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0.5はじめまして

やっとホームレスさん。

「はい。えっ?!本当ですか。はい。わかりました。

 本当に申し訳ありません。すぐに修正いたします。

 失礼します。」

 綾川が受話器を置くと、

「才木、取材の日程テレビと雑誌が被ってて、今確認の電話入って、気づいたから良かったけど、今後はそういうミスは気をつけてくれ。」

「あっ、すみません。ほんとすみません。気をつけます。」


―――――――――――――――――――――――


その後、玲花は彼女たちの怒りの原因を理解できないまま綾川と距離を取ることもできずにいた。

そして、ますます彼女たちは玲花の態度に怒りを募らせていった。


金曜日のトイレで

「ねぇ、まだわかんないの?本当にそうゆう鈍いところかむかつくし、理解できない。バカなの?」

華奢な女子が言うと

「わかんなぁ〜いって言って、鈍いフリするのがこいつの手なのよ」

と美人がこれに続き

「そっか、田舎者の手法かーあははは」

スレンダーも追随した。


「今、全国の田舎出身者を敵に回しましたよ?」

 玲花はこんな状況であろうと、言いたいことは自分の信念を持って言うと決めているいため、強い声でいった。

「ここ1週間あなたたちがわたしのこと見てるように私もあなたたちのことを見てましたけど、あなたたちはただ綾川さんが好きなだけですよね。綾川さんが好きになる人は綾川さんの自由だし、あなたたちだって選ばれるのを待っているだけでいいんですか?

それを指導係という立場で綾川さんに教えてもらっている私に八つ当たりするのってお門違いも甚だしい。」


言い切るか言い切らないかのところで突然水を浴びた。


「今さら分かったの?そういうことよ。でもあなたに何か言われる筋合いはない。だから尚更あなたのその鈍感さが本当にむかつくの。」

スレンダーが言い、立ち去った。それに続いてあとの2人も

「さすがに水かけるのはやばいって。」

「うちらでも庇えないよ。」

と小声で言いながら立ち去っていった。


結局1週間ほど数値をミスしたり細かいミスを、連発してしまった。綾川は玲花が普通じゃないと思い、体調が悪そうだから今日は早く帰るように言ったが、「自分のミスですから」と言って聞かなかった。今日は金曜日。なかなか仕事が終わらず、肩を落としながら会社を出た。午後23時。


「最近どうしてこんななんだろう。はあ。この先東京でやっていけるのかな。実家に帰りたいな。仕事も辞めちゃおうかな〜。」

 駅近くまで来ると、顔は下を向き、涙を流しいた。

 何故だかわからないが、ふと横に視線を向けると、


 黒い物体?いや、人がいた。ホームレスな人。


 ちょこんと座って私の方を見ていた。


 またまた何故だかわからないが、コンビニの方は走って行き、酒とつまみを買って、ホームレスの人の横に腰掛ける。そして酒をホームレスの人に渡し、

「あふ〜。この静寂は心落ち着きますけど、寂しいもんですね。」

と玲花は言った。

「慣れだ。慣れ。慣れてしまえばそんなそれが普通になる。」

「たしかに。でも、慣れてしまって気付かなくなってしまう。そんな事も多いですよね。」

「ああ。そうだな。俺はすっかりこの暮らしに慣れた。慣れてしまった。」

「私も人の気持ちに鈍い事に慣れてしまいました。だから、人のことを苦しめてしまう。そうして最終的には自分に返って来るんですね。結局自分のことばっかり。他人に関心がないんですかね。」

「そうか…。酒、もらってしまってごめんな。まぁ君のこれから、明るい未来に乾杯。」

少し悲しそうにホームレスは言った。

「……いえ、いいえ、違います!私たち2人のこれから、明るい未来に乾杯!!」

「はは!うん。乾杯!」


そこから2人とも少し酔っ払って、自分たちの明るい未来について話した。

「私は大好きな人に出会って、結婚する。愛情ってものをちゃんと知りたいね〜」

「そうかそうか。私はもう一度普通のちゃんとした生活がしたい。家が欲しい。」

「うんうん。…待ってよ!おじさんは普通のおじさんだもん。絶対大丈夫っ!いや、待って待って」



「おじさんまず風呂に入らんかいい!!!」



.

ありがとうございました。

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