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神に仕える黄金天使  作者: こん
第2章

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第429話

 フェリシア陛下の懐妊に関する諸々の手配が終わると、今度はバシレウス大公が立ち上がった。むろん、議長の許可を得た起立である。


「皇帝陛下がお倒れになられた今すべきではないという意見も出るだろうが、クィーズスケーニヒ大公、ノヴァークレクス大公、そして私テイルストバシレウス大公から報告がある。先日、我々のうちで協議し、宮内大臣を通じて皇帝陛下に上奏、その上で正式に決定した件である。旧王家たる血閥から美姫を一名ずつ後宮に納め、臣従の証とする件である」


 バシレウス大公はそう言いながら、陛下の席まで歩いた。そして、なぜか空席に一礼した。


「クィーズス血閥からは、フェッター侯爵家次女パムファイネッテ・フォン・クィーズスフェッター妃。ノヴァーク血閥からは、レクス大公家三女フローレンス・フォン・ノヴァークレクス妃。テイルスト血閥からは、アデルフゥア公爵家の長女ジュヌヴィエーヴ・フォン・テイルストアデルフゥア妃。我々が皇帝陛下の御為に選び抜いた美姫である。なお、お察しの通り、彼女らは妾妃となるため、家名は変わらず実家のものを用いる。ファーブル閣下、これでよろしいかな?」


「補足いたします、テイルストバシレウス大公閣下。この三名は九月一日を以て正式な献上といたしますが、一昨日より後宮にお住みになられております」


 バシレウス大公に指名されたファーブル宮内大臣が、納められた妃について説明を始めた。


 まず、呼称は個人名と妃、敬称は殿下とする。つまり、パムファイネッテ妃殿下、フローレンス妃殿下、ジュヌヴィエーヴ妃殿下ということになる。あくまで、実家とは離れていることを表しているそうである。

 敬称が殿下である事についてであるが、これはあくまでサヌスト帝国を統治するのはサヌスト皇帝とその正妃たる皇后であるからであり、妾妃殿下方ではないからである。


 次に、婚姻の儀など儀式等についてであるが、これは予定しておらぬそうだ。

 宮内省が発表し、夜会が開催されるそうであるが、これも一夜のみ開催されるようだ。フェリシア陛下の懐妊と重なったし、何より祝いに参上すべき貴族や官僚が多忙であるから、遠慮したそうだ。


 最後に、軍令部に対し、三名の侍従武官と親衛隊の編成の要請があった。

 これに関しては、俺がすべき事は何もないので気にする必要は無い。


 その後、ヴァーノン卿による開会の宣言があり、正式な会議が始まった。まずは予算の編成から始める事となった。


 まず、通貨ごとに計算していては、色々と面倒であるので、以前提案があったリロイとオールの正式導入を決定した。既に財務省が『リロイ・オール法』として法案を作ってあったので、それを承認するだけであった。

 四月から三月までを会計年度とし、特別の事情がない限り、一年分の予算は一年で徴税した分で賄うものとした。ただし、戦争であったり飢饉であったりがあれば、臨機応変に対応する。

 それから、今年度は不可能であるが、各機関が落ち着いて以降は、前年度中に定めた予算で運用し、それ以外はなるべく求めないものとした。もちろん、戦争でも始まれば、充分な戦費を確保せねばならぬが。

 それらを踏まえ、今年度の予算を計算すると、残りは三十億オール程度だそうだ。これは偶然であるが、これまでに使った分と旧王家から献上があった分とで相殺があり、一年分の予算がそのまま残っているのと同等であるそうであった。


 十日ほど話し合い、軍事費が確定した。軍務省なども含め、六億オールである。全額の二割であるから、結構頑張った方ではなかろうか。

 さらにそれを分配し、騎士団には一億五千万オールが割り当てられた。ちなみに、金貨に変換すると千五百万枚である。かなりの大金である。


 予算編成後、各議官から報告と要請があった。


 内務省。地方統治に関して、諸侯に同一の機関の設置を義務づけ、それによって中央による一元的な管理を目指すそうだ。

 ラントの統治に関する責任者として州令ラント・プレフェを領主が任命する。これを長とし、州の統治機関たる州令府ラント・サールが設置され、これには中央の各省から官僚が一名ずつ派遣され、その分野において州令を助け、また監視する。

 ベツィルクの統治に関する責任者として県令ベツィルク・プレフェを領主が任命する。これを長とし、県の統治機関たる県令府ベツィルク・サールが設置され、こちらにも官僚を派遣できる。ただし、こちらは義務ではないので、県令か派遣元たる省からの要請と承認が必要である。


 国務省。奴隷解放に関して、推奨、要請、命令と段々と効力を強め、最終的には武力による強制解放も辞さないそうで、ここでいう武力に関し、騎士団が全面的に協力することになった。

 具体的な方策であるが、まずは奴隷所有者に対し、奴隷の解放を推奨する。これに応じた場合、または過去三年以内に奴隷を解放していた場合、奴隷一名につき、一・五オールから四オールの協力金を支払う。金額は奴隷の性別や年齢、健康状態、解放に応じた時期などによって変動するそうだ。

 次いで、完全な無償での解放を要請する。これに応じた場合、罰則はないものの、協力金などもない。

 最後に、解放命令を出す。これに応じなかった場合、騎士団が奴隷所有者を捕縛し、国務省が奴隷を保護、解放する。その悪質性などによって罰則が定められ、罰金刑から身体刑まであるが、死刑はない。


 宮内省。貴族の紋章に関し、その管理や権利保護のため、紋章院を設置する。

 上級貴族には必ずある紋章の管理は、貴族がそれぞれに行っていたが、それらの業務を官吏が行い、変更がある場合には紋章院に属する紋章官が担当する。


 法務省。司法に関し、最高権限を有する高等法院を設置し、枢密院議官を含めた全ての貴族、平民に法を遵守させる。

 高等法院はサヌスト皇帝に直属し、帝国内のほとんどの裁判を統括する。高等法院が関与せぬのは、軍事裁判と諸侯が定めた法に関する地方裁判のみである。この二つに関して、前者は専門性や機密保持のため、後者は諸侯の特権により、高等法院から独立している。


 軍務省。ジェローム卿からも少しあったが、徴兵に関する組織として、地方徴兵本部と地方徴兵支部が設置される。

 地方徴兵本部には、金級徒士が本部長として置かれ、その下に十数名の徒士官、数十名の下士官が置かれる。これには地方徴兵支部の人員は含まれておらず、こちらは支部長たる銀級徒士、十名程度の徒士官、数十名の下士官が配置される。

 徴兵に関しては、軍務省人事局が統括する。ちなみに、軍令部にも人事部があるが、こちらは部隊編成や士官以上の武官の評価などを担当する。


 軍務省からもう一点。士官の採用に関して、人事局が試験を実施する。

 これまで、士官の採用方法は各軍によって異なり、サヌスト王国軍やクィーズス軍は血統、テイルスト軍はテイルスト人である事、ノヴァーク軍は兵卒からの昇格であった。

 この試験は四十歳以下のサヌスト人であれば誰でも受験資格があるものとした。これによって、例えば武門の名流などから若い才能を得る事もできるし、下士官から有能な者を昇格させることもできる。それに、血統が採用理由でないから、名門の無能が排除できる。

 試験は騎士部門と水士部門、徒士部門とに分かれており、同時受験はできぬ。それから、例えば騎士官が水士官になりたい場合には、一度退役する必要があるし、合格後の階級は元の階級に関わらず銅士からである。


 建設省。一度、諸侯に領地を献上させ、再び下賜するため、諸侯本人または代理人を招集する。

 下賜する領地であるが、ほとんど決定しているそうだ。複数州の諸侯のみ挙げれば、帝室直轄領が十州、クィーズス血閥領が八州、テイルスト血閥領が五州、ノヴァーク血閥領が四州、モレンク血閥領が三州である。我がモレンク血閥は三割ほど広くなるようであった。

 州名と県名は領主が決めねばならず、俺は三州と十二県の十五個の名前を考えねばならぬ。変な名前を付けられぬから、結構大変だ。


 農商省。主要な食料の需給管理のため、食糧庁を設置する。

 食糧庁は、農商省食糧生産局の技官である農務官が生産した食糧を保管し、飢饉などの際に安価で売り出したり、軍から要請があれば兵糧として提供してくれるそうだ。

 食料を平時から集めておくための機関を、軍令部が独自に設置しようとしていたそうだが、農商省が設置してくれるので、楽ができた。まあ軍としても普段からある程度は貯めておかねば、要請から提供まで待てぬ時に困るので、騎士団でも食糧庫は新設するつもりである。

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