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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇

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第24話

 ヴォクラー様の作業が終わったようなので話しかけてみようかな。


 成功しましたか?


 ───私が失敗するわけなかろうがまだ途中だ。貴様の体に馴染ませなければ死ぬぞ───


 俺は再び黙った。

 体の中に意識を向けると中身が変わっていくような気がした。胸の中を溶かして混ぜられ、再び固められているような感じだ


 ───終わった。これで天力を魔力に変える必要が無くなったから威力も上がるだろう。質問があるのだったな。言ってみよ、答えてやる───


 はい!俺に内臓はあるのですか?


 ───魔石を内臓とするのならばある。魔石を内臓としないのならば無い───


 無いんですか?


 ───左様。質問は終わりだ。貴様の行動を見ていたが創造魔法と召喚魔法の事は聞いていないな?───


 初耳です。


 ───創造魔法とは魔力を物質に変える事で思い通りの物が作れる。例えば魔石もそうだ。そういえば貴様の魔石は普通の人間の八倍程の大きさだ。かつて魔王と呼ばれた男より一回り小さいが───


 魔王の事を知っているんですか?


 ───知っているも何もあれは私の知り合いだ。アンドレアスはヴォクラー神の使徒である。最初の使徒であった故、まだ転移が苦手だった私はサヌスト領の領主の息子として転生させることにしたのだ。まあ、このことはおいておこう───


 はい。先程の続きをお願いします。


 ───うむ。召喚魔法とは時空間魔法の応用だ。従魔を異空間に住まわせ、必要な時は喚ぶ事ができる。その異空間には荷物を持って行ける上、温度や湿度なども術者の思いのままだ。また異空間はいくつでも作れるが作りすぎると魔力が無くなって異空間が壊れ、中にいた者は死ぬから気をつけろ───


 オディロンも入れますか?


 ───可能だ。ちなみにアシルやオディロン、ロドリグにも魔石を埋めておくからこの世界の生物となる。あと種族は魔天使族となる。では、魔法を使っていくから覚えよ───


 はい!


 ヴォクラー様がそう言うと魔法をバンバン使いだした。多分、俺も使えるだろう。何となく分かる。


 ───以上だ。これで私が教えられる全ての魔法を教えた。魔石を持つ生き物に撃っても九割は暴発しないだろう。それとオディロンが言っていた無属性魔法、魔術というのは火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法の五大属性魔法と時空間魔法以外の魔法の事を言っている。あくまで獣天使族がそう言っているだけだ───


 つまり創造魔法は無属性魔法ということですか?


 ───分からん。が、知識が無くとも魔法が使えれば良いでは無いか───


 それもそうですね。


 ───それと一つ注意をしておこう。いくら時空間魔法が上手いと言っても時を止めるな。魔力が無くなる。今回は特別だ。ちなみに今回の魔法に使っている魔力はヒルデルスカーンができて以来、使われてきた魔力を合計し、それを五倍したくらいの魔力を使っている───


 え?そんなにですか?


 ───燃費が悪いのだ。まあ、良い。気にするな。最後に三つ。一つ目はこれからは食事量が減る。その代わりに睡眠をとれ。二つ目はこれをさずける───


 これは?


 ───身につけていれば少しずつ魔力を回収し、一年に一度、私と会話ができる。指輪型にしておこう。何色が好きだ?───


 指輪なら鎧と同じ色でお願いします。


 ───わかった。では、最後の一つ。貴様の鎧や武器に魔石を埋めた。一年使えば生物となり、二年使えば自我が生まれ、三年使えば意思疎通が可能となる。魔石を埋めたのは剣、槍、弓、短剣二本、鎧、兜、マントだ。他にも魔石を埋めたければ自分でしろ───


 はい!ありがとうございます!


 ───あ、最後に一番大事な事と贈り物を。右眼は天眼、左眼は魔眼となった。天眼はこれまで通り魔力の流れを感じやすくなる。魔眼は魔法陣の構築ができる。魔眼に魔法陣を構築し、対象を睨めば魔法が発動する。体から少し出るから少しやってみろ───


 はい!


 俺は魔眼に創造魔法の魔法陣を浮かべ、近くの木を睨む。すると木が丸太に変わった。


 ───できておるが独特なことをするのだな。普通は全く別の物に作り替えたり、無から有を生み出したりするのだが───


 そうでしたか。で、贈り物というのは?


 ───魔法陣を授ける。それを愛馬に発動してみよ───


 ありがとうございます!


 ───では、もう頂いた魔力がなくなりそうだから帰る。ジルよ、さらばだ───


 はい!ありがとうございました!


 俺は空に向かって祈りを捧げる。メッセージが届くように。


「あの、ご主人様?」


「ん?あー、すまん。ヴォクラー神に魔法を教えてもらっていたのだ」


「ヴォ、ヴォクラー神?」


「まー、細かいことは気にするな。さあ帰るぞ」


「はい…」


 俺とロジェは帰路に着いた。

 天眼を使って辺りの気配を探っていると約二百の気配を感じた。騎兵なら百騎、歩兵なら二百人か。


「おい、ロジェ。ジェローム卿の作戦聞いているか?」


 俺は人差し指を口に当て、声を潜めてロジェに尋ねる。


「作戦ですか?まだ具体的な事は聞いておりません」


「そうか。ついて来い」


 俺は気配のする方へ駆け出す。

 そして兵が見える所まで来た。全員騎兵であった。


「あいつらだ。どこの部隊かわかるか?」


「あれは…マントの色からして東の将軍の部下でしょう」


「マント?」


「ええ。大将軍の配下は赤色、東の将軍の配下は青色、西の将軍の配下は黄色、南の将軍の配下は緑色、北の将軍の配下は薄水色のマントを身につけるのです。これは代々引き継いできた伝統みたいなものなので変わることはまずないかと」


「そうか。東だったらシルヴェストルで確か敵になりそうなんだよな」


「そう伝え聞いております」


「なら撃退するぞ。ロジェの矢は何本ある?」


「三十六本です」


「俺は七十二本だ。俺の矢も全て渡しておく。それとヌーヴェルを頼んだ。魔法で倒すから逃げそうな奴を撃ち抜いてくれ」


「承知しました。ご武運を」


 俺はヌーヴェルから降りて矢を渡し、駆け出す。


「よう。東の兵が何をしている?」


 俺は敵兵の前に出てそう言う。舌戦で時を稼ぎ、魔眼に魔法陣を構築しておく。


「誰だ、金ピカ野郎」


「冥土の土産に教えてやろう。俺はジル!今代の使徒である!」


「黙れ!」


 代表して応えていた兵が叫んだ。


「奴を斬れ!伏兵が潜んでいるやもしれぬ!気をつけろよ」


 敵兵が雄叫びをあげてこちらに向かって来る。百対二の戦いが今始まった。


 俺は土魔法で落とし穴を作り、そこへ誘導して何騎かを落とす。迂回してきた兵には雷で感電死してもらう。

 そして近づかれたので槍を喚び出し、投げる。三人を貫き、四人目に刺さったところで止まった。強化魔法を腕に全力で掛けたのでこんな感じになった。


「おい!何をモタモタしている!敵は一人だろう!早く斬り捨てろ!」


「あんな化け物には勝てません!」


 分かってるじゃないの。俺はニヤリと笑い近くにいた兵を馬ごと持ち上げ隊長とやらに投げ付けてやった。


「化け物と呼ばれたのは初めてだが、死神となら呼ばれたことがあるな。ははは」


 俺がそう言うと叫んで逃げだした。今度は雄叫びではなく悲鳴だろう。


「逃がすかよ」


 先頭を走る敵兵の耳元でそう囁く。時空間魔法で転移したのだ。

 そのまま馬を奪い、ロジェに合図を出す。


「弓箭隊!撃てぇ!」


 敵兵が盾を上に掲げた瞬間、準備していた創造魔法で奴らの鎧の内側に短剣を創り、それが心臓に刺さるように具現化する。

 ここにいる敵兵は一人残らず死んだ。いや、落とし穴に落ちた奴が逃げたか。


「ヌーヴェル!」


 俺はヌーヴェルを呼んで飛び乗り、逃亡兵を追いかける。幸い、天眼で場所はわかる。

 いた。逃げきれたと思ったのか先程の泉で休憩している。

 俺は泉を汚したくないので槍を喚び戻し、石突で思いっきり背中を突く。


「やっちまった…」


 俺が突いた勢いで泉に落ちてしまった。

 俺は水魔法で水を操り、落ちた奴を回収する。


「おい、おーい」


 気を失っていた。ここに放置して変な動物が来て荒らされると嫌なので捕虜として連れて帰ろう。

 俺はヌーヴェルに乗り、捕虜を後ろに乗せてロジェの所へ向かう。

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