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チャコの黒バスをハカリにのせた。指針は、ざっと5キログラムを指していた。おそらく、密放流時に、すでにそこそこの大きさだったのだろう。あるいは、この三年の間に喰いまくったかだ。いずれにしても、確かにビッグフィッシュに間違いなし、だった。
「重さは、正式には陸の上で計らないといけないんだけど、まずテンポンドオーバーはまちがいない。びっくりだよ。おめでとう。僕が申請を出してあげるよ。それで君は栄光あるメンバーの仲間入りだ。その権威を保証される。今後世界中のアングラーから、敬意を持って、接しられるだろう。僕も誇りに思うよ。お願いだ、一番最初に握手してくれ」
ハリーは右手を差し出した。チャコは誇らしげに握り返す。
「ハリー!」
このまま終われば、どんなに幸せだったことだろう――!
チャコの弛緩した意識の隙をついて、チャウが魔力をぶつけてきたのだ。
ハカリの上のバスが弾かれて飛んだ――湖の上へ――!
「1対19――こっちの勝ちよ! おーほほほほほッ……!」