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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇

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第169話

 俺が不安を伝えると、妖魔導王様は部屋の奥に行って木箱のような物を持ってきた。


「それは何だ?」


「力を抑える魔導具じゃ」


「くれるのか?」


「何かやろう、と言ったじゃろ」


 言われた覚えはないが、貰えるなら貰っておこう。


「妾が直々に付けてやろうぞ。顔を出せ」


「ああ」


「多少痛いかもしれんが、暴れるでないぞ。この世に二つしかない貴重なものなんじゃから」


「はあ」


「それとな、妾が良いと言うまで、回復してはならんぞ」


「分かった」


 俺が顔を差し出しと、妖魔導王様は木箱を開けて中身を取りだした。

 洋梨状の金属だ。妖魔導王様は膨らんでいる方を俺の額に突き刺し、金属の部分を押し込んでしまった。かなりの量の血が出てそれなりに痛いが、耐えられぬほどでもない。


「まさかこれで終わりではなかろうな?」


「黙って待っておれ。妾も集中しとるんじゃ」


 妖魔導王様はそう言って手元のネジを回し始めた。すると、俺の頭の中で金属が開き始めた。先程とは比べられぬ程の激痛だ。血も先程より大量に出ている上に、肉が引き裂かれ、肉片が落ちてきた。


「ジル、歯を食いしばっておれ。一気に引き抜くぞ」


「少し待っ……」


 俺の制止を聞かずに妖魔導王様は金属を開いたまま引き抜いてしまった。歯を食いしばる時間など無かった。


「早う回復せい」


「………」


 頭の中になにか取り残されているような気がするが、頭の穴を回復させた。やはり違和感が残った。

 額を触ってみると、縦向きに瞼がついたのような傷になってしまっている。


「説明してやろうぞ。それは制御眼と言ってな、妾のお師匠様の右眼に、妾の父上の魔石を埋め込んだ魔導具じゃ」


「材料などどうでも良い。この傷は治らぬのか?」


「それが完成形じゃ」


「……不服だ」


「痛かったからじゃろう。拷問具(苦悩の梨)の改造版で埋め込んだのじゃ。説明しなかった妾も悪いじゃろうが、これくらいで音を上げるでないぞ」


「…次にこのような事があれば、必ず説明せよ。良いな?」


「おぉ……亭主みたいな事を言い始めたな。それでこそ!それでこそ妾の未来の旦那様じゃ。気に入った!」


「…そうか」


 妖魔導王様の旦那様となるなど一言も言っておらぬが、機嫌を損ねるのは不味かろう。封印を解いてもらったり、体を改造してもらったり、解呪してもらったりしたのだ。元に戻されても困る。それに恩を仇で返すような真似はしたくない。


「話が逸れてしもうたが、使い方を教えてやろうぞ。制御眼を開けば、力を出し切れる。閉じていれば、改造前の力しか出せん」


「それで充分だ。ちなみに今は開いているのか?」


「閉じておる。それくらい分かるようになれ」


「努力しよう」


 俺は制御眼を触ってみた。普通の目玉を触っているようだ。

 開こうと思えば開けるが、開こうと思わねば開かぬようになっているようだ。なので無意識のうちに開いてしまい、大惨事を引き起こすような事は無いだろう。

 創造魔法で手鏡を創り、様子を見てみた。目を閉じているとただの皺に見えなくもない。開いてみると、特殊な目が見えた。白目の部分が黒く、黒目の部分に赤色の魔石が埋め込まれている。

 制御眼を開くと視界が増える。少し視界が広くなるだけで、それ以外に利点はないようだ。いや、充分利点か。

 感覚を掴んだので、普通の目として扱えるだろう。まあ普段は開いてはならぬので、普通の目として扱う必要は無いが。


「慣れたようじゃの」


「ああ。自分の体のように扱えそうだ」


「それはそうじゃ。もうジルの体の一部なんじゃから」


「そういうものか」


 目が増えるという感覚は初めてだが、もう増えることは無いので、覚えておく必要はあるまい。


「ジル、その眼を開いて、妾に挑め。どれくらい強くなったか見てやろうぞ」


「俺は良いが、当たれば死ぬぞ」


「安心せい。いくら星を砕くと言っても、当たらねば意味が無い。妾に攻撃を当てられる者など、今の時代、一人もおらんわ」


「そうか」


 まあ確かに妖魔導王様に攻撃が当たるような気はせぬ。当たるとすれば、手を抜かれた時かまぐれだけだろう。


理由(わけ)を聞かんのか?」


「…なぜだ?」


「妾がグルと組んで、全て殺してやったからじゃ。神でもなければ、妾には勝てんぞ」


「そうか。だが、俺の魂には神の魂も含まれているのではないか?」


「手に入れたばかりの力を簡単に操れると思うでない……………ヤバそうじゃったら、寸止めしてくれ。自信が無くなってしもうた」


 確かに貰ったばかりの力など使えぬ事の方が多い。だが、俺のこの力は貰ったのではなく、解放されたのだ。使えぬかもしれぬし、使えるかもしれぬ。


「まあいい。かかって来い。妾には勝てんじゃろうて」


「では行くぞ」


「うむ。部屋の被害は気にするな。壊しちゃダメなものは壊れんようにできておる。壊れたものは替えがきくものだけじゃ。さあ来い」


 俺は制御眼を開いた。改めて意識してみると、とんでもない程の力と魔力を有しているな。

 俺はとりあえず棺を妖魔導王様に投げつけた。色々と千切れる音がしたが、壊れるということは壊しても良いということだ。


「?!」


 妖魔導王様は驚きながらも右手で受け流した。棺は形を保ったまま転がった。遠距離攻撃は受け流されるか。


 次は床を思いっきり蹴り、妖魔導王様まで距離を詰めた。その間に鎧を纏い、剣を構えた。以前ヨルクに教えてもらった、抜剣術だ。

 すれ違いざまに首を斬ろうとしたが、死んでしまうのではないかと思い、少しズレてしまった。そのせいで、妖魔導王様の左肩から右肩にかけて両断された。これなら首を斬った方が良かったか。


「安心せい。これくらいでは死なん」


「それは良かった」


 妖魔導王様の体が繋がった。確か妖魔導族という種族と言っていたので、その能力なのかもしれぬ。


 次に俺は、破裂魔法の大砲を妖魔導王様を囲むように千門用意した。全てに追尾機能を備えてある。つまり、撃ち落とさぬ限り、延々と逃げなくてはならぬ。


「覚悟は良いか」


「早うせんと壊すぞ」


 妖魔導王様はそう言って大砲に向けて魔法を撃ち始めた。

 俺はすぐに破裂魔法の大砲を放った。俺の魔力が上がったことで連射速度も上がったようだ。以前のガトリング砲よりも充填から発射までの時間が短い。

 妖魔導王様はどういう魔法を使ったか知らぬが、破裂魔法の魔力弾を全て撃ち落としながら、大砲も破壊し始めた。なので俺も大砲を創り続けた。


 大砲の創造、魔力弾の発射、魔力弾の撃墜、大砲の破壊。これらの攻防に加え、別の魔法での攻防もある。

 妖魔導王様は拳程の大きさの太陽を俺に向けて撃ってきた。俺はアキが使っていた黒雷でそれを迎撃した。セリムに聞いた話によると、太陽の表面より、雷の方が熱いらしい。なので、正面から当たればお互いに魔力で強化した太陽と雷では、俺の雷が勝つ。


 妖魔導王様と戦い始めてから、二日が経とうとしていた。妖魔導王様は魔力の節約を始めたが、俺はまだまだ無駄遣いできるほど残っている。


「まだ降参せぬか」


「妾はまだ一撃も喰ろうておらんぞ。ジルこそ負けを認めい。太陽を食った時は驚いたが、それだけじゃ」


 訂正しておくが、太陽を食べた訳では無い。今のように降参を促そうと口を開けたら、偶然、太陽が入っただけだ。溶けてしまうかと思ったが、すぐに再生したので良かった。その際、回復に邪魔だったので仕方なく飲み込んだのだ。腹の中が燃えたが、すぐに鎮火した。


「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ」


 妖魔導王様がいきなり奇声を上げ始めた。

 俺は特大の魔力弾を妖魔導王様に撃ち、魔力が浸透してから近づいた。


「降参か?」


 俺はそう言いながら妖魔導王様の首筋に剣を当てた。


「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ」


 妖魔導王様が壊れてしまった。まずいな。


「ジルよ、油断するでない」


 俺の耳元で妖魔導王様の声がした。耳元と言うよりは、耳の中という感覚だ。


「妾は今、ジルの頭の中に来ておる。いつでも眼を潰せる。降参するか?」


「降参などせぬ。眼くらい潰せば良かろう。その代わり、どの眼が潰れたかでララちゃんの居場所は分かるぞ。そこに魔法を撃ち込めば、俺の勝ちだ」


「そうすれば良かろうて」


 妖魔導王様がそう言うと、天眼と魔眼が破裂した。どれかひとつと思っていたが、ふたつ潰されたか。だが二つなら良い。

 俺は剣を手放し、両目に手を当て、黒雷を撃ち込んだ。黒雷は俺の頭を吹き飛ばした。かなり痛いが治るなら良い。

 すぐに再生するかと思ったが、中々再生が始まらぬな。魔力を込めてみるか。

 魔力を込めてみたが、回復せぬ。どうしたものか。このままでは何も見えず、負けてしまう。


「自滅かえ。妾はここじゃ」


 俺が二日前に投げつけた棺の方から、妖魔導王様の声がした。


「どこにいるか知らぬが、降参だ。頭が治らぬ」


「そうじゃろ。妾の魔法じゃ。すぐに解除してやろう」


 妖魔導王様がそう言うと、頭が治り、目が見えるようになった。この再生能力も完全では無いのか。

 妖魔導王様は棺に腰掛けている。


「ジルよ。妾はジルに棺を投げられてからずっとあの中に入っていたのじゃ」


「では俺が戦っていたのは誰だ?」


「魔法人形じゃ。妾の姿を模した四号とジルの頭に侵入した九号。ま、反省会は後で良かろうて。まずは休憩じゃ。ジルは休んでおれ。茶を持ってこよう」


「ああ。すまぬな」


「良い良い。未来の旦那様の為じゃ。夫婦らしかろうぞ」


 妖魔導王様はそう言って部屋を出ていった。俺はレリアに茶を持って来いなどと言ったことは無いが、まあ夫婦像など人それぞれだ。

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