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生き止まりの向こう側  作者: 菅井 カワツゲ
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エピローグ~返信ラストページ~

劣悪な家庭環境だった。

孤独な学校生活だった。

この世界に私の居場所なんて無いんだと思ってた。

そのちっぽけな世界で私は一人、泣いていた。


そんな私を救ってくれたあなたは、私のヒーローです。


言って無かった事を今更になって思い出しました。

私の名前、つみきは摘姫って書くんです。

織原摘姫(おりはらつみき)

あなたは彦川星斗(ひこがわせいと)


織姫と彦星って感じですね。

自分で織姫とか言うなって思いました?

いつもクサい事を言われてたので、仕返しです。


イメージでは、なんとなく彦星が迎えに行きそうですが……




「迎えに行くのは……私の方に……なりそうです敬具、っと」


 星斗への手紙を書き終え、大きく深呼吸をした。

ユリちゃんの言った通りだ。

あの桜を見てるだけで春の匂いがする。


 ここに来てもう一年が過ぎた。

もっと早く星斗に手紙が書きたかったが、

最近になってようやく松岡先生から手紙を書く許しを貰えたのだ。

まぁ、それも仕方のない事だと思っている。


 親は結局離婚したらしい。

どちらも今何をしてるか分からないし、別に知らなくていい事だ。

向こうも私がどこで何をしてるのか知らない。

親子らしい親子では無かった訳だし、別にそれでいいと思う。


 私をイジメていた人達はというと、フォースブックのアカウントが炎上して大変な騒ぎになったと聞いた。

動画を見た人達からの電話が相次いで学校に掛かり、新聞社まで取材に来たらしい。

中には登校拒否になった子もいたとの事。

 星斗は動画内にイジメ軍団のアカウント名をいくつかテキストしていた。

そこからアカウントが知れ渡り、学校名まで割れた訳だ。

ちなみに先生はクビになり、どこかの学校に異動になったと聞いた。

 多少の罪悪感はあったが、私は自分を守る為に戦っただけだ。

同情の余地無し、お気の毒様って所だ。


 私はここで一から始めて、園内でユリちゃんという友達も出来た。

中学にも友達がいるし、高校に行くのも楽しみだ。

 この前、友達と初めてカフェに行った。

そこで念願の、メープルシロップがたっぷり染み込んだ一斤のパンの中に、

これでもかとアイスと生クリームを詰め込んだアレ。

ハニートーストなるものを食べた。

美味しくて、楽しくて、涙が出そうだった。

 私は今、人生を楽しんでいる。



 真っ赤なキャリーケース。

真っ黒な修業用のジャージ。

星斗の血がシミになっている真っ白なカーディガン。

黒いパーカーとロングスカート。

ピンクと水色のスニーカー。

二つの幸守(さちまも)り。

三枚の写真。

みんなあの頃のままとってある。


 全部、星斗との想い出だ。

忘れる訳ないよ。

 会えるまであとたった一年。

少しは星斗と釣り合えるくらい大人っぽくなってるかな。


 桜の木の下でユリちゃんが笑いながら手を振っている。

私は窓を開け、それに答えた。

 窓からひらりと桜の花びらが二枚降ってきた。

私はそれを手紙と一緒に封筒に入れ、机の引き出しにしまった。

 ユリちゃんの所へ行こう、ジュースとお菓子を持って。


 私の首には、今も二つのネックレスが光ってるよ。

学校に限らず、職場や家庭の辛い問題に苦しむ人達に少しでも勇気を届けられたらいいなと思って書きました。

誰かの心に残ってくれたら、その誰かに手を差し伸べる人が増えてくれたら、そんなに嬉しい事はありません。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


評価、感想、レヴューなど頂けたら今後の励みになります。

もし宜しければ、お願い致します!

では。

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