表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/40

 チャコは事務所に怒鳴り込んだ――!!!!!!!!


「なんだおめェ――あ、昨日の水着の可愛い子ちゃんじゃ――」

 顔に傷がある男だった。

「社長出せ!」

 チャコの目が血走っている。

「……ああ〜ん?」

「オトシマエつけさせてもらうわ! よくもよくもよくもやってくれたわね!」

 男は最初怪訝な顔をしていたが、すぐ思い当たってニヤニヤしだした。

「お嬢ちゃん、ナニ言ってんだか、わかんねえなあ……」

「ラモスさんとこの火事よ!」

「おお、おお、あのジイ様が、どうかしたかい?」

「火ィつけたでしょうが!」

「こらまた、とんでもねぇ言いがかりだぜ?――しらねえなあ」

「とぼけて!」

「ねえちゃん、そんだけホザくんだ。それなりの、ちゃーんとした証拠ってヤツを、見せてくれるんだろうなあ?」

「証拠だァあア!?」

 声がひっくり返った。押さえに押さえていたものがついに弾け飛んだ。瞳に、魔女の光がフレアした――!


 瞬間!


 家具という家具、ヤクザのワケわからん調度品が、竜巻のごとくメチャクチャに吹き荒れた――!

 窓という窓が粉々に吹き飛び――!

 破裂音が轟き天井が割れ――!

 板材やら太い梁やらが盛大に落っこちてきて――


 隣室にいた連中が怒声や悲鳴をあげながら飛び出してきて――

 一人残さず壁に叩き付けられ――その壁が向こうへ倒れ――!


「お・の・れ・ら──少しは、思い知れッッッッッ――!」


 竜巻はそれから十分はたっぷりと、暴れまわったのだった──

 ――

 ――

 ――

 ――


 青空が見える。

 埃がもうもうと舞い上がった瓦礫の中から、傷顔の男が首を出した。怒りで緑色になっている顔に、血に汚れた傷をもう一つ作っている。

「……てめぇ、魔女だったんかい!」

「そうよ! 正真正銘の、まぎれもない魔女よ! それがどうかした?」

 男はここで、ある種の、余裕の笑みを、ニヘラ……と浮かべた。

「……ただで済むとは、もちろん思っちゃねーだろな? 憶えと――」

 チャコはその顎を思いっきり蹴り上げた。ゴンッ、と男の後頭部が何かと当たる音がした。

「何言ってんの? わたしがなんかした? わかんねぇわ!」

「……こ、こここ、このアマ! てめえが魔力でやったんだろが!」

「さあねえ、知らないわ」

「――はあ?」

「証拠は?」

「――」

 男は目を白黒させる――

「この程度で済んで、あんたらすごくラッキー!」

 フンッ! と鼻をならす。

「……あのね、社長が謝るまで、もしかして社長のお店全部、こーなるかもしれないわね? ――そう伝えとけ!」

 言い捨てるとチャコは背を見せた。かろうじて残っていたドアを手荒くバンッと閉める。とたん、最後の壁が崩れて、男が再び埋まった。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ