同年代最強の魔術師
特殊な異世界転生をした彼は、目的のために日々強くなる努力をしている。
そんなリーシェは【負けたら何でも言うことを聞く】という条件下で、とある魔術師と戦う羽目になってしまった。
対アリシャ戦のために準備をするのだったが、途中で友人にとある術式を教えてもらうのであった……。
謎の美少女との模擬戦を受けた翌日。俺は魔術学校にある演習場にいた。
「なるほど。お前は自分の魔術が完成してない癖に模擬戦を受け入れたと。言動には気を付けろって昨日注意したよなぁ!?」
そういって半ギレ状態な男はカノン。昨日友人になったばかりの男だ。身長170センチぐらいの平均的な身長に金髪、雑に切ったであろう短髪に悪い目つきが特徴の男だ。
昨日は暗くて良く見えなかったが、こう見ると割と筋肉があって俺と同じ魔術剣士タイプの魔術使いなのか。
「おい、お前今別のこと考えてただろ。」
「いや。お前が第一印象と違って思ったより筋肉がついてて驚いただけだ。」
「気持ち悪いからやめろ。それでお前は何でその分の悪い模擬戦を受けたんだっけ?」
「女性に何でもするって言われたら断れない。そえが男の性ってやつじゃないか!」
「ほんとこの馬鹿は……って、お前同性愛者だったのか。」
「まあ同性愛者ともいえるし、そうでないともいえる。」
「は?」
「ああ言ってなかったな。俺中身男なんだよ。」
「まあ確かに男っぽいなとは思ったが。外見はいいし前世でも男っぽい女もいたしでそういう感じの女性だったのか。って納得してた。」
「反省会じゃあるまいし。」
「まあ中身は男でも外見は女なわけだし、同性愛者ってことで問題は……」
っと話していると、カノンは急に黙り込んだ。
「いや待てよ……お前まさか中身が男なのに胸が成長しないとか将来に期待大とか言ってたのか?!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「おい!壁に頭を撃つのはやめろ!マジで危ないから!」
「違うんだ。本当に違うんだ。」
「まあ女体化ってよくわからんが、理想の美少女育成計画みたいなことができて楽しいかもだしな?人の趣味にはどうこういうつもりはないぞ。」
「マジで違うんだ!お前肉体に精神が引っ張られるって体験ないか?」
「肉体に精神が引っ張られる?どういうことだ?」
「こう、赤子の時は思考能力が低くなったり、子供の時は世界のすべてが新しく感じられるとか。」
「まあ俺達もまだギリギリ子供だけどな(この世界の成人年齢は15歳)」
「まあそういうのがあるんだけど。俺の場合は女の体って部分に精神が引っ張られるんだ。」
「なるほど。つまり心は男ながら雌堕ち体験を……いや雌堕ちは男が体験するものか。」
「14年もこっちの世界で生きてきてよくそんな単語がスラスラと出るな。」
「割と覚えてるものなんだな。元日本人と話しているからさらっと出るってのもあるが。」
「まあそういうわけで、俺の精神は男と女の間を迷っているという非常に危険な状態だから。女っぽい言動をしたら教えてくれ。」
「善処するよ。」
「それで対戦相手は誰なんだ?実戦派じゃないことを祈っておきたいが。」
実戦派。ガチの戦闘を戦闘した貴族たち。上級貴族と一部の下級貴族らしい。
「えーっと。確かアリシャ・ガレッド?だっけな。」
「あーなるほど、ガレッド家か。」
「お前が知ってるんだ。さぞ有名なところなんだろう。」
「……もしかして俺って周りのことが見えてないように見えてる?」
「うん。」
そういうとカノンはため息をついた。
「正直すぎるのは悪だぞ。」
「すみません。」
「見た目で判断するなってことだ。まああまり積極的で無いのは事実にしろ、最低限嫁候補の貴族ぐらい決めている。」
「え?貴族って貴族同士で結婚するの?家を守ったりしないの?」
「嫁ぐって感じだな。」
「次女以下かつ。血統魔術を使っていないやつ。これが嫁候補だな。」
「心に決めたやつがいるって言ってたが、もしかして一目惚れとかだったりするのか?」
恋の話はとても楽しい。脱線していることに気がついていない。
「あれは8年前。転生による精神年齢の差と才能による嫉妬によって俺が孤立していた時のことだった。」
『君友達いないの?』
「そういって声をかけてくれた元気な彼女。あの時の表情は今でも鮮明に思い浮かべれるさ。」
「そんなに好きなのか、じゃあ今度紹介してくれよ。」
すると惚気ていたにやけ顔がいきなり固まる。
「お前……もしかして妄想彼女……」
「いや違う。結婚を約束したら次の日から家族ごと引っ越してそれから会ってないだけだから。」
これはなかなかにやばいやつと友人になってしまったのではないだろうか。
「リーン・・・・・・君は一体どこにいるんだい」
中々にやばいやつだ。
「まあそれはさておいてアリシャか。なるほどお前は考えうる限り最悪の相手と対戦することになったようだ。」
「もしかして実戦派?」
「実戦派だ。その中でも一番強いと言っても過言でないぐらいに強い。」
「アリシャは今年の特待生、才能がある者に学費を免除して一人だけ入学させるってやつな。」
「才能もかなり凄い上に家が傾いているからな。それを立て直すために必死なんだ。努力をしていて慢心もしていない。」
なるほど。俺と戦いたかったというのはそういうことか。
「実力で言えば同年代でもかなり強い。おそらく今期の生徒の中でも1位2位を争う。」
「やばいな。」
「しかも長所ってのが、多彩な魔術による対応力の高さに攻め方の豊富さにある。故に場合によっては格上すら狩れる。」
「やばいな。」
「しかも魔力が凄いから単純な攻めも強い。単純な攻めと多角攻撃による緩急をつけた攻撃で攻撃を通してくる。」
「やばいな。」
「しかも冒険者としても一級冒険者で、戦闘経験も豊富だから子供とは思えないほどに臨機黄変に動ける。」
「勝てる要素が見当たらないんだが。」
「そこから勝てる要素を見つけるのが俺の仕事だ」
「ということでお前の戦闘方法を見せてくれ。今日は貸し切りにしてるし、感知魔術では特に反応無いから情報が洩れる心配はない」
ということで俺の基本戦術を教え、使う魔術の性能を解説して軽く魔術を見せた。
「うん。それは勝てる可能性が少しだけあるな。」
「あれだっけ?術式展開の無い魔術だから予想外の攻撃ができるから対魔術師最強!ってやつ」
「いや別に最強ってわけじゃない。」
「そんなものなのか?」
「そうだな。術式展開をしなくても魔術を使う方法というのは少ないが存在してる。」
そういうとカノンは懐から紙を取り出し、紙に手を当てた。
「こんな感じに事前に魔力を使って紙に魔術陣を描いていて、後から魔力を通すことで術式展開をしないで魔術を使うことが可能だ」
「それ以外でも多くはないが存在している。だから実戦経験の少ない魔術師相手ならば効くが、アリシャ相手となるとあまり効果は薄いだろう。術式展開のしない魔術の警戒は戦闘経験の豊富な魔術師は殆どしている」
「どちらかと言えば初見殺しだが、先ほど見せた魔術だと初見殺しになるほどの威力は無い」
「だから基本的には紋章魔術と合わせて、ガードを割った後の止めとして使うか緊急事態に使うのが一番良いだろう。」
「ということで今から紋章術で一番使う術式、防御術式を教える。」
そういうとカノンは俺との間の空間にいきなり術式を展開してきた。
「これは紋章術の防御術式だ。相手からの攻撃をある程度止めることが可能な上、足場にできるしで圧倒的に汎用性が高い。」
「ということでこれを全て覚えて再現できるようにしろ。」
「なかなかに鬼畜。」
しかしこの術式は……どこかで見たことがあるような?
「大きさと入れる魔力によって硬さと持続力が変わる超便利魔術だ。ということでまずはこれを全力で覚えろ。」
そしてそれから2日の間魔術の練習と対アリシャ対策を練った。
模擬戦当日。何故か大量にいる観客に見られながらアリシャと対峙するのであった。
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