世界救出RTA! 1
ここは王都「エズディア」の隅にある小さな一軒家。こじんまりとした家だが中は溢れんばかりの愛が詰まっている。
数年前に未来のお嫁さんに出会い、子宝にも恵まれた。毎日が楽しかった。紆余曲折あったものの、それもひっくるめて幸せな生活を送っていた。
嫁のアイリが病に侵されるまでは。
アイリが患ったのは正体不明の病であった。
浅黒い斑点が腹から徐々に広がっていくもので、斑点の部分は感覚がないようだ。しかも、周りと比べて温度が低い。
生命に異常は今は見られないが、これが全身に回ると思うと寒気がした。
アイリの豊かな表情、温もり、もしかしたらそれ以外の大切なものさえ失ってしまう気がしたからだ。
それなりの金を出し、王都1の医師に見せてもわからないと首を振るのみ。
2人の子であるマークは学校を休んでまで心配し、看病をしている。
アイリは「大丈夫大丈夫!このくらいすぐに治るって…!」と強がっていたが、この状態が続けばどんな結末が待っているか目に見えている。
成す術なしか…と、弱気になった自分に喝を入れて、治す方法はないかと図書館に向かうとき、アイリを診た医者が家の扉を叩いた。