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神に仕える黄金天使  作者: こん
第2章

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第409話

 俺が帰還の挨拶をした後、ルイス卿の司会で会議が始まった。


 まず、予算の確認であるが、白蓮隊が持参した金貨一千万枚、領民から現金で納められる税が金貨に換算して九十万枚である。

 ここから、人件費などの固定費を差し引くと、自由に使えるものは合計金貨一千五十万枚である。この一千五十万枚は、何に使っても良いものではあるが、あまり変な使い方をしては領地が荒れかねぬので、領主館の各部署にある程度を配分せねばならず、完全に自由な予算は金貨九百五十万枚まで下がる。今回の会議は、この九百五十万枚の使い途を決める会議ということである。


 それから、予算を欲する者に、改めて口頭で金額と用途を発表させることになった。


「アズラ・フォン・モレンク=シュヴェスター子爵です。学園建設に関して、金貨を十万枚いただければ、来年には開校できます」


「認可いたしましょう。教師陣の勧誘なども含まれているのでしょう?」


「契約金は含んでいますけれど、通常の給与は含んでいません」


「では十一万枚を学園建設に」


「ありがとうございます」


 金貨十一万枚程度であれば、俺の判断を仰ぐ必要などなかろうから、まずは俺の金銭感覚を、新参の家臣に様子見させているのだろう。


「あ、この場を借りて、学園の名称も決めてしまいたいのですが、いいですか?」


「ええ。候補はありますか?」


「せっかく下賜されましたし、『モレンクロード学園』なんてのはどうでしょう」


「そうしましょう。念の為に言っておきますが、私は金銭(かね)を出すだけで、教育に口は出しませぬので、信頼できる者を学園長に選んでいただきたい」


「分かっていますよ。ロード公には、理事長になっていただきますけど、運営は理事会に任せておけばいいですよ」


「そうですか。ではその方向でお願いします」


「はい、分かりました。次、どうぞ」


 アズラ卿はそう言うと、ルイス卿を見ながら座った。次に譲ったが、次が誰か知らぬようだな。


「ロード公、そう安易に決めてしまうと、後半の案に予算が渡らないので、一度全てを保留にして、最後に決めてください。シュヴェスター子爵の学園建設に関しても、一旦取り消します」


「すまぬ。次から気を付けよう」


「ありがとうございます。では次は、ランヴァルド・オークランスさん、どうぞ」


 ルイス卿は俺に注意した後、オークランス伍長を指した。確か、アウストリアとアガフォノワの師であると聞いている。であるならば、軍事に関する要求であろう。


「オークランスです。軍事力強化のため、金貨五百万枚をいただきたく思います」


「五百?」


「はい。兵士個人の戦力強化のため、モレンクロード学園の傘下に軍学校を設立する許可をいただきましたので、その予算に金貨百万枚。現存する兵力の再編と強化に金貨百四十万枚。そして、新型兵器開発など軍事研究のため、仮称ではありますが、軍事研究所と兵器廠の開設と初年の予算として金貨二百五十万枚。残り十万枚を、私兵隊の演習地の整備に充てます」


「シュヴェエスター子爵、許可を?」


「はい。予算は一切出さない条件ですけど、寮はこっちが建てて管理しますし、座学には教室を貸したり、協力できるところは協力しますよ」


「そうですか。では前向きに考えておきましょう」


 金額には驚いたが、オークランス伍長はオークランス伍長なりに計算した結果であろうし、それを確かめる者もいるはずであるから、金額は問題ではない。

 だが、既に半分を使っているから、後半に発表する者は不利だな。ルイス卿の言う通り、とりあえず全てを保留にせねばならぬな。


「次は三龍同盟サヌスト支部ヒナツ・フォン・モレンクレール支部長です」


「ヒナツです。我々三龍同盟は、自治領をいただきたく思っておりますの。よろしくて?」


 ヒナツはそう言うと、俺を見ながら髪を触り始めた。変な話し方であるが、誰かに何かを吹き込まれたのかもしれぬな。まあ俺はどんな話し方であったとしても、ヒナツの事は苦手である。かといって、それが理由で三龍同盟の要望を却下したりはせぬ。


「なにゆえ自治領を欲する?」


「…ほんとにくださるの?」


「欲しいのであろう?」


「いりませんけど」


「…エーデル子爵、次へ」


「ちょっとお待ちなさいな。本題に入るわ。ブロンダンと親善都市提携をしたら、三龍同盟サヌスト支部ブロンダン分会を設置するつもりだから、その経費を支払ってくれないかしら。金貨三万枚もあれば充分よ」


「承知した。ブロンダン領主との交渉はレール帝国騎士に任せる。領主館からも幾人か出すが、三龍同盟が主導し、経費は終わった後で請求せよ」


「分かったわ。カイ坊の初仕事ね」


「それは知らぬが…」


 俺はヒナツを座らせ、ルイス卿を見た。ヒナツと雑談しようなどとは思わぬし、そう思っていると思われたくない。


「次はミミル商会ミミル・ダルク会長です」


 ルイス卿がそう言うと、ミミルが立ちあがった。家名を決めて欲しいと言われても、適当な名前を付けられぬと思っていたが、既に名乗っているのであれば安心である。


「ミミル・ダルクです。私は、モレンク血閥に忠誠を誓った、複数の商会による商会連合の発足を進言します」


「というと?」


「名称は未定なので、仮に商会連合と呼称しますが、これには大規模な商会も、起ち上げたばかりの小規模な商会も参加できるようにしたうえ、所属する商会に対しては、様々な支援を受ける権利が付与されます。その支援について、ご協力をお願いします」


「…つまり?」


「お手元の資料をご覧ください」


 ミミルに言われて、手元にある資料を見たが、どれの事を言っているのか分からなかったので、ミミルの言葉だけで理解しようと顔を上げた。すると、リンが俺とアキの資料を整え、小声で解説を始めた。有能だ。


 ミミルの説明によれば、商会連合は商会の純利益の三割を上納金として納める代わり、様々な支援や優遇を受けられる組織であるそうだ。

 俺がすべきはこの支援であり、具体的にはモレンク血閥領内での税制優遇、土地や店舗の低額での提供、低利子での融資などが主だったものである。

 これに加え、追加料金が必要になるが、白蓮隊からの技術提供などを受けることも可能であるそうだ。既に三番隊と四番隊に確約してもらったそうで、メリーン組長とアルクラ組長も頷いていた。

 この組織の運営であるが、理事会を設置し、俺を理事長にすることで、領地との連携を図るそうだ。実際の運営に関しては、事務局などを設置し、必要な人員は領主館から出向という形で提供することとなった。


 この商会連合の開業に関する経費と人員を要求しているそうで、金貨一万枚と連合本部に相応しい建物、事務局長として信頼できる人物などを提供することになった。

 事務局長には、白蓮隊五番隊のアンティア・ヴァーラを任命した。五番隊米屋有吾(ユーゴ・マイヤー)組長の推薦である。


 その後も、いくつか要求を聞き、調整を重ね、数日をかけて皆が納得する配分を決めた。


 まず、モレンクロード学園の建設と開校費用に金貨百二十万枚。これには、軍学校や演習地の費用も含まれている。責任者はアズラ卿である。

 次に、私兵の再編と強化に関する費用として、金貨百五十万枚。これには、兵士の装備強化費用や城塞の建築費用なども含まれている。総責任者は本人の希望でアキであるが、その補佐にアガフォノワとアウストリアをつけた。

 次に、研究所と大規模工場の開設に金貨五百万枚。軍事研究も魔法研究も、それ以外の研究も全て同じ研究所で研究することになり、そこで開発された技術を用いた生産などを担う工場も併設することにした。責任者は途中から参加していたフーレスティエであるが、メリーン組長やアルクラ組長も大きな権限を持つ。

 ブロンダンとの親善都市提携に関しては、旅費や接待費など全て含めて金貨五万枚。俺は身分を偽っていたが、過去にブロンダン領主を謀り、いくらか巻き上げたので、その詫びも兼ねた接待である。むろん、俺の謀りについては、同行した者しか知らぬ。責任者はカイであるが、三龍同盟が全面的に支えるので安心である。

 連合商会には金貨百五十万枚。これは設立に関する費用だけでなく、領内の経済活動が活発化する事を期待し、若手商人などに無利子で貸し付けたり、利用の促進のため支部を多く建てたり、まあ色々やるので、少々多く与えることにした。責任者は米屋有吾(ユーゴ・マイヤー)である。

 残った金貨二十五万枚については、街道の整備であったり、衛兵隊の強化であったり、奴隷解放事業の事後支援などに充てられることになった。

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