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神に仕える黄金天使  作者: こん
第1章 玉座強奪・諸邦巡遊篇

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第115話

 俺が部屋に戻ると、既にお昼ご飯の準備が出来ていた。

 ファビオ達も来ており、扉を開けるとカイがアキに駆け寄ってきた。朝起きたらいなかったので心配だったらしい。

 ちなみにエヴラールは、テクジュペリに血を採取するよう伝えに行った。お昼ご飯は適当に食べるらしい。いつもどこで食べているのであろうか。


「ジル、何かあったの?」


 レリアが近づいてきて、そう言った。何かあったのだろうか。


「いや、何も無いぞ」


「ほんとに?何か嬉しそうな顔してるよ」


 顔を見ただけで、気持ちが分かるものか。いや、アキも似たようなことを言っていたような気がする。もしかすると俺は、意外と感情が表に出ているのかもしれぬな。まあレリアに隠す必要も無いので良いが。


「レリアとの昼ご飯が楽しみなだけだ。何と言うか、成り行きで一緒に食べるのとでは違う。約束をしていて一緒に食べる方が俺は良い」


「そう?じゃあ早く食べよ!」


 レリアはそう言うと、俺の手を引いて食卓へ向かって走った。俺の部屋なので食卓の場所は分かるのだが、まあ別に嫌ではない。むしろ移動は全てこうであっても良いかもしれぬ。

 俺がレリアの案内で席に着くと、レリアも隣に座った。既にいつでも食べれる状態になっている。


「では食べよう。いただきます」


「「「いただきます」」」


 俺はまず肉系のスープを飲んだ。いつもと違う感じがする。何と言うか、怪我をした時にレリアに作ってもらったお粥と同じ雰囲気がする。もちろん、味は似ておらぬ。もしかすると、レリアが作ってくれたのかもしれぬ。


「もしかしてこのスープはレリアが作ってくれたのか?」


「え、分かる?」


「ああ。何と言うか、大きな愛を感じる」


「やっぱり?あたしね、アキにお粥の作り方を教えてもらった時に気付いたんだ。愛が一番の調味料だって。たぶんこれは全部の料理に共通してると思うの」


「なるほど。だが、キトリーも気付いているのではないか?」


 いつも料理を作ってくれているのは、キトリーだ。怪我をした時などはテクが作ったりするが、基本的にはキトリーが作っている。そしてキトリーはキアラに選ばれた料理人である。


「キトリーはほら、ヨルクの事が好きだから」


「そうなのか?」


「え、知らなかったの?」


「ああ。と言うよりもどこで知ったのだ?」


「キアラが言ってたよ。あとはね、ジュスティーヌとクラウディウスは結婚してるんだって」


「何?!あの二人が…?」


 クラウディウスが恋愛などするのか?クラウディウスはどちらかと言うと、色恋沙汰などには興味が無く、戦のことばかりを考えているのかと思っていたが…まあ過去に何かあったのだろう。


「でも考えてみたら、ヨドークがジュスティーヌに懐いてるって言ってたのもクラウディウスだから、おかしくないよね」


「言われてみればそうかもしれぬ。それよりもヨルクとキトリーの方はどうなんだ?」


「あの二人は異空間(いえ)の中でイチャイチャしてるんだって」


「想像出来ぬな。あの二人が…」


「あとねあとね、ここだけの話なんだけど…」


 レリアが顔を近づけるようにジェスチャーしたので、顔を近づけた。内緒話であろうか。


「キアラとオディ…」


「姫、それは内緒にするからって言ったから話したのよ。姫を信じて話したのよ。妾を裏切らないで欲しいわ」


 キアラが出てきてレリアの口を塞いでしまった。キアラの事を話そうとしていたようだが、何か聞かれたくないことがあるのだろうか。


「ジルにしか言わないから。お願い!ね?」


「ダメよ。一番ジル様に知って欲しくないもの」


「一生のお願いだから!ね?ダメ?」


「暴れるわよ」


 キアラが暴れてまで秘密にしたいのか。逆に気になるな。まあそれだけの秘密なら秘密のままにしておいてやっても良いか。


「ジル、キアラを止めれる?」


 俺がキアラを止めれるとするなら、レリアは話すつもりなのだろうか。そこまでしてキアラの秘密を暴きたいとは思わぬ。俺がキアラに負けることにすれば良いか。いや、さすがにそれは格好悪いか。


「キアラの本気を知らぬが、おそらく誰かは死ぬ。キアラを殺さずに抑えようとしたらこの城は吹っ飛ぶだろう。そうなればレリアを守るので精一杯だ」


「じゃあダメだね。ごめんね、からかって」


「言わなければ良いのよ。妾は戻るから二人で楽しみなさい。程々にね」


「じゃあね」


 キアラが戻って行った。

 そのタイミングでアキが近づいて来た。


「キアラとオディロンは元夫婦だ!」


「あっ」


 またキアラが出てきた。と言うよりも、あの二人が元夫婦であったか。


「そこで座ってなさい」


 キアラは言霊でアキを動けなくした上で、アキの分のご飯を全て食べてしまった。そして、バケツを持ってくると、アキを吐かせていた。何と言うか、惨たらしい吐かせ方だ。


「キアラ、待て。食事中にそんなものを見せるな」


「罰よ。妾の秘密を喋った罰に、聞いた罰」


 キアラはそれだけ言うと戻って行った。アキは倒れ、サラに介抱されている。


「レリア、気分が悪くなる前に食べてしまうぞ」


 俺は急いで残っていたご飯を食べた。


「ごめん、あたしのも食べて」


 レリアは既に気分が悪そうであった。まああんなものを見た後は何も食べたくないだろう。


「後で何か軽い物でも食べておいた方がよいぞ」


「うん、そうするね」


「ではもらおう」


「じゃあ、あたしちょっと休んでくる」


「ああ。キアラにはちゃんと言っておく」


 俺の最後の言葉が聞こえたかどうか分からぬが、レリアはベッドに倒れ込んでいた。

 食後、アキは回復し、エヴラールが来る前に少しだけキアラのことを聞いた。


 何と、あの二人は二千年前までは本当に夫婦だったそうだが、喧嘩が原因で別れたそうだ。それぞれを慕う、悪魔五千と天使七百が戦を始めてしまっまた事が、最終的な原因だそうだ。

 まあ五百年ほど前に一応の仲直りはしたようだが、ヴォクラー様から必要以上の接触を禁じられていたそうだ。そして、今は実験的に同じ主(おれ)に仕えているそうだ。


 何と言うか、全体的に大規模な話だ。

 ちなみに天使は悪魔に対して有利だそうで、神に仕えているのは悪魔の方が多いらしい。いや、総数で言うと、天使は悪魔の百分の一にも満たぬという。

 それでも、戦になったのには理由がある。この世には大きく分けて三つの属性があるからだそうだ。

 天、魔、歪。天は魔に対して、魔は歪に対して、歪は天に対して有利だそうだ。ちなみに歪とは、神を狙う存在のようで、天属性の神は歪属性と出会うと逃げることしか出来ぬそうだ。

 そして悪魔は歪属性から神を守るために、神に仕えている。だが、そんな悪魔達でも、組織的な行動をせねば、歪属性には勝てぬそうだ。コップ一杯の水で火事を消そうとするようなものだそうだ。

 まあ歪属性が現れるのは、数兆年に一度か二度程度のことなので、俺が気にすることではない。

 ちなみにこの情報はセリムによるものなので、おそらく正確だ。


 つまり、基本的に天使と悪魔が戦えば天使が勝つ。


「主殿、なぜ難しそうな顔をしているのだ?」


「いや、この世の真理について考えていた。この世には俺よりも強い存在がごまんといる」


「そんなこと考えても仕方ないだろ。それよりもワタシの心配しろ」


「それもそうだ。大丈夫か?」


「主殿も体験してみるか?」


「いや、遠慮しておく」


 あんなものを食らって、いや、吐いて、よく回復したものだ。もう少し時間をかけて回復すれば良いのだが、アキはせっかちなのかもしれぬ。


「ジル様、お待たせ致しました」


 エヴラールが来たようだ。


「こちら、テクジュペリ殿より預かって参りました」


「そうか」


 俺はエヴラールから木箱を受け取った。何であろうか。

 木箱を開けると、血が入った瓶が入っていた。


「アクレシスの血か」


 俺は瓶の蓋を開けて、血を飲み干した。やはり血はまずいな。


「主殿…正気か?」


「正気だ。さあ殿下の所へ行こう」


 俺が歩き出すと、二人が後ろで話し始めた。


「主殿はついに頭がおかしくなったか?」


「そんなこと俺に聞くな。ジル様のことだから何か考えがあるはずだ」


「エヴラール、たまには主殿を疑え」


「そんなことするもんか」


「ワタシもしない」


「さっきしてただろ」


 …ちなみにアキは結構エヴラールを気に入っている。どうやら、ずっと俺を支えているので、強さに関係なく気に入ったそうだ。なので、二人はそこそこ仲良しに見える。


「聞こえているぞ。悪口を言うなら聞こえぬようにしろ」


「!申し訳ありません」


 エヴラールの半分程で良いが、アキも真面目であればヤマトワでももっと出世していだろうに。

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