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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇
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第25話

 俺がロジェと合流すると捕虜の目が覚めたようだ。


「ロジェ、捕虜(こいつ)をお前の後ろに載せて行ってくれ」


「承知しました。矢筒をお返し致します。矢は使用しておりません」


「そうか。何本撃った?」


「五本です。あまりにも早く終わってしまって使えませんでした」


「わかった。さあ、ドリュケール城へ帰ろう」


 俺はロジェと一緒にドリュケール城へ帰る。


 今度は何事もなく着いた。


「こいつの事は俺がジェローム卿に伝えておくからヌーヴェルを頼んだ。俺の部屋集合で」


「承知しました」


 俺は捕虜を連れてジェローム卿の部屋へと向かう。

 部屋まで行こうとしたが途中でジェローム卿とすれ違ったので引き渡しておいた。なんか呆れられたような気がするが悪い事はしてないだろう。

 俺は一人になったので俺の部屋へと急ぐ。ロジェよりも早く着いておきたい。


「お、ロジェ。今来たのか?」


「はい。ご主人様もですか?」


「ああ。ゴーチェを呼んでくれ」


「はい」


 俺はロジェにゴーチェを呼ぶように言い、部屋に入る。

 ジェローム卿の部屋に憧れてカーペットをフカフカに作り替える。それと眠れるようになったので寝台(ベッド)を整えておこう。

 ノックがされた。


「ゴーチェを連れて参りました」


「入って良いぞ」


 二人が入ってくる。


「ゴーチェ、アルノルフ達は起きたか?」


「はい。昼食の準備をしておりました。ご主人様のご指示があればすぐにでも用意できますが如何致しますか?」


「前と同じ量か?」


「はい。どうかなさいましたか?」


「作ったならいいが次から食事の量を減らしてくれ」


「承知しました」


「じゃあ、準備してくれ」


「承知しました」


 二人が出て行く。ロジェが何も喋らなかった。


 しばらくすると食事を持った従者達が入って来た。

 俺はお昼ご飯を食べる。


 お昼ご飯を食べた後はジェローム卿の所へいこう。


「ジェローム卿、アシル達はどれくらいで帰って来そうだ?」


「もうすぐだと思うぞ」


「ところでシルヴェストルの所の捕虜はどうなった?」


「偵察に来ていたようだ。エジット殿下がここに来てから一ヶ月くらい経つから兵を集めていると思ったんじゃないか?」


「なるほど。で、集まっているのか?」


「ああ。エジット殿下は三万の騎兵と五万の歩兵を集めたようだ」


「そんなに金を持っていたのか」


「王都から持って来ていた財宝を売ったようだ。それと山賊退治をして何人かの諸侯が協力しているようだ」


「なるほど。それを全部合わせて八万か?」


「ああ。今回の戦いはサヌスト王国始まって以来最大の内乱となるであろうな」


「と言うと?」


「過去何度か内乱があったが動員された兵は精々十万だ。国王陛下とエジット殿下がぶつかる頃には両者合わせて百万に届くかもな」


「おお、そりゃすごい」


 百万だったら他国を攻め落とせるんじゃないか?それを内乱に使うとはサヌスト王国の人口を舐められないな。


「失礼致します」


「どうした、ギスラン」


「は。マニュエル卿やサミュエル卿がご帰還なされます」


「出迎えに行くか」


 ギスラン卿が入って来てそう伝えた。わざわざ一万騎長が伝えに来るとはな。


「ジル卿も行くだろ?」


「もちろん」


「では、北門に集合だ」


「了解だ」


 俺はロジェにヌーヴェルを連れてくるように頼み、二人で北門に行く。


「なんだ、ジル卿は二人で出迎えるのか?」


「ジェローム卿のように部下が多くないのでな」


「そういうもんか」


 俺はジェローム卿の隣に並び、アシル達を出迎える。

 するとマニュエル卿を先頭に来た。長いな。


「マニュエル、変わりなかったか?」


「御出迎え感謝致します。これといった変化も無く無事に到着致しました」


「うむ」


 ジェローム卿はそう言ってマニュエル卿と共に中へ入っていった。

 しばらくすると戻って来た。今度はサミュエル卿を出迎えるそうだ。

 ちなみにこういう時は騎士団長を先頭に騎士団が並び、その次に食糧運送部隊が来て、最後に歩兵団が来て歩兵団長が最後尾に来るらしい。これは何か意味があると言っていたが忘れてしまった。


 その後も各部隊長がジェローム卿に挨拶をして中に入っていった。シモン卿は先に俺に挨拶したのでジェローム卿に怒られていた。そこに国王がいようとも先に自分の上司、それもより近しい上司に挨拶をしなければならないらしい。難しいな、サヌスト王国の慣習は。


 最後にサミュエル卿とアシルが来た。エレ坊はオディリグに左右を守られながらやって来た。


「ただいま戻りました。脱落兵もおらず無事、全軍帰還致しました」


「うむ。子エレファントボアの調子はどうだ?」


「早いものでもうこのような大きさになりました」


 サミュエル卿はそう言ってエレ坊を指差す。


「そうかそうか。では、詳しくは中で聞かせてもらおう」


 ジェローム卿がサミュエル卿を連れて行ったのでアシルとオディリグ、従者達が残った。


「俺も話したいことがあるから早く行こう」


「奇遇だな。俺もあんたに話しておかなくてはならない事がある」


 俺とアシルは馬を預け、部屋へ戻る。部屋には俺、アシル、オディロン、ロドリグしかいない。


「では、俺から。ヴォクラー様が現れて俺を鍛えてくれた。魔石も頂いた」


「え?ジル殿もか?」


「アシルも?」


 俺たちは情報のすり合わせを行った。

 どうやらアシル達の所にもヴォクラー様が現れて鍛えてくれたらしい。


「そうだったのか…」


「それは俺も同感だ。まさかジル殿の所にも現れていたとは」


「じゃあ、俺からもう一つ。シルヴェストルのところの兵を撃退した」


「何人いたのだ?」


「百騎くらいだったかな。それをロジェと二人で撃退した」


「何?」


「魔法とは強力なものだな。ははは」


「一撃で皆殺しか…」


「違う違う!八割か九割くらいは一撃で倒したがそれ以外はちゃんと個別に相手をしてやった。それに捕虜も捕まえたぞ」


「何人?」


「一人」


「それ以外は?」


「殺した」


 アシルがため息をついた。


「それはそうと召喚魔法をやってみたいのだ。オディロン、頼む」


 ───快適な空間を頼むぞ───


「わかったわかった。じゃあ、やるぞ」


 俺は魔眼に魔法陣を浮かべ、オディロンを睨む。するとオディロンが消えた。


「おぉ。すごいな」


 ───我が言う物をこちらに送って欲しい。寝台(ベッド)、毛布、クッション、薪、飲料用水。以上だ。よろしく頼んだ───


 俺はオディロンが言った物を全て押し込んでやった。

 ふとアシルを見るとロドリグに召喚魔法を使っていた。


「あ、そういえば、ヴォクラー様にこれ貰ったんだ」


「ん?魔法陣?」


「ああ。ヌーヴェルに掛けたら強くなるらしい」


「やってみるか」


「ああ」


 俺達はヌーヴェルの所へ行く。

 魔眼に魔法陣を浮かべ、ヌーヴェルを睨む。

 するとヌーヴェルが光った。目も開けられないくらい光った。


 ───我は黒級一角獣(ブラックユニコーン)のヌーヴェル。我が主よ、感謝致します───


 その声で目を開けるとヌーヴェルの額から黄金の角が一本生えていた。


「おい、アシル!見ろよ!」


「ん?おー」


 ───もう一度申す。我は黒級一角獣(ブラックユニコーン)のヌーヴェル。我が主よ、感謝致します───


「おう。これからもよろしくな、ヌーヴェル」


 ヌーヴェルに挨拶されたので返事をしておく。


「ところでヌーヴェル、念話が使えるのか?」


 ───我にとっては児戯に等しい。魔法も多少は扱える───


「なるほど。その角はなんだ?」


 ───ジル様にとって剣のようなもの。一番の武器である───


「なるほど、わかった。そうだ、魔法が扱えるなら分かると思うがこの魔法陣は他の馬に使っても大丈夫だろうか?」


 ───馬は黒馬と白馬で流れる魔力が違うのだ。黒馬にこの魔法陣を使っても変化が無いことが多い。我の見立てでは、黒馬の成功率は一割未満、白馬の成功率は四割から五割である。すなわちこの魔法陣は白馬用と言っても過言ではない───


「茶色い馬とか一色じゃない馬は?」


 ───毛色が白に近ければ近い程、成功率は高くなる。それでも四割程だが。そして多色の馬は成功率は無に等しい───


「つまりなるべく白に近い一色の馬を集め、この魔法陣を使えば良いのだな?」


 ───その通りだ。我が族長として一角獣(ユニコーン)を率いよう。ジル様には一角獣(ユニコーン)騎士団の団長として活躍していただこう───


「そうだな。アシル!白馬を集めよう!」


 俺にいきなり話しかけられたアシルは驚いていた。ヌーヴェルを観察していたようである。

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