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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇
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第17話

 夜ご飯を食べた後、サミュエル卿はエレボと一緒の場所で寝たらしい。


 アシルにエレボがとても可愛いことを伝えると羨ましがられた。一晩中、エレボのことを話しているとアシルにあることを教えてもらった。それは猪の赤ちゃんはウリ坊と呼ばれるというのだ。そのことをサミュエル卿に伝えなければ、と思い、狩りに出かけた。


 朝になり、朝ご飯をなるべく早く食べ終わり、エレボとサミュエル卿の所へ向かった。


「サミュエル卿、エレボ、おはよう!」


「お、これはジル卿にアシル殿」


「猪の赤ちゃんはウリ坊と言うらしいぞ」


「知っている。まさかエレボの事をウリ坊と呼ぶのか?」


「いや、そんな訳では無いが。サミュエル卿は知っていたのか?」


「もちろん。エレボがウリ坊なんてことは知っている」


 エレボがウリ坊?


「「エレ坊!」」


 俺とサミュエル卿の声が揃った。


「良いな。さすがジル卿」


「いやいや、サミュエル卿こそ」


 俺達は意気投合した心の友だ。いや、心の兄弟か?いやでもサミュエル卿には兄のマニュエル卿がいるんだった。


「ジル卿、サミュエル。楽しんでいるところ悪いがサミュエルには調査に行ってもらう」


「は!」


「そのエレボとやらはどうする?」


「眠ってしまったようなのでおいて行きます。ところでジル卿はどう致すのですか?」


「ああ、ジル卿にはここに残ってもらい、エレファントボア級の魔物が出た時に対処してもらう」


 俺は待機ってことか?一応確認をしよう。


「俺はここで待機か?」


「ああ。兵士達の手に負えない時はここに戻り、ジル卿や私を頼れ。すぐに出向く」


 という事で俺は何かあるまで待機らしい。そういえば今度教えると言っていた魔術とかをオディロンに聞いてみよう。


「ジル卿、エレ坊が起きたらその時は世話を頼む」


「頼まれなくても世話ぐらいしてやるぞ」


「感謝する」


 サミュエル卿はそう言い残し去って行った。


「サミュエル隊、出陣!」


「マニュエル隊、出陣!」


 次々と部隊が出陣して行く。なんかかっこよかった。

 俺は彼らを見送り、エレ坊の近くへ座る。

 エレ坊を起こさないようにオディロンには念話で教えてもらおう。


 オディロン、魔術とか色々教えてくれ。


 ───では、まずは魔素について教えよう。魔素とはヒルデルスカーンの空気の成分の一つだ。そして次は魔石だ。魔石とは呼吸によって取り入れた魔素を魔力に変換する器官だ。魔術を使えば使うほど変換効率が良くなる。つまり、同じ量の魔素でも多くの魔力が手に入る───


 なんとなくしか分からないから魔力についても詳しく教えてくれ。


 ───承知した。魔力とは魔術を使うための材料だと思えば良い。例えば炎を作ろうと思えば魔力を消費して炎を作れる。炎を大きくしたければ使う魔力を多くすれば良い。また魔力は食事、睡眠、呼吸によって回復する───


 なるほど。では、天力とはなんだ?前に言ってたような気がするが。


 ───天力とは我々天使族の魔力のようなもの。魔石を持つ生物は魔力、魔石を持たない生物は独自の力を持つ。そして我々天使族は睡眠が出来ない為、呼吸や食事に頼った回復方法しかない。また我々は魔術により、ヒルデルスカーンの生物に似せている。ゆえに僅かだが常に天力を消費し続けている───


 つまり、俺らが本来の姿になればもう少し食事の量が減るのだな?


 ───この話だけを聞けばそう思うかもしれないがこの世界の生物に似せておかなければ大変なことになる───


 例えば?


 ───我々が怪我をすれば我々天使族の血により、世界に傷が付く───


 それは神の血では無いのか?


 ───我々天使族の祖先を辿っていけば神だ。つまり、天使族とは堕ちた神のことだ。ちなみにヴォクラー様の配下には悪魔族もいるが彼らは最初から悪魔族だ。魔石もある───


 俺ら天使族は神の末裔ということか。


 ───そういう事だ。次の話をしよう。次は魔脈についてだ。魔脈は魔石で作った魔力を全身に運ぶ役割を担っている。そして筋肉が力を加えようとすると魔力によってその働きが強化される。つまり、魔脈が集中している部位は他よりも力が強くなる。また牙や爪などにも魔脈が通っており、その場合はより硬くより鋭くなる───


 つまり、エレファントボアの爪やしっぽは危ないということか?


 ───うむ。理解しているではないか。次は何が知りたい?───


 魔術を教えてくれ。


 ───うむ。魔術だけで良いのか?───


 ほかは何があるんだ?


 ───魔法だ───


 じゃあ、魔法も頼む。


 ───承知した。魔法はいくつか種類がある。火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、雷属性魔法、時空間属性魔法、無属性魔法だ。ちなみに無属性魔法の事を魔術と呼ぶ───


 じゃあ、この念話も無属性魔法ということか?


 ───そういう事だ。他にも細かく分ければまだまだあるがまあジル様にはこのくらいで良いだろう。何か質問は?───


 それぞれを詳しく教えてくれ。


 ───承知した。火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、雷属性魔法はそれぞれ火、水、風、土、雷を操る魔法だ。時空間属性魔法は物体の時を停めたり、異空間と呼ばれる場所に荷物を収納したりする魔法だ。無属性魔法は魔術だ。難易度は時空間属性魔法が一番高い。我も苦手だ───


 結界とかはどれなんだ?


 ───魔石を使った魔術と時空間属性魔法の併せ技だ───


 併せ技?


 ───例えば炎を作り、それを竜巻に巻き込めば炎の竜巻だ。これは火属性魔法と風属性魔法の併せ技だ。他にもアイデア次第でなんでも出来る───


 オディロンが撃てる最大の魔法は?


 ───空気中の水分を水属性魔法で氷にして敵を固め、そこに土属性魔法で作った尖った石を火属性魔法で最大まで熱し、雷属性魔法で雷を纏わせ、風属性魔法でそれを飛ばす。消費天力は凄まじいがこれを受けて生き残ったのは戦闘神のみ。それ以外は炎に焼かれて死ぬ───


 ヴォクラー様は?


 ───まともに受ければ耐えられまい。だがこの技は準備に時間がかかるゆえ、そう易々と使えない───


 というかなぜ戦闘神と闘ったのだ?


 ───王神に見せ、楽しんで貰えるように数万年に一度開かれる闘技大会にヴォクラー様の配下の天使族代表として出場した。もちろん魔導神が作った絶対不死空間でだ。なんと我は優勝してしまってな。戦闘神と闘ったのだ───


 他の神は出場しなかったのか?


 ───配下のみが出場できるのだ。そして優勝者が戦闘神と闘うのだ。おっと我の話は置いておこう。次は何を知りたい?───


 魔術についても詳しく教えてくれ。


 ───ジル様が理解出来そうな分だけ教えよう。魔術には大きく分けると三種類ある。思念伝達系、魔法付与系、支援系だ。思念伝達系はこの念話のように相手に言葉を伝えたり、逆に相手の考えを読み取ったりする。魔法付与系は武具や道具に魔法の効果を付与する。例えば雷属性魔法と併せると雷を纏った剣とかが作れる。そして最後に支援系。支援系は風属性魔法で体を軽くしたり、足を速くしたり、単に魔力を送ったり、まあ言ってみれば自分じゃない他の誰かを手伝ったりする時によく使われる───


 念話に火属性魔法を併せるとどうなるんだ?


 ───魔力の無駄使いとなる───


 なるほど。


 ───最後に一つ。魔法はイメージを具現化させる物だ。イメージを大切に───


 わかった。ところで火属性魔法とかって長くないか?火魔法じゃだめなのか?


 ───本来は火属性魔法だがほとんどの者は火魔法と呼ぶ。我はジル様が魔法初心者であるゆえ、火属性魔法と言っただけだ───


 そうだったのか。俺は剣の次は魔法を習得しようかな。オディロンの下で学ばせてくれ。


 ───我で良ければ教えよう───

 

 頼んだぞ。


 俺はオディロンに魔法を教えてもらうことを約束した。

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