第十九話 手紙~2ページ目~
星斗からつみきへの2枚目の手紙になります。
よし、じゃあ手紙の二ページ目を再開しようか。
言っておかないといけない事の一つ。
つみき、喧嘩に勝つだけではイジメは解決しない。
やられる前にやる、やられたらやり返す。それは向こうも同じなんだ。
その思想は、やがてエスカレートして取り返しのつかない事態になる。
そうなる前にその街を出なさい。
誰も君の事を知らない街で、行きたい高校に通うんだ。
今の環境を捨てて、一から始める。
今の君ならその選択肢を取る勇気があるはずだ。
古い友人に君の事を話してある。
親からどれだけ酷い虐待を受けているのか。
学校で教師ぐるみのイジメを受けている事。
そのせいでまともに生活できていない事も。
どうするかは君次第だけど、俺は親子の縁を切った方が良いと思う。
その友人は桜見学園という児童養護施設を運営していてね、
必ず君を預かってくれるはずだ。
同封した俺の家の鍵を見せれば君だと分かってくれる。
そこで自由に生きる事を勧める。
でもやられっぱなしってのも癪だよな。
だから君が喧嘩しても問題にならない方法を考えた。
俺のパソコンにUSBメモリが刺さってると思う。
その中にはイジメグループがSNSにアップしたイジメ動画が入っている。
君がやられている動画全部だ。
それを君のアカウントにアップして、被害者側として炎上させる。
そしてバックアップを取って教育委員会に提出するんだ。
そうすればこちらの完全勝利、悪くても喧嘩両成敗って所まで持ち込めるはずだ。
君が暴行の罪に問われる可能性は薄い。
重要なのは向こうから仕掛けさせる事。
正当防衛が成り立つように仕向ける事が大事だよ。
それと、これから誰かと関わる時は常に録音しておくといい。
音声データは重要な証拠になるからね。
それから君の髪の白い部分。
綺麗だから俺は好きなんだけど、それは虐待の証拠になる。
児童相談所に行ったらきちんと説明した方がいい。
最後に……この数ヶ月、俺は本当に楽しかった。
クタクタになるまで修業したり、二人で笑いながらゲームしたり、色んな所に出掛けたり。
今まで一人で生活していた俺にとって、君との生活は夢のようだった。
まるで手の掛からない、しっかり者の妹が出来たように感じたよ。
本当に充実してて、幸せな時間だった。
この先何があっても悔いは無いってくらいにね。
例え、君が俺の事を段々と忘れていくとしても。
そうなってても、迎えには行くつもりだよ。
約束したからね。
そこで断られたら……辛いけど諦めるしかないと思ってる。
返事はそうだな……俺のネックレスをその時つみきが持ってるかどうか、ってのでいいかな?
俺は、俺の我儘より、つみきの幸せを優先したい。
必ず幸せになるんだよ。
君を愛する者より。




