします」


 俺がそう言うとドニスがより深く頭を下げた。


「アルフォンス、おぬしには左翼騎士隊の隊長を任せる」


「はは。謹んでお受けいたします」


 ドニスの頭が少し上がり元に戻った。それと同時にアルフォンスが深く頭を下げた。

 ちなみに左翼騎士隊とは騎士隊を三つに分けたうちの左側に位置する部隊で千騎が所属する。他には中央騎士隊と右翼騎士隊がある。


「ラミーヌ、おぬしは侍従武官を辞め、右翼騎士隊の隊長を任せる」


「はは。謹んでお受けいたします。ですが何か問題がございましたでしょうか?」


「問題があった訳では無い。ラミーヌは俺の侍従武官がどこまでやれるかを俺にみせてくれ」


「そういう事でしたらお任せ下さい」


 ラミーヌが頭を深く下げた。右翼と左翼には隊長をつけたが中央騎士隊には隊長をつけずに俺が指揮することになっている。数は後付けだが移動中に三つの部隊に分け、その指揮官などは決めていたのだ。


「ヴァトー、おぬしには魔戦士隊の隊長を任せる」


「はは。謹んでお受けいたします」


 これからはさっきの繰り返しだ。省略しよう。


「ブームソン、おぬしには人狼隊の隊長を任せる」


「ヴィルトール、おぬしには人虎隊の隊長を任せる」


「ファルジア、おぬしにはエルフ弓箭隊の隊長を任せる」


「ダレラック、おぬしにはエルフ魔法隊の隊長を任せる」


 この四つの部隊を合わせて魔戦士隊だ。魔戦士隊はヴァトーの指揮に従う。


「バロー、シャミナード、おぬしらにはそれぞれ犬人隊の隊長と猫人隊の隊長を任せる。更に工兵隊の隊長を兼ねてもらう。二人で工兵隊の隊長をしてくれ」


 バローとシャミナード、もっと言うと犬人と猫人、人狼と人虎のどちらかを優遇してはダメな気がする。エルフは仲裁役を担ってもらう為、少し優遇する。


「では下がれ」


「「「はは!」」」


 前に来ていた十人が下がった。


「各々、作業に戻れ。騎士隊は鍛錬をしていろ。以上だ。解散!」


 俺がそう言うと魔族は作業に戻った。やるべき事を既に理解しているからだろう。騎士隊は戸惑っている者が多く、組織的な動きは無い。


 俺は城壁から降りる。後ろにアシル達がついてきた。エヴラールもいる。


「エヴラール、ドニスを会議用幕舎に呼べ」


「はは。ところで会議用幕舎とはなんでしょうか?」


「ドニスなら分かる」


「はは。直ちに呼んで参ります」


 エヴラールが一礼をして走り去った。


 幕舎に戻り、会議を再開する。今はこの砦についてだ。細かいところは犬人や猫人の大工に任せるが大まかな注文は俺がする。例えば外観の色など。


「基本は黒で統一させますがよろしいですか?」


「ああ。所々に青を入れてくれ」


「承知しました」


 俺は犬人の質問に答える。こんな感じにラポーニヤ長老院の者がある程度の事を決め、それを俺が許可する形なのだ。ちなみに長老院には若い者も僅かだが所属している。


「シャミナード殿からの提案書があります」


 今度は猫人の質問だ。


「なんだ?」


「『これくらいの規模なら移動式に出来るニャ。エルフの魔法陣を刻めば砦ごと転移も出来るニャ。車輪をつけて転がすのもアリかもしれないニャ』と書かれております」


「シャミナードを呼んで詳細を聞こう」


「承知しました。バロー殿からも報告書があります」


「読んでくれ」


「内容はほとんど同じですが…?」


「それでも読め」


「はは。『この砦は移動式にしておくワン。転移も出来るから安心するワン。このまま敵の城に突っ込めば破城槌にもなるから最強だワン』と書かれております」


「バローの中では決定してるのか?」


「そのようですね」


「バローも呼べ」


 バローが変な事をする前に止めなければ。


「ジル様、ドニス殿をお連れしました」


「団長、ドニスです」


 幕舎の外でエヴラールがそう言った。


「入って良いぞ」


「「失礼致します」」


 二人が入って来た。ドニスはそのまま俺の近くに来て跪いた。


「ドニス、騎士隊の実力を見ておいてくれ。使えなさそうな兵は徹底的に鍛えろ」


「承知しました。使えそうな兵については?」


「序列について説明し、序列決めを手伝わせろ」


「承知しました。以上ですか?」


「ああ。また何かあったら頼む」


「ええ。お任せ下さい」


「では下がって良いぞ」


「はは。失礼致します」


 ドニスが出て行った。


「エヴラール、何を突っ立っている?」


「あ、すみません」


「謝らなくて良い。何か軽く食べる物を持ってきてくれ」


「はは。他の方々で欲しい方はいらっしゃいますか?」


 エヴラールが他の者を気遣って聞いた。まあ誰も手を挙げなかったが。

 エヴラールは気にすることなく外に出て走っていった。


「ジル様、兵器の方ですが如何致しますか?」


「移動させるかどうかによって変わるからシャミナード達が来てからにしよう」


 その後も一日中会議をする日が四日程続いた。


 そして四日後、会議が終わり、談笑していたところに砦が八割がた完成したとの報告が入った。なぜ八割で報告してきたのかは分からないが見て欲しいことが伝わった。


「シャミナード、案内を頼む」


 バローには大切な事(移動式にするか否か)を報告前に決定した事の罰として俺を案内する権利をシャミナードに譲らせた。ちなみに移動式にした。


「まずはジル様の部屋を見るニャ」


「ああ」


「こっちニャ」


 シャミナードが歩き出した。

 しばらく進んだ所で止まった。


「まずはこの扉を開けるニャ」


「その次は?」


「まあ見てるニャ」


 シャミナードがそう言って扉を開ける。

 すると中には三つの魔法陣があった。


「これは?」


「真ん中の魔法陣に乗るとジル様の部屋に行けるようになるニャ」


「それ以外は?」


「何も起こらないニャ」


「順番に乗ったら行けるではないか」


「一度間違えたら真ん中の魔法陣に乗っても意味が無いニャ」


「なるほどな。セキュリティは万全だな」


「ジル様がいなくなったらみんな悲しむからニャ」


「そんな日が来ないように気をつけておこう」


「頼むニャ」


 その後、魔法陣に乗ると別の部屋に転移した。そこにも三つの魔法陣があり、今度は右端の魔法陣に乗る。それ以外に乗ると最初の部屋に戻される。

 そんな部屋を五つ通り過ぎると俺の部屋に着いた。ヌーヴェルに乗って駆けれる程の広さだ。


 その後もシャミナードの案内に従って色々見る。


 一階と二階は攻め込まれても戦えるようになっており、三階と四階は兵士の住居になっていた。そして五階と六階、七階がラポーニヤ魔族の住居になっている。最上階の八階は俺や俺の側近の部屋の他に会議室や魔法陣の操作室など大切な部屋がある。


「次は城壁の上を案内するニャ」


 十メルタ程の高さの城壁の上には兵器が並んでいた。投石器や弩など色々あった。それにエルフ魔法隊によって対魔法結界や対物理結界など結界が何重にも張り巡らされている。この結界は操作室から操作する。

 俺がこの城を攻め落とせと言われても断るだろう。それくらいの脅威である。


「あとは石畳を敷いてエルフ魔法隊に移動用の魔法陣を描いてもらうだけだな?」


「そうニャ。細かい事は分からないけど転移魔法陣を描いてもらうだけニャ」


 遂に俺の砦、ラポーニヤ魔砦が完成した。

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