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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇
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第26話

 俺とアシルはまずアシルや従者達の馬を一角獣(ユニコーン)にした。偶然なのか分からないが全て一角獣(ユニコーン)になった。白馬や一色の馬ばっかりだったからかな?


「これで最後だな」


「おう。ヌーヴェルの所に連れていくか。俺がルドゥに乗って行ったらついてくるかな?」


「ルドゥ?」


「俺の馬の名だ」


「やってみたらどうだ?ついて行かなかったら俺がどうにかするから」


 アシルがルドゥに乗ってヌーヴェルの方へ行き、アシルがルドゥから降りるとルドゥ達がヌーヴェルに頭を下げた。


「じゃあ、ヌーヴェル。ここは任せたぞ」


 ───任せよ───


 俺はヌーヴェルに馬達を引渡し、部屋に戻る。

 従者を呼ぶ為にベルを鳴らす。


「如何致しましたか?」


「おー、カールか。アルノルフと情報交換はしたか?」


「先程終了しました」


「じゃあ、今日の夜、カルヴィンから手紙が来たらすぐに教えてくれ。返事を書きたい」


「よろしければ内容を教えてくださいませんか?」


「『鳩が着く頃にこちらを出発する。領主に伝えておいてくれ』と」


「街に行くのですか?」


「ああ、そのつもりだ。今度は全員で行くぞ。カール班もセザール班もアルノルフ班も全員だ」


「承知しました!直ちに準備を致します」


 カールが出ていった後、アシルに目を向けると普段の二倍ほどに目を見開いていた。


「…本気か?」


「何が?」


「全員で街に行く事だ!」


「相談無しに決めてしまった事は詫びるが本気だ。これは命令だ」


「…俺も街には行きたいから許すがな」


「さあ、気持ちを切り替えて準備をしよう!」


「それは俺のセリフだ」


 俺とアシルはそれぞれ準備をする。

 ふとアシルを見ると暖炉に体を突っ込んでいた。あのお金が入った袋を探しているのだろう。知らないふりをしよう。


「おいおい、何やってんだよ。使用済みの薪なんか持って行ってどうするんだ?」


「いや財布をこの中にしまってあるんだ」


 財布?あれが?ただの袋じゃないか。


「あった。街に行くなら金がいるだろ?」


「そうだな。いくらくれるんだ?」


「金貨二十枚だ。俺は既に持っているから残りの三十枚は大工を探すのに使う」


「そうか。俺は自分で取るぞ。なるべく綺麗な金貨がいいからな」


「変なこだわりがあるのだな。俺は別の準備をしておくから終わったら教えてくれ。くれぐれも多く取ろうとするなよ」


「わかってるよ」


 まさかアシルが枚数を把握しているとは。この前何枚か使ったから残りが三十枚になるようにしなければ怒られるぞ。

 俺は一応綺麗な金貨を選んでそれ以外を袋に戻しておいた。ちなみに十五枚だった。五枚も使ったっけ?


 まあ、そんなこんなで夜ご飯になり、従者達が運んできた。前まではステーキ三十枚とか食べて他にも色々食べて一食だったがもうそんなに食べないぞ。精々三枚だな。それと付け合せも食べたらお腹いっぱいだ。


 俺は従者達に日の出までには起こすように頼み、眠る。久しぶりの睡眠だ。今世初か?この世界に来た時にしているか。まあ、久しぶりなことには変わりない。




「…様、ご主人様!」


 遠くでアルノルフの声が聞こえる。これが夢か…。それにしても妙な夢だな。


「おい!ジル殿!」


 今度は体が跳ねた。あれ?夢って視覚と聴覚以外の五感が失われると聞いたんだが。


「痛い!」


 外から頭が叩かれたような気がして飛び起きる。


「やっと起きた」


 アシルが剣を肩に担いでこちらを見ていた。その隣には心配そうにこちらを見るアルノルフがいた。


「おはようございます、ご主人様」


「ジル殿、おはよう」


 二人が俺に挨拶する。


「ああ。二人ともおはよう」


 俺は笑顔で返事をして、寝台(ベッド)から出る。

 大きな伸びをして机に置いてある朝ご飯を食べる。


 朝の準備を終えた俺達は早速出発する。

 普通の馬とは比べものにならないほど速く走った。これが一角獣(ユニコーン)か。ヌーヴェルに念話を送ってみよう。


 こんなに速く走って大丈夫なのか?


 ───我が主よ、ご心配なさらず。我ら一角獣(ユニコーン)はこの速度なら三日三晩は休憩なしで走れる───


 そんなの人間(こっち)が持たないわ。途中で疲労で死ぬわ。


 ───ジル様は人間ではないのでは?───


 ほとんど人間みたいなものだが一応、魔天使族だ。


 ───我ら一角獣(ユニコーン)は魔物だ。その中でも知能を有しているので魔族と呼ばれる───


 そうなのか?では、俺が召喚魔法でヌーヴェルの空間を作ってやろうか?


 ───よろしいのですか?───


 ああ。今はオディロンも俺の召喚魔法の空間にいるからな。


 ───感謝致します───


 その代わり何かあったらすぐに召喚するからな。その時はよろしくな。


 ───ええ、もちろんです───


 その後もヌーヴェルと話していると街が見えてきた。


「着いた…」


 従者達を見ると大半の者が酔ったのかぐったりとしている。速すぎたのだろうか。


「おーい!何、ぐったりしているんだ!」


「おいおい、ジル殿。さすがに休憩くらいさせてやれ」


「そうか。では、少し休憩させてやる」


 俺はヌーヴェルに召喚魔法を使う。もちろん成功だ。そしてヌーヴェルを召喚してミミルの店へ向かう。

 黄金の鎧を纏って、角が生えた馬に乗っているからかとても目立つ。


「ミミルはいるか?」


 俺が店の前まで行ってそう叫ぶと後ろがザワザワしていた。


「おぉ、これはデシャン様。ようこそおいでなさいましたな」


「うむ。今回はジルと呼んでくれ」


「承知しました」


 俺はヌーヴェルから降りてミミルにこう尋ねる。


「騎馬隊が乗れる程の舟はあるか?」


「何騎ですか?」


「えーと…俺を合わせて十七騎だ」


「三艘に分かれていただいてもよろしいですか?」


「ああ、構わん」


「では、私は準備をしておきますのでお仲間をお連れください」


「わかった。俺の仲間の前では俺が夜の間に来たことを言うなよ」


「承知しました」


「俺の話に適当に合わせろ」


 俺はミミルの返事を聞かずにヌーヴェルに乗り、アシル達の所まで向かう。

 そして出発するする旨を伝える。


「おーい!早く行くぞ。知り合いの舟屋にはもう言った」


「ジル殿に知り合いの舟屋なんていたんだ」


「俺の人脈をなめんなよ」


 俺達はミミルの所まで行く。周りの舟屋がザワザワしていた。


「待たせたな」


「いえいえ。さあ、こちらです」


「降りた方が良いか?」


「ええ。出来れば降りてください」


 俺達はミミルの指示に従って三艘に分かれる。


「では、出発致します」


 ミミルがそう言うと四艘目に乗って部下達と俺らが乗った三艘をロープで結び、引っ張って行く。

 これは後で聞いた話なんだが昨日店を開けずに舟を買いに行ってその時に雇えるだけ人を雇ったらしい。契約金として銀貨十枚を出したそうだ。それでも二十人に満たないらしい。今回は十人で漕いでいる。


 何事もなく街に到着する。ちなみにこの街はステヴナンと言うらしい。やはりこの街も偉人の名らしい。


 街に着くと今回も金貨をミミルに渡す。今回はアシルが持っていた食費などを払う経費で金貨十枚を払った。


 その後俺達は領主の館に行き、領主アルセーヌに挨拶する。


「ようこそおいでなさいました」


「うむ。これよりしばらくの間世話になるぞ」


「お任せ下さい」


 俺達は領主と一緒にお昼ご飯を食べる。

 そしてお昼ご飯を食べた後は自由時間となった。

 俺は先ずカルヴィンの報告を受け、集まった兵とも会った。俺が来ると知って五十人集まってもドリュケール城に向かわせなかったらしい。


 その後、俺は約束通り、フィデールとカミーユと一緒に本屋を巡ることにした。


「アルセーヌ殿から地図は貰ったか?」


「はい。この地図によると本屋は三軒あるようです。どこから回りましょうか?」


 俺はフィデールと相談する。


「小さい所からの方が良いんじゃないか?」


「承知しました」


 俺達は徒歩で本屋に向かう。途中、露店で買い食いなどもしてそれなりに楽しみながら向かった。

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